ヘンリー・ダーガー展
フランスの画家ジャン・デュビュッフェの造語、アール(Art=芸術)・
ブリュット( Brut=生の)とは、正規の美術教育を受けていない人が自発的に
生み出した、既存の芸術のモードに影響を受けていない絵画や造形のこと。
アールブリュットの作家たちの作品を観ると、どれも善悪や美醜を超えていて、
表現としかいいようがない。何物にも囚われない集中力と創造力に満ちた、
まさに「生の芸術」。ピュアなのです。
昨年岩波ホールで観た「セラフィーヌの庭」に出てくる彼女の作品も
ゾクッとするほど素晴らしかったけれど、昨日観た「ヘンリー・ダーガー展」も、
作品と作者にぐいぐい迫ったかなり見応えのある展覧会でした。
ヘンリーダーガーは、幼くして母親をなくし、父親とも病別して孤児院に入れられたが
脱走し、その後81歳で亡くなるまで病気や貧困と寄り添いながら、一人静かに
暮らしていた孤独な人でした。世に知られたきっかけは、大家さんが彼の死後
部屋でみつけた1万5千ページ(!!!)にわたる絵物語「非現実の王国で」。
かつての上司の奥様がキュレーターをしていた関係で出会ったヘンリー・ダーガー。
誕生日が一緒だったり、私が生まれた翌日が彼の命日だったりとなにか因果を
感じずにはいられない作家です。今回もうっかり見逃しそうなところ、
偶然お誘いをいただいた。どうも縁があるみたい。
一見、可愛くてユーモラス、と思いきや、、、とんでもない世界が待っている
「ヘンリー・ダーガー展」は5月15日(日)まで、ラフォーレミュージアム原宿にて。