2018年9月 の記事一覧

横山崋山と『坊っちゃん』

『横山崋山』展

 

『横山崋山』展(東京ステーションギャラリー 11月11日まで)に行く。

会場内の解説にいう。「かつて有名であったにも関わらず、忘れ去られてしまった絵師がいます。横山崋山は、江戸時代後期の京都で活躍した人気絵師です。…… 崋山の名は、没後しばらくは有名な書画家の一覧表に掲載されたり、夏目漱石の『坊ちゃん』に登場するなど、知られていたようです。…… 」  読み直してみた。

坊っちゃんが、教師となって住んだ下宿の亭主が書画骨董好き。
〈始めに持って来たのは何でも印材で、十ばかり並べて置いて、みんなで三円なら安い物だ御買なさいという。田舎巡りのヘボ絵師じゃあるまいし、そんなものは入らないといったら、今度は崋山とか何とかいう男の花鳥の掛物をもって来た。自分で床の間へかけて、いい出来じゃありませんかというから、そうかなと好加減に挨拶をすると、崋山には二人ある、一人は何とか崋山で、一人は何とか崋山ですが、この幅はその何とか崋山の方だと、くだらない講釈をしたあとで、どうです、あなたなら十五円にして置きます。御買なさいと催促をする。……〉(『坊っちゃん』 夏目漱石作 岩波文庫)。

 


『イグ・ノーベル賞』のトガった研究

イグ・ノーベル賞の世界展

「世界のトガった研究、続々!」というキャッチのついた『イグ・ノーベル賞の世界展』(東京ドームシティ Gallery  Aamoで、11月4日まで)に行く。
イグ・ノーベル賞とは、1991年に創設された「人々を笑わせ、そして、考えさせてくれる研究」に与えられる賞で、「裏ノーベル賞」とも言われているという。「床に置かれたバナナの皮を、人間が踏んだときの摩擦の大きさ」で、日本人も受賞している。「なぜ、キツツキは頭が痛くならないのか」の研究もある。「ガスマスクに変形できるブラジャーの発明」の研究もある。会場出口のショップで、もしこのマスクを売っていたら、おみやげに買おうと思ったが、ザンネン、ありませんでした。


『會津八一展』と「ねり羊羹」

會津八一展

ねり羊羹

『独往の人  會津八一展』へ行く。新宿・中村屋サロン美術館(12月9日まで)でひらかれている。
中村屋の創業者の長男が、早稲田中学時代、八一の教え子であったことが、中村屋との縁の始まりだという。中村屋の看板や羊羹、月餅などお菓子の文字も書いている。

一    ふかくこの生を愛すへし
一    かへりみて己を知るへし
一    学藝を以て性を養ふへし
一    日々、新面目あるへし
          秋艸道人

という「学規」を読み、帰りに、「ねり羊羹」を買って帰る、という独往。

 


2018秋 スチューベン

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有機肥料で育て

農薬を控えて栽培された

北会津産のぶどう

スチューベン。

実が多く

香りがよい。

 


“豪華絢爛仰天手仕事” 展

“豪華絢爛仰天手仕事” 展

“豪華絢爛仰天手仕事” 展

LIXIL  ギャラリーへ行く。

そこは、地下鉄銀座線・京橋駅から、歩いて 4 、5 分のところだと、知っている。京橋駅を降りたところで、迷ってしまった。地下街なんかに入ってしまい、明治屋もどこかわからない。やっと教えてもらって、地上に出たが、右も左も、わからない。どうしたんだ、この京橋の変わりようは。
というわけで、『海を渡ったニッポンの家具』展(11月24日まで)に、やっと辿り着いた。

会場にある説明によると  ー  明治時代、欧米人向けに輸出用としてつくられた家具は、西洋の人々を魅了した。絹と並んで、工芸品は、この時代の二大輸出品であった、という。里帰りした家具などが、展示されている。寄木細工、芝山細工、青貝細工、横浜彫刻家具、仙台箪笥。…… ライティング・ビューローがある。チェス・テーブルがある。衝立がある。……

展覧会のサブタイトルは「豪華絢爛仰天手仕事」である。

 


SFアニメ誕生まで

王立宇宙軍  オネアミスの翼 展

『王立宇宙軍 オネアミスの翼 展』(八王子市夢美術館で、11月11日まで)へ行く。

「SFアニメができるまで」というサブタイトルがついている。この『王立宇宙軍 オネアミスの翼』は、1987年、SFアニメ映画として劇場公開された(監督・山賀博之)。展覧会は、その映画の製作過程の素材資料を紹介していくものだ。
監督の制作メモがある。イメージイラストがある。絵コンテがある。オープニング、エンディング用の絵がある。さまざまなアイデアやデザインから、徐々に作品を構築していった、部分から全体をつくる手法をたのしむ仕掛けであった。

 


樹木希林さんが、セツの生徒だった頃

樹木希林さんが、セツの生徒だった頃

 

樹木希林さんが、亡くなった。そのニュースは、テレビでも新聞でも大きく伝えられた。しかし、彼女がセツ・モードセミナーに通っていたことは、あまりふれていないようだ。「僕は、同期でした」という、星  信郎さんが、想い出を語ってくれた。


………
それは、セツの高樹町時代ですから、1960年代の初めですね。悠木千帆(樹木希林)は、セツの生徒で、同時に文学座の研究生でした。僕より、少しあとに入ってきました。後に知ったことですが、セツ先生のファッション関係の仕事のパタンナーだったOさんの姪とのこと。それが、セツとの縁になったのかもしれませんね。
快活なひとでした。当時セツの事務をしていたNさんに、何かのことでひどく叱られて、Nさんが好きになってしまったと笑って話してくれたことがありました。オトコの好みは、一貫しているように思いましたね。文学座で初めて女中さん役についたとき、その写真を見せてくれたこともありました。ファッションは、アイビー調。なかなかステキでした。
一緒にデッサンをしたりしたのですが、残念ながら彼女の絵については、記憶がありません。卒業してからも、アート展やセツ先生の出版パーティには、何度も来ています。一升瓶など、ぶらさげて。
最近はもう、テレビで見かけるくらいでしたが、亡くなったと聞いて、想い出が遠ざかっていくなあ、という寂しさを覚えました。(カットは、『サンケイスポーツ』9月17日付の紙面から)


『JOJO』荒木飛呂彦原画展とスマホ

『JOJO』荒木飛呂彦原画展

 

 

〈 スマホで変わる美術館 / 「撮る」で世界に開かれる / 存在、揺さぶる事態 〉というタイトルの記事を読んだ。(『東京新聞』9月6日夕刊)

筆者は、木下直之氏(静岡県立美術館長)。
去る7月に「スマホで覗く美術館  ー  鑑賞体験のゆくえ」というシンポジウムを開催したことに触れ、文章の最後に、こう書いている。

…… 美術館の堅牢な壁がゆらいでいる。なぜなら、撮った写真はその場から世界のどこへでもつながるからだ。それをまた無数の人が鑑賞する。多くの館が「開かれた美術館」を目指してきたが、スマホによってすでに実現したのかもしれない。いや、だからこそ美術館には閉じる道もある、という意見が交わされた。

『JOJO』荒木飛呂彦原画展(国立新美術館、10月1日まで)に行く。たくさんの作品、たくさんのファン、たくさんのスマホ。

 


「昆活」しました

『昆虫』展

 

 

『昆虫』展(上野国立科学博物館、10月8日まで)へ行く。

子どもたちが夏休みの間は、混んでタイヘンだから、やめたほうがいいと言われていたけれど、あいかわらずの賑わいだった。子どもなんて、いつでも休みのようなものだし、昆虫好きのオトナも多いのである。
巨大模型から始まって、美しいもの、奇怪なもの、不思議なもの、珍しいもの。

たっぷり、昆活してきました。

 

 


デッサン会の愉しみ

代々木デッサン会のグループ展 2018

 

この「広場」でもおなじみ、「代々木デッサン会のグループ展 2018 デッサン行進とペインティング」が、吉祥寺のカフェ・キチムで開かれる(9月19日~9月30日)。
デッサン会のレギュラー・星  信郎さんに、“ 描く気持ち”を聞いたら、こんな答えだった。

「デッサン会でデッサンをするのは、楽しみ、習慣、人生…… どれも当たっています。ほかには何もできないので、よく続いています。毎回、変わるモデル、入れ替わるメンバーたちとの予期せぬ出逢い。それも、楽しい。ことに、メンバーをモデルにして描く、友だちデッサンが、面白い。人間の形や様子は、限りなくフシギですからね。面白いはずです。いまさら、観念的に上手になろうとは思いませんが、それでも作品をホメられたりすると、うれしいものですよ。
人間相手と風景相手とでは、どこが違うか ? ですか?   ぼくにとって、風景写生は、自然相手に色と構図の直接取引ですからね」
…………

ぜひ、吉祥寺・キチムへお出かけください。展覧会の詳細は、コチラから、どうぞ。