2021年11月 の記事一覧

小倉織をご存知ですか

『日本の美邸』8号

 

12月2日発売の『日本の美邸』8号のArt & Culture欄に、小倉織 ・ 築城則子さんが、登場している。
〈小倉織は、江戸時代から北九州の豊前小倉で盛んにつくられた木綿布だ。地厚で丈夫なことから武士の袴や帯に仕立てられ、徳川家康が鷹狩の際に羽織を愛用したといわれるなど、日本全国で珍重された。……〉
小倉出身の築城さんが、染色や小倉織に魅せられ創作する経緯は、アトリエでの日々とともに語られる。そして、その築城さんと作庭家・古川三盛さんとは、奇しくも、同じ小倉高校の先輩後輩。「風土と人と工芸品」と題して二人の話ははずむ。
古川 「小倉」と名が付いても、あまり価値がなかったですしね。修学旅行なんかでも、関西に行くと「おぐら」高校と間違われました。
築城 (笑)私が小倉織の再生をはじめてからも、長い間「おぐら」織と言われました。やっと最近、「こくら」と正しく読んでいただけるようになりました。
経糸と緯糸の織りなす美しい世界をお楽しみください。

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『日本の美邸』8号は(風土社刊)、12月2日発売です。


江戸の別荘地、根岸

『日本の美邸』8号特集「別荘

 

近日発売『日本の美邸』8号の特集は「別荘」。
「江戸の贅を探る」という連載記事の中で、江戸文学を研究する安原眞琴さんが、こんなふうに書いている。
〈……町人の別荘も大名と同様で、所在地は浅草、本所、深川といった江戸北部や隅田川以東の田園地帯が多く、庭園付きの数奇屋風の建物などを配していた。…… 郊外でも文人墨客に好まれた独特のエリアだったのは根津だ。江戸初期から東叡山寛永寺貫主を兼任していた輪王寺宮の別邸があり文化的土壌はあったが、さらに文化の源泉だった吉原遊郭に近く、吉原通いのルートにもなっていたので、風流韻事を好む文人の別荘や、身請けした遊女を囲った趣のある妾宅などが点在していた。……〉

今も漂う、その昔の雰囲気を味わう秋の散歩もわるくない。

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『日本の美邸』8号は、風土社刊。12月2日発売でず。お楽しみに。

 


山荘に時の流れる

『日本の美邸』8号「別荘」

 

近日発売『日本の美邸』8号の特集は「別荘」。
そのトップを飾るのは、「時の過ぎゆく中で」と題した建築家・益子義弘さんの文章と、ある別荘の写真。以前、益子さんが設計した明野の山荘を、再び訪ねるという趣向である。

〈……再訪は15年ぶりになる。夏の光まぶしい日になった。道筋をたどってその場所に向かう。遠くに記憶にある姿が見えた。正直に言おう、遠く稲田越しに見る建ち姿をひとつの風景として、いいなと思った。それは自作という関わりを超え、ただ客体としてそこにある姿としてである。佇まいを稲田越しに見ながら、しばらく設計の時のことを思い返す。その頃ぼくは設計の小論に「風景を解き、風景に返す」という一文を書いている。〉
〈浮足立つバブル経済の波が国土の各所を荒らしているときで、往々にして建築は環境を蝕む側に批評され、そのことに関わる自分たちの立ち位置を悩み考えていたときだった。人がいて順当な自然。里山を背にする集落が自然なように、環境を荒らすものでない建築の素朴な存在について、そのあり方の思いを巡らせていた。それがこの山荘の建ち方にも重なっている。……〉

山荘。周辺の風景。そこに住む人。変わったこと、変わらないこと。それは、一つの物語である。

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『日本の美邸』8号(風土社刊)は、12月2日発売です。お楽しみに。


上野の秋 二つの展覧会

東京都美術館ギャラリー

 

・〈上野の記録と記憶〉 東京都美術館ギャラリー B
・ Everyday Life わたしは 生まれなおしている 東京都美術館ギャラリーA・C

という二つの展覧会が開かれている。パンフレットを読むと、
前者については、
〈……本展では、東京都が所蔵する美術コレクションの中から、上野に関連する約160点の作品・資料を展示します。……〉とある。
後者については、
上野アーティストプロジェクト2021
桂 ゆき 田村沙耶佳 貴田洋子 小曽川瑠那 常盤とよ子 丸木スマ
の名が並んでいる。そして、〈……毎年異なるテーマを設けて、公募展を舞台に活躍する作家たちを紹介しています。その第5弾である今回は、「EVeryday Life」をテーマに戦前から現代にいたる6名の女性作家を取り上げます。……〉ということである。
コロナ禍沈静化して、上野にいつもの秋が来たのだろうか。会期は、来年1月6日まで。

 


『小林清親』展のお知らせ-練馬区立美術館から

小林清親展

 

〈小林清親は、“最後の浮世絵師”とも呼ばれる、明治期を代表する浮世絵師です。明治9年のデビュー作、東京名所シリーズは淡く明るい色調で光と影、天候や時間をも表現した、まるで水彩画のような木版画で“光線画”と呼ばれ人々の絶賛を浴びました。……〉というのが、パンフレットに書かれた紹介文。

そして、この美術館では、2015年に、『小林清親展』を開催、それが縁で作品、資料、遺品などを寄託された。この展覧会では、そうした未公開資料などを展示。それが、2015年の「増補」サプリメントとして開催するゆえんであるという。
期日は、11月23日から来年1月30日まで。
おっと、忘れるところでした、入場は無料 !

 


美蘭、遊覧

美蘭展

美蘭』が、千葉市美術館でひらかれている。

〈……  これまでも日本美術をもとにイメージを広げた作品を多く発表してきた福田ですが、本では、千葉市美術館のコレクションから、自らが選定した江戸から明治時代の美術をきっかけに、新たに創作された作品を中心に示します。  福田は、もとになった日本美術をどのように写し、読み解き、このように思いもよらぬ絵画を生み出していくのでしょうか。周密な観察力や入念なリサーチに基づく精緻な表現と自由な発表とが共存する福田の新たな作品は、私たちの日本美術への眼差しを更新するとともに作品を鑑賞するとは何かということを改めて考えさせてくれるでしょう。……〉
と、覧会の パンフレットは、語る。

美蘭、遊覧。(12月19日まで)