2015年9月 の記事一覧

スーパームーン20150928

 

9月28日(月)夜空にはスーパームーンが。

今年は中秋の名月に続き、2日連続、夜空を眺めた。

スーパームーンとは、月が最も地球に接近した状態の、

新月か満月のこと。

雲の間から、迫力ある大きな月を見ることができた。

写真左にうっすらと写っているのはDOCOMOタワー。

いつの間にか蝉の声から鈴虫やコオロギの声に変わり、

すっかり秋らしくなった。


和綿の糸紡ぎ体験に行ってきました

 

MOTTAINAIクラフトあまたさんで開催された、愛知県の岡崎から『本気布(マジギレ)』というブランド名でオーガニックコットンの製品を作られている稲垣さんを招いての「むかし布の地産地消 〜オーガニックコットンとガラ紡体験〜」に行ってきました。

まずは和綿の種取りから。しっかりと綿に守られた種を採り出すのはなかなかに至難の業。採り出せたと思っても綿のもしゃもしゃがびっしりと種の周りにくっついている。

これを、骨董屋さんで見つけたという江戸期の綿切りロクロで挟んでくるりとまわすと気持ちいいようにぽろぽろ綿と種が分かれます。

種のほうは来年の5月に植えるのだそうで置いておいて、綿のほうを手でほぐすのですが、ほぐれているのか単にちぎれそうなのかわからない状態に。そこで使うのがタコ糸と棒で作った弓。

これで綿をはじくとあら不思議。どんどん綿がほぐれてフワフワになります。最後にフワフワと広がった綿を折り畳んでクルクル丸めて手のひらサイズにし、縒りながら引っ張って糸を繰り出して行きます。縒りの力で下のフワフワな綿がどんどん引っ張られて糸が出来ていくはずなのですが、凸凹になったり途中で切れたり、これも散々なことに。ガラ紡という道具を使って糸にしていきます。

ガラ紡は、臥雲辰致という明治初期の発明家が作った糸紡ぎ道具で筒状のいれものに綿を詰めて立て、その円筒を回転させながら綿を引き出していくというもの。何本もの糸巻が同時にできて飛躍的に早い!これ作った人、天才!と思ったら、第一回の内国勧業博覧会で1万4千点余りの中から見事金賞を受賞したものだそう。この道具を博覧会で見た多くの人が技術を持ち帰って自分たちで作り、東海地方でかなり盛んになり、トヨタの前身「豊田紡績」が生まれたそうです。高度成長期に伴い自動車に分野へ進出し、現在のような世界的企業となったトヨタのルーツは、綿から始まっていたのでした。

 

稲垣さんは、手で種とりから糸紡ぎの体験をしてもらうのは、これだけの手間と時間がかかるということを感じて欲しいから、とおっしゃいます。イギリスの綿花需要からアメリカの南部プランテーションが生まれ奴隷制度が始まり、大規模な綿畑では収穫を早めるために空から枯葉剤を散布しこれが後にベトナム戦争にも使われました。この大地を汚し、人を傷つける綿の大量生産へのアンチテーゼとしてオーガニックコットンに立ち返ろうという活動が生まれ、稲垣さんもそれまでやってきた繊維の仕事をすべてオーガニックコットンを広めるスタイルに切り替えたそうです。稲垣さんはお店は持たず、WEBshopと各地でのワークショップや出店で活動をされています。衣服は毎日着るものなのに食べ物ほど意識されていないような気がする、という言葉に、参加者の皆さんも大きく頷いていました。

 

 


伊野孝行さん

わたしと街の物語その1 伊野孝行+大河原健太「神保町とロンドン」

イラストレーターの伊野孝行さんに、初めて会ったとき、彼はセツ・モードセミナーの生徒だった。ある日、セツの展覧会に行くと、まわりの絵とは違う雰囲気の絵があった。サムライが描かれていた。それが、伊野さんの作品だった。紹介されて、話をした。「ぼくはアルバイトで、神保町のKという喫茶店でコーヒーを淹れています」と、その店のチラシをくれた。

それから何十年。かくも長きご無沙汰。一昨年、Kへ行く機会があった。ふと、店のひとに「伊野さん、まだいますか」と訊くと「ハイ、呼んできましょうか」。すぐに現れた彼は、短く刈った頭に手をやって「実は、今日でこの店をやめるんです」と言った。最後の日に訪れた、という偶然。明日から、一人でやっていくという決意。セツと神保町の間に流れた時間を思った。
 

今年の彼岸花

昨年も同じ頃、小石川植物園に、彼岸花を見にきている。

植物学者の牧野富太郎さんは、この花について、書いている。
〈さてこのヒガンバナが花咲く深秋の季節に、野辺、山辺、路の辺、河の畔りの土堤、山畑の縁などを見渡すと、いたるところに群集し、高く茎を立て並びアノ赫灼(かくしゃく)たる真紅の花を咲かせて、そこかしこを装飾している光景は、誰の眼にも気がつかぬはずがない。そしてその群をなして咲き誇っているところ、まるで火事でも起こったようだ。〉(『植物一日一題』ちくま学芸文庫)。

昨年とくらべると、気のせいか、花が少ないように思われた。あの過酷な暑さのせいか、大雨のせいか。植物にとっても、きっと、きびしい夏だったろう。

ただいま、撮影中 !

TOKYO ディープ!

昼に、神田小川町の「漢陽楼」に行った。靖国通りから三井住友銀行の脇の坂を上がる途中の左。周恩来が若い時分によく来た、肉団子スープが好物だった、という伝説の店、あそこです。中に入ると、いつもとフンイキが違う。何人かが、つっ立っている。そのうちのTシャツGパンスニーカー姿の女性が、「NHKです。申し訳けありません。番組の撮影中ですが、写るのはイヤですか?」と上の写真の紙を差し出した。「イヤです」。店の端のテーブルに案内された。そのテーブルの、なおかつ、端に寄って坐った。誰かが、インタビューを受けているらしい声が聞こえる。落ち着かないまま、食べ終えて外へ出る。10月12日夜の放送らしい。もし、ごらんになって「上海風卵焼き」を食べている人間が映ったら、それは、私です。

 


久しぶり、京橋・明治屋

京橋・明治屋

「京橋・明治屋ビル再開」のニュースを新聞で見つけた。
このビルは、1938年に誕生した。2009年に中央区の文化財に指定。大型再開発地区に入ったが、ビルの外観を保存して耐震補強工事を終え、再開されるという。9月16日からは、地階のカフェテリアも始まる、と書いてある。勤め先が近かったこともあり、以前の地階のレストランには、1000 回以上、通っている。ハンバーグステーキ、チキンライス、ワカサギのフライ、チキンカレー。チキンカレーは、大きいままの鶏肉で、おいしかった。ちょっとクラシックな、大人びた雰囲気の店で、なかなかよかった。……  などと思い出しながら、地下鉄・京橋駅から地上に上がると、薄茶色の外観はそのままだ。久しぶり。お変わりなく。

 


家 蕎麦

週末の 家 蕎麦。

昆布とかつお節から丁寧に出汁をとって、お蕎麦は冷水でキュッとしめる。

やっぱりお蕎麦はお蕎麦屋さんでいただくのが一番だなと思いつつ、

蕎麦打ちができる人を尊敬する、今日この頃。


読書の秋、庭暮らしの秋(後篇)

読書の秋、庭暮らしの秋(後篇)

『チルチンびと』85号。特集 - 我が家の庭暮らし /  暮らしに農の風景を- にちなんで、ビブリオ・バトル、秋の読書会。

………

M氏 私は、かの牧野富太郎博士の『植物一日一題』(ちくま学芸文庫)。80歳過ぎて、1日に1話ずつ書かれた。植物そのものだけでなく「茶の銘玉露の由来」という話も。〈製したお茶の銘の玉露は今極く普通に呼ばれている名であることは誰も知らない人はなかろう。ところがこれに反して、その玉露の名の由来に至っては、これを知っている人は世間にすくないのではないかと思う。〉好きな時に好きな話を読む。

Yさん 『戦下のレシピ』(斎藤美奈子・岩波現代文庫)。これは戦時中の女性誌から、当時の台所事情を集めている。なかに「戦下の野菜図鑑」があり、例えば〈カボチャ ー 葉は味噌汁の実、おひたし、炒め物に、茎は炊き込みご飯、漬け物、煮付けに、茎は甘味があって蕗よりおいしいと評判 ⁉︎  〉家庭菜園にも哀しい時代のあったことを忘れない。
G君    哀しい記憶なら、『沈黙の春』(レイチェル・カーソン ・新潮文庫)。アメリカのある町。〈ところが、あるときどういう呪いをうけたのか、暗い影があたりにしのびよった。 ……  かつて目をたのしませた道ばたの草木は、茶色に枯れはて、まるで火をつけて焼きはらったようだ。〉農薬など化学薬品の影響で生命の火は消えた。そのすべてを描いた名作。しかし、日本にも、 “沈黙の春” がきた。 - みんな、重い沈黙になった。

………

『チルチンびと』85号は、9月11日発売予定です。お楽しみに。

 


読書の秋、庭暮らしの秋(前篇)

読書の秋、庭暮らしの秋

『チルチンびと』85号の特集 ― 我が家の庭暮らし / 暮らしに農の風景を―  に、ちなんで、ビブリオ・バトル、秋の読書会。

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C君 いまさら、と仰るでしょうが『園芸家12カ月』(カレル・チャペック・中公文庫)。九月なら、こういう言葉〈九月は、われわれが植物を植えることができるように、大地がもういちど入口をあける月! 春までに根づくものは、いま土におろさなければならない。〉というふうに、その月ごとの呼び掛け。これがいい。魅かれます。

Uさん またかと、仰るでしょうが『富士日記』(武田百合子・中公文庫)。ご存じ、武田泰淳さんとの日々をつづるところどころに、草や木の描写。なんともステキ。〈庭の花は終ってしまった。咲き残っている松虫草の花びらは、白っぽく紙のようになってしまっている。赤い実がなるトゲトゲのある木が、今一番元気がいい。リスかイタチのくる足音かと思うと、一枚ずつ木の葉が落ちる音だ。〉 ねっ。

S氏 宮沢賢治が、花壇や造園に熱心だったことは、知ってるよね。その賢治のスケッチふうの設計図からうまれた、盛岡少年院の花壇「涙ぐむ眼」誕生のいきさつが、書かれています。『宮沢賢治と植物の世界』(宮城一男、高村毅一・築地書館)。瞳のところは、目尻は、何の花を植えるか? などのアイデア。賢治の作品と植物との接点が、読めるんだ。

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『チルチンびと』85号は、9月11日発売予定。お楽しみに。

 


たまごサンド考


たまごサンドといえば、ゆでたまごをみじん切りにしてマヨネーズで和える。あのタルタル状のものがあたりまえと思って生きてきたが、関西でたまごサンドを頼むと、かなりの確率で挟まれた卵が玉子焼き状態になっている。うっすら上品からし味だったり、がっつりベーコン入りのオムレツだったり。すこし戸惑うけれど、これが美味しい。意外なのは、ゆで卵の方があっさりしているかと思いきや、マヨネーズをたっぷりと混ぜたものが多く、焼いてないパンに塗られた溶けきらないバターの食感と重なって見た目よりもお腹にずしっと来ることが多い。対するオムレツ版は、ふわっと焼き上げたものにトマトソースが塗ってあったり、トーストで挟んだものに出会うことが多いので、さっくりジューシー。見た目よりあっさり食べられる。もちろん焼いてあるパン、ないパン、バターの量、卵のボリューム・・・絶妙のさじ加減に工夫されたものは全部それぞれに美味しいけれど、個人的には只今絶賛オムレツサンド派です。