江戸の繁盛しぐさ
数年前、公共広告機構が首都圏の地下鉄構内に張り出したポスター。「傘かしげ」「こぶし腰浮かせ」などさりげなくマナーの大切さを訴えた。
実は、広告代理店の若手プロデューサーが本書の著者である「越川禮子」さんの本を読んで感激し、企画制作したものだったらしい。
歴史を語る場合、事実であるかどうかを判断する基準は文章の有無による事が多い。しかし、暮らしの一部と化した「しぐさ」についての古文書は見つかっていない。
日常当たり前のことだったから特に文章に残す必要がなかったし、「書くと俗化するので書くべからず」と言い伝えられていたようだ。
著者の師曰く、「文章化する事自体無理であるし、文章化されると多くの人々は単なる知識としてしか受け止めない。江戸町衆の生活哲学や信条は体験遊学しなければわからない。」
しかし、駅のポスターや最近の世相、人間関係、悪質な犯罪が続発するにつれ、日本人が昔から持っていた知恵を見直そうと一人一人が危機感を持ち、その禁を破り、文章化することになったのだと思う。
江戸では、しぐさを見て江戸っ子かどうか判断したそうだ。つまり、出身地や身なりには関係がなく、全国どこで生まれても「しぐさ」が垢抜けていれば江戸っ子として通ったらしい。
江戸っ子の見分け方の最大公約数は「目の前の人を仏の化身と思える」「時泥棒をしない」「肩書きを気にしない」「遊び心を持っている」の四つといわれてる。
この本で、全貌の1/200くらいを取り上げたそうだ。
著者の師のおっしゃるとおり、「百聞は一見にしかず」であると感じた。
やはり、親が子へ代々伝えていく事は大事である。
a-van