2017年12月 の記事一覧

漱石山房の行く年

漱石山房記念館

 

作家の家を訪れるのは、なんとなくだけれど、年の暮がふさわしいように思われる。
東西線の早稲田駅をでて、穴八幡へお参りの人出を右手に見ながら、「漱石山房記念館」に向かった。入ってすぐに、再現された書斎がある。あまり広くないその書斎は、作品の中に、登場する。こんなふうに。
………
十月早稲田に移る。伽藍のような書斎にただ一人、片附けた顔を頬杖で支えていると、三重吉が来て、鳥を御飼いなさいという。飼ってもいいと答えた。しかし念のためだから、何を飼うのかねと聞いたら、文鳥ですという返事であった。(文鳥『夢十夜 他二篇』 夏目漱石作・岩波文庫)
………
行く年や猫うづくまる膝の上        漱石


黒豆

kuromame

黒豆を一晩水に漬けて

ゆっくり弱火で煮ると

つやつやの黒豆になった。

mame


大くまモン展 ですよ !

大くまモン展 ですよ !

 

上野は、シャンシャン、 銀座は、くまモン。
「大くまモン展」(松屋銀座で、12月28日まで)に行った。
こちらは、入場するのに抽選などなく、見物の時間に制限なく。しかも、無料。お楽しみください。

 

 


メリークリスマス !

 

東京は杉並区のとある住宅地。
そこに輝く 、 クリスマスデコレーション仰天ライトアップ。
一軒の住宅としては、ちょっと珍しい規模ではないか。と、昨年もご紹介した。「今年も、やっていますか?」という質問をいただき、寒空の下、行ってまいりました。やっていました。
路地を入ると、光のパレード。スマホを手に撮影するひと。通るクルマは、ここで、ややスピードを落とす。タクシーの窓に顔をつけて、眺める乗客。どれも、昨年と同じ光景だった。
メリークリスマス !

 

 


青りんご

 

aoringo

青りんごとブルーチーズとくるみ。

甘酸っぱい青りんごが

ほんのり甘く感じる組み合わせ。


シュトーレンの季節

シュトーレンの季節

 

小さいときから、 このシュトーレンという、菓子というか、パンというかが、好きだった。ふだんは見かけないのに、暮になると現れて、やがて消えていく。どういうものかと思っていた。
いま、辞書なんかをひいてみると、語源は坑道を意味して、そのカタチがトンネル状であるからだ、という。また、外側を覆う白い砂糖は、雪かと思ったら、産着を意味するともいわれている。
パンの店  DONQ のチラシに、「薄めに切ってクリスマスまで、少しずつお楽しみください」とある。そうなのか、そういうものなのか。
ま、とにかく、12月に入って、あちこちの店頭に顔をだしたから、待ってましたとばかりに買い、いま、在庫は4個。こうして、ツリーはなくとも、クリスマスの準備なれり、と思うのだ。

 


寒がりやのクリスマスカード

 

北欧料理店「ALLT  GOTT」

 

 

JR吉祥寺駅の北側、東急百貨店の裏通りといえば、おわかりでしょうか。
“ 北欧通り ”  がある。そのあたりを中心にこの季節、「北欧WALK」というイベントが行われている。
イベントのひとつ。通りに面した  北欧料理店「ALLT GOTT」のクリスマスカードを15年間、描いてきたのが、イラストレーター   サクラチエさん。その15年の作品展が、同じ通りにある「A.B.cafe」でひらかれている。〈12月25日まで)。
サクラさんは、セツ・モードセミナーで学んだ。この “広場 ”  の「私のセツ物語」にも、登場。 …… お仕事の中には、必ず自分の思うセツらしさを盛り込んで、  …… と書いている。
「クリスマスカードを見た方が、どこかにふと寒さを感じ、北欧料理で暖まろうかな、と、お店にきてくださればうれしいと思って、描いてきました」そう15年を振り返るのだった。


…………
「私のセツ物語」は、コチラからごらんいただけます。

 


すわり心地をおためしください!

『デンマークデザイン』展

『デンマークデザイン』展

 

『デンマークデザイン』展(損保ジャパン日本興亜美術館、12月27日まで)に行った。
……  デンマークは、近年人気を集める北欧デザインの中でも、数々の巨匠を輩出し続けるデザイン大国でもあります。…… それらのシンプルな美しさと機能性、技術力に支えられた高いクオリティは、現代までのデンマーク・デザインの大きな特徴をなしています。……(展覧会のパンフレットから)

目立つのは 椅子とテーブルで、どの展覧会でもそうなのだけれど、見て 座りたいなと思っても、座れない。そんなふうに今日も、最後の部屋まで来てみると、「Try  these  chalrs !  すわり心地をおためしください」のコーナーがあり、椅子が並んでいる。もちろん、座りましたとも。いい気持ちで。

 


続・太陽がイッパイです

太陽がイッパイ

 

『チルチンびと』94号の特集「太陽エネルギー住宅と薪ストーブ」にちなんで、ビブリオバトル「太陽」! のつづき。

Rさん。 わたしは、『短編少年』(集英社文庫)の中の一編。「僕の太陽」(小川 糸 作)を。亡き父の、夫の面影をたどって、ベルリンを旅する母と子。母は言う。
「マサキ(夫の名)はね、私にとって太陽そのものだったの。比喩とかそんなんじゃなくて、本当に太陽だった」 そしてまた「太陽がなくなったら、人は生きていけないでしょう? 動物も植物も、みんなすみやかに死んでしまうでしょう? 永遠の真っ暗闇に、命は輝けないの。」……〉
母にとっての夫は、太陽だった。しかし、僕にとっての母も、太陽そのものだった、と、母の再婚を聞いた息子は、語るんですね。

Cさん。 『ランポー詩集』(堀口大學  訳・新潮文庫)。この本のはじめのほうに、「太陽と肉体」という詩があります。いいですか、こんなふうにはじまります。
………
生命と愛情の源泉、太陽は
歓喜する大地に烈火の愛を通わせる、
………
本の終わりに「鑑賞ノート」があり、それによると、この詩は、一八七〇年四月作。最初は「唯ひとりのみ女を信じる」という題だった、とありますね。それぞれの心に潜んでいる、それぞれの太陽。その眩ゆい日射し。今回は、熱い楽しいバトルでしたね。


太陽がイッパイです

太陽がイッパイ

 

『チルチンびと』94号の特集「太陽エネルギー住宅と薪ストーブ」にちなんで、ビブリオバトル「太陽」!

Sさん 。 『太陽のかがく』(監修  渡部潤一・旬報社)ですね。この本のはじめに、
〈…… 太陽の光と熱のエネルギーは、昼という時間をわたしたちに与えてくれるだけでなく、海や陸を温め、植物を育て、そして洗濯物を乾かし、太陽電池で電気を生み出してくれるありがたい存在です。〉とあります。また〈太陽は地球にもっともちかいじぶんで光る星だ。でも、光と熱が強すぎるため、肉眼はおろか、天体望遠鏡でちょくせつ見ることはできない。〉とあります。
この機会、太陽についてしっかり学ぶなら、子ども向けの本に限ります。写真で太陽の熱さもあらためて、実感できました。

Dさん。 ぼくは、『太陽の季節』(石原慎太郎・新潮文庫)です。そのなかの文章から。
〈…… やがて夏がやって来た。竜哉は兄の道久とヨットを塗り直した。これは彼等兄弟の年中行事の一つである。パテを詰め、ペーパーをかけ、丸みを帯びたシーホースの船体を、女が肌の手入れをするように丹念に仕上げながら、彼等は去年の夏を思い出し、今年の数々の出来事を想像してみるのだ。……〉
1956年、この作品が芥川賞を受けたとき、さまざまな波紋がおこり、“ 太陽族 ”という言葉も誕生した。作者自身にとっても、太陽の季節だったのだろうか。

(つづく)