2017年12月10 の記事一覧

続・太陽がイッパイです

太陽がイッパイ

 

『チルチンびと』94号の特集「太陽エネルギー住宅と薪ストーブ」にちなんで、ビブリオバトル「太陽」! のつづき。

Rさん。 わたしは、『短編少年』(集英社文庫)の中の一編。「僕の太陽」(小川 糸 作)を。亡き父の、夫の面影をたどって、ベルリンを旅する母と子。母は言う。
「マサキ(夫の名)はね、私にとって太陽そのものだったの。比喩とかそんなんじゃなくて、本当に太陽だった」 そしてまた「太陽がなくなったら、人は生きていけないでしょう? 動物も植物も、みんなすみやかに死んでしまうでしょう? 永遠の真っ暗闇に、命は輝けないの。」……〉
母にとっての夫は、太陽だった。しかし、僕にとっての母も、太陽そのものだった、と、母の再婚を聞いた息子は、語るんですね。

Cさん。 『ランポー詩集』(堀口大學  訳・新潮文庫)。この本のはじめのほうに、「太陽と肉体」という詩があります。いいですか、こんなふうにはじまります。
………
生命と愛情の源泉、太陽は
歓喜する大地に烈火の愛を通わせる、
………
本の終わりに「鑑賞ノート」があり、それによると、この詩は、一八七〇年四月作。最初は「唯ひとりのみ女を信じる」という題だった、とありますね。それぞれの心に潜んでいる、それぞれの太陽。その眩ゆい日射し。今回は、熱い楽しいバトルでしたね。