2014年6月 の記事一覧

鳥いろいろ

『川上嘉彦 木工展 ~鳥の語らい〜』を観にMOTTAINAIクラフトあまたさんへ。以前「今月のプレゼント」でもご紹介させていただいた鳥の栞を作られた元インダストリアルデザイナーの川上さんの作品は、家具や建築材料の端材を使った「もったいない精神」溢れるもの。機能的でいて温かみがあり、美しく自然で、流れるようなラインは一度触るとしばらく撫で続けてしまう。さすが工業デザイナーさんの作品です。

川上さんは『原風景を歩く』という本も上梓されたそう。丁寧な文章とご自身で撮られた写真で日本各地の風景を綴った、とても美しい本です。川上さんの展示は6月末まで。常設作品もあります。あまたさんではいつも作家さんのことや京都のこと、いろいろ教えてもらって長居してしまいますが、京都たよりも同じく話題豊富で面白いのです。

 

今月は天神さんでも、鳥を見つけました。インド更紗の版木。いろいろな版木がある中から、なぜか鳥ばかりに目が惹かれましたが、いちばんいい(と思う)のを見つけました。

 

nowakiさんで昨日から始まった増田勉さんの個展にもいました。鳥。元美術教師をされていた増田さんは、古陶をお手本にしながら独学で陶芸を学び、10年前に退職されて独立し、神奈川県で作陶をされています。粉引、刷毛目、黒釉、灰釉などシンプルなものが並ぶ中、ところどころに愛らしい鳥柄に目がとまります。はじめは朝鮮の古い陶器に見られる野趣溢れる鳥を模写していたのが、だんだん可愛らしく変化してきてしまったのだそう。気は優しくて、力持ち。という形容詞がぴったりの増田さんのお人柄が、描く鳥に表れています。しっかりと焼きしめられた、丈夫で使い心地のよさそうな器がたくさん並んでいました。nowakiさんでの個展は7月6日(日)まで。

 


山積みパンダ

 

上野動物園に行ってきました。
初めての動物園で、パンダ、ゾウ、トラ、しろくま、沢山みて、子供が『ゾウたん、ゾウたん』と、ゾウが一番のお気に入りになりました。
私と旦那は、ぬいぐるみでも買ってあげようか?と、近くのお店に入り『これ、どう?』とゾウのぬいぐるみを子供に差し出した途端、『こわい~、こわい~』と半泣き状態で、ぬいぐるみに近寄らず逃げ出す始末。。。
結局何も買わずにお店を出ました。
私としては、むしろ山積みパンダの方が怖かった。。

 


今週の常備菜

週末に、常備菜をつくっておくと、

1週間安心して過ごすことができる気がする。

 


ひこ遠足のこと

 

アトリエひこは、ダウン症と重い心臓疾患をもつアーティスト・ひこくんのお母さんが、1994年に自宅でスタートし、ひこくんと同じように長時間の作業や活動が困難な仲間たちが集まって絵を描いたり、遠足にいったりする自主運営のアトリエ。縁あって、こちらの遠足に何度か参加させてもらっている。

ひこ遠足は、本当は絵の先生だけどみんなの保護者でもあり友人でもある史子せんせい、81歳ながら往復の運転をしてくれ、釣りや山菜摘みを教えてくれ、なんでも自作してしまう武爺せんせい、好奇心が旺盛で明るくストレートなひこくん、ひこ母さん、寡黙な釣り好きのなかくん、伝統、美、紙と文字にこだわるくにちゃん、慈愛に満ちた笑顔の癒し系せっちゃん、おしゃれお嬢様のかよちゃん、という個性豊かなメンバーが入れ替わりながら、午後から夕方の数時間、毎週どこかへ出かける。大阪近郊中心に、京都や奈良や和歌山などいろいろな場所で、お花見や、山菜天ぷらパーティーや、野点をしたり紙ヒコーキとばしたり。彼らは先天的な身体の障害もあり、山道を歩いたり言葉のやりとりが難しいときもあるれど、二人のせんせいが、それぞれの心身のコンディションを本当によくわかっているからみんな安心して個性全開で過ごしている。それぞれやりたいことを素直にやって、かなりマイペースだけどやさしくて、居心地がいい。それは作るものにもそのまま表れている。

世間は狭いもので、ある日奇遇にも、史子せんせいと田中茂雄さん がお知り合いだとわかった。ちょうど田中さんのところでなかくんの作ったものを焼いていただいたというので、先週作品を受け取りがてらgallery其無が遠足のコースになった。明日香村に溶け込み、田中さんの手仕事がすみずみに生かされていて、人間本来の暮らしを思い出すような素敵なところだった。

田中さん邸は『チルチンびと 80号』にも8ページにわたって掲載されていますので、ぜひご覧ください。記事は「7代先につなげたい、先人の心」 の近藤夏織子さんによるもの。風土と歴史に根差した田中さんの暮らしぶりが、近藤さんならではの視点で書かれています。チルチンびと広場からもこちらで冒頭部分を ご覧いただけます。

 

 

くつろぐくにちゃん

 

 

焼きあがったなかくんの作品は、とても面白かった。

 

予想のつかないかたち

 

 

ひこ画伯はいまアトリエで、田中さん邸で別れ際まで離れがたそうに撫でていたグレーの猫のことを描いているらしい。

 

 


サヨナラ、安西水丸さん

安西水丸

訃報を受けた日の夜、安西水丸さんの事務所へ。「義仲」と名付けて乗っていた自転車がさみしそうに止まっていました。追悼記事をつくるのは、辛くもあり、思い出に浸れる楽しい時間でもありました。(A.S)

『チルチンびと』80号に、こんな編集後記があった。「追悼・安西水丸さん   - 絵を描くことが大好きだった少年」は、さながら  “誌上・偲ぶ会 ”  である。「a day in the life 」を飾った、懐かしい、たくさんのイラスト。知人たちが語る想い出。連載第一回の再録。そこには、こういう文章がある。
……  陽が大きく西に傾き、真っ赤な夕日になってゆっくりと落ちはじめた。なんだか日本で見る夕日よりずっと大きく見えた。夕日のなかをニューアーク空港から飛び立った飛行機がトンボのように横切っていった。ぼくはロサンゼルスの友人の家で聴いた “ ア・デイ・イン・ザ・ライフ ”をおもいうかべていた。……

雑誌が、ポツカリと寂しくなった。

………
『チルチンびと』80号は〈特集〉古材を見ると、ほっとする  /  〈保存版〉古材最先端・日本の古材、アメリカの古材 / 「古材は強い」は本当か? / 古材を食らうムシたち / 古民家はなぜ人の心を打つのか / 古材が買えるショップリスト / 古材を生かした美しい家 / 古い着物への想い・古川三盛 / 鯰組・若きものづくりびとの肖像 / 〈特集〉ウッドデッキを楽しむ / 〈新連載〉書店びと・京都  恵文社一乗寺店 / 工務店がデザインする上質な木の空間…… ほか、充実の216ページ。


ジャンクな家が、できた!

ジャンクな家が、できた!

 

彼と私は、かつて、同じ編集部で働いていた。彼は、若い人らしく、シャツやスニーカーといったオシャレモノの情報にくわしく、パソコンなどの  IT  関係の店にも、よく通っていた。新しいもの好きだった。昼は、会社の近くの 「T」という喫茶店のフルーツサンドを好んで食べていた。やがて、私は編集部を離れた。彼が結婚した、家をつくっている、という話は人づてに聞いた。週末は、それにかかりきりである、という。


ところが、縁あって、『チルチンびと』80号で、この家を紹介することになった。私は久しぶりに、彼と話した。アメリカから運ばれた古材でつくられた家である、という。「そうなんです。家の外も内も壁も天井も、ぼくやオクサンで、塗りましたよ。もうヘトヘト。建て売りじゃない楽しさを、十分味わいました」。でも、なぜ、古材? 「彼女は、父親が趣味人で、小さいときから古いものに馴染みがあった。かといって、アンティークではなく、ジャンクなんですね。その大らかな文化から、こういう家が完成した」。これでもう、一段落かね? 「いやあ、庭は姫高麗芝なんですが、ちょっと油断するとすぐに雑草が生えてきて、手入れがタイヘンです。それに、彼女が今度は小屋を建てたい、といっていますし……」

ジャンク派  ×  新しいもの好き = アメリカンな家。
という、2人の掛け算に、幸せな答えが出たように思われた。
………
この家は「アメリカの古材や家具をパッチワークのように紡いで」というタイトルで、『チルチンびと』80号(6月11日発売)に掲載されています。

 


名も知らぬ花

川岸に咲いていた花

早朝、家をでて

川岸をぶらぶら歩き

花を摘んで帰ってくるという

最近の日々…

 


わさび菜

レースのような葉っぱと、

ぴりっとした後味が特徴の、わさび菜。

ごっそり買ってしまったので、

ワインクーラーで一休みしてもらう。

 

 


奈良井宿の藤屋さん

先日「和の手ざわり」取材で伺った奈良井宿の手作りの店 藤屋さんで一目ぼれした土人形。

棚にちょこんと飾った、おかめひょっとこの仲睦まじい?姿を見るたびに、ニンマリしてしまう。

お店にあった木のからくり人形や、版画や絵などもすべてご主人の手によるものだった。あまりの愛らしさに道行く人が次々に足を留めて見入っていく。とても時間をかけて、最初から最後まで一人の手で生み出される、とても時間も労力も使う作品だけれど、これはあくまでもおもちゃだから、といって何十年もの間良心的なお値段で売り続けていく姿勢がかっこいい。店をきりもりする奥さんは言葉少なめだけれど包容力があって、ご主人とご主人のつくる作品と、奈良井宿の人や街がほんとうに大好きなのがじんわり伝わってきて、また戻ってきたくなった。

何かを守っていくことの方が大変になってきた時代に、この美しい町並みが一層ありがたくかんじられる。