ジャンクな家が、できた!

ジャンクな家が、できた!

 

彼と私は、かつて、同じ編集部で働いていた。彼は、若い人らしく、シャツやスニーカーといったオシャレモノの情報にくわしく、パソコンなどの  IT  関係の店にも、よく通っていた。新しいもの好きだった。昼は、会社の近くの 「T」という喫茶店のフルーツサンドを好んで食べていた。やがて、私は編集部を離れた。彼が結婚した、家をつくっている、という話は人づてに聞いた。週末は、それにかかりきりである、という。


ところが、縁あって、『チルチンびと』80号で、この家を紹介することになった。私は久しぶりに、彼と話した。アメリカから運ばれた古材でつくられた家である、という。「そうなんです。家の外も内も壁も天井も、ぼくやオクサンで、塗りましたよ。もうヘトヘト。建て売りじゃない楽しさを、十分味わいました」。でも、なぜ、古材? 「彼女は、父親が趣味人で、小さいときから古いものに馴染みがあった。かといって、アンティークではなく、ジャンクなんですね。その大らかな文化から、こういう家が完成した」。これでもう、一段落かね? 「いやあ、庭は姫高麗芝なんですが、ちょっと油断するとすぐに雑草が生えてきて、手入れがタイヘンです。それに、彼女が今度は小屋を建てたい、といっていますし……」

ジャンク派  ×  新しいもの好き = アメリカンな家。
という、2人の掛け算に、幸せな答えが出たように思われた。
………
この家は「アメリカの古材や家具をパッチワークのように紡いで」というタイトルで、『チルチンびと』80号(6月11日発売)に掲載されています。