2021年2月 の記事一覧


『写真家 ドアノー 音楽 パリ』(Bunkamura ザ・ミュージアム、3月31日まで)に行く。会場のパンフレットによれば、「パリに暮らす “ 普通の人々 “のきらめきに満ちた生活を目撃する」ということである。
「日常生活の中で偶然出会う、小さな種のような瞬間をカメラに収め、それが人々の心の中で花開くことを思うと大変うれしい。」というドアノーの言葉も、パンフレットにある。「白黒(写真)はいいね」という小さな声を会場で聞いた。今はもう見ることのない、コンタクトというのか密着というのかを、懐かしく見た。
帰りにショップで、ファイルとイチゴジャムを買って、コロナの街へ出る。そんな、冬の終わりの日。
2021/02/25 未分類
AUTHOR:admin

『あしたのジョー』展(世田谷文学館、3月31日まで)に行く。
「あしたのジョー」は『週刊少年マガジン』に1968年1月から連載された。1973年5月に最終回。掲載当時、ラストシーンの話題。その頃の自分のことを思い出す。会場を訪れている人たちも、そんなふうに、作品と時代と自分を重ね合わせてみているのではないか。
2021/02/21 未分類
AUTHOR:admin

公園は、冬のほうがいい。
という書き出しの、山口瞳さんのエッセイが、好きだ。
冬の公園は空いている。
空気が澄んでいる。
暖い日の冬の公園はいい。すこしぐらい寒い日でもいい。木の葉がすくないから、すきとおって見える。遠くまで見渡せる。乾燥しているから、音がひびく。静かだ。落ち葉がないから径も固くかわいている。陽差しが薄いから森が美しく見える。
と、つづいていく。
また、読んでいるうちに、公園に行きたくなって、井の頭公園に行った。
公園は冬のほうがいい。
2021/02/17 未分類
AUTHOR:admin

『美を結ぶ。ひらく。 美の交流が生んだ6つの物語』(サントリー美術館、2月28日まで)に行く。
〈…… サントリー美術館は、2007年3月、六本木の東京ミッドタウンに移転開館して以来、「美を結ぶ、美をひらく。」をミュージアムメッセージに掲げ活動してきました。例えば、古いものと新しいものが時代の枠組みを越えて結びつく。東洋と西洋、国や民族といった文化の境界にとらわれず結びつき、新しい美が生まれる。このように、異なるものが結び、ひらくことは文化の本質であり……〉と、展覧会のパンフレットに、言う。
〈美の交流によって紡ぎ出された物語に出会う旅へ、あなたをご招待します。〉ということである。
2021/02/13 未分類
AUTHOR:admin

『眠り展』(東京国立近代美術館、2月23日まで)に行く。「アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで」というサブタイトル。
序章の「 目を閉じて」から始まって「夢かうつつか」「生のかなしみ」「私はただ眠っているわけではない」「目覚めを待つ」「存在の証しとしての眠り」「もう一度 目を閉じて」とつづいていく。
観ているうちに、この間、ラジオの情報番組で知った「人間は7時間、睡眠をとるのがいちばん体にいい。長生きする」という、研究結果を思い出した。たくさんの絵や写真の眠る人に、もう起きたほうがいいんじゃないか、と語りかけた。
2021/02/09 未分類
AUTHOR:admin

神楽坂上から、狭い路地に入り、石畳をゴツゴツ歩いて下りて右、旅館・和可菜がある。文壇の人たちにも愛された、と言っていいのかな。というのも、筆が進まずカンヅメになった人も多いだろうから。それで思い出すのは、作家・野坂昭如 vs 編集者・村松友視。書けない書かない野坂さんを、当時文芸誌『海』の編集者だった村松さんが、和可菜に、カンヅメにした。
これで、一安心など、とんでもない。野坂さん、逃げるのである。外出するのである。そうはさせじと村松氏、入り口近くの部屋に陣取る。客の出入りをチェックするため、チャイムが鳴る仕掛け。これなら逃亡時、音でわかる。一安心など、とんでもない。人の動きを感知する光線の当たらないコースを研究した野坂さん、音を立てずに密かに出かけてしまった、という。
そんな作家と編集者の愉しきバトルの現場。いま、改装中で、消えてしまった。さて、つぎは、どんな新しい顔を見せてくれるのだろう。
2021/02/05 未分類
AUTHOR:admin