2018年9月30 の記事一覧

横山崋山と『坊っちゃん』

『横山崋山』展

 

『横山崋山』展(東京ステーションギャラリー 11月11日まで)に行く。

会場内の解説にいう。「かつて有名であったにも関わらず、忘れ去られてしまった絵師がいます。横山崋山は、江戸時代後期の京都で活躍した人気絵師です。…… 崋山の名は、没後しばらくは有名な書画家の一覧表に掲載されたり、夏目漱石の『坊ちゃん』に登場するなど、知られていたようです。…… 」  読み直してみた。

坊っちゃんが、教師となって住んだ下宿の亭主が書画骨董好き。
〈始めに持って来たのは何でも印材で、十ばかり並べて置いて、みんなで三円なら安い物だ御買なさいという。田舎巡りのヘボ絵師じゃあるまいし、そんなものは入らないといったら、今度は崋山とか何とかいう男の花鳥の掛物をもって来た。自分で床の間へかけて、いい出来じゃありませんかというから、そうかなと好加減に挨拶をすると、崋山には二人ある、一人は何とか崋山で、一人は何とか崋山ですが、この幅はその何とか崋山の方だと、くだらない講釈をしたあとで、どうです、あなたなら十五円にして置きます。御買なさいと催促をする。……〉(『坊っちゃん』 夏目漱石作 岩波文庫)。