2011年8月 の記事一覧

ムーミンと仲間たち―作家トーベ・ヤンソンからの贈り物―

お盆は夫の実家に帰省。その間、山梨県立美術館に行ってきました。

夏休みということで親子向けの特別展「ムーミンと仲間たち―作家トーベ・ヤンソンからの贈り物―」というのをやっていた。ここにあるミレーの作品もとてもいいので何気なく立ち寄ったのが、これがなかなかどうして大人向けの内容だった。原画を元にした、130点余りのデジタルリトグラフ、小粒でもスパイスの効いた作品ばかりが集まっていて見ごたえがある。登場人物の誰もがそれぞれに独特で、変な癖があったり、何か気になる興味深いキャラクターばかり。自然の描写力もすごい。海の大波の迫力とか、ムーミン谷の季節ごとの景色、ムーミン一家の家の間取り図の細かさにいたるまでどこにも手を抜かない。カラーの作品も、初版絵本の表紙も全部欲しくなる、食べたくなるような絶妙の色合い!まさしく神は細部に宿るのだ!

作者本人がムーミンの世界に夢中になっているのがよくわかる、愛情を感じる絵ばかりだった。世界の多くのファンを虜にしてしまう秘密はそこかもしれない。往年のファンには常識なのだろうけど、私は作者のトーベ・ヤンソンを女性だったことすら知らなかった。若いころから「グラム」という風刺雑誌の表紙で、ヒトラーやスターリンの風刺画を描いていたらしい。風刺画の片隅に小さな小さなムーミントロールが顔をのぞかせている絵もあった。深い人間に対する洞察力があるからこそ生まれた鋭い政治批評と、愛すべきムーミン一家が暮らす理想郷、ムーミン谷の世界。

つらいことから目をそむけず批判精神も持ちつつ、いつもユーモアと愛情も忘れないで。というトーベ・ヤンソンからのメッセージを感じた。親子連れやファンの人たち以外にもぜひ知ってほしいこの世界。彼女の書いた小説も読んでみたいのです。

 


『上を向いて歩こう』

 大震災のあと、『上を向いて歩こう』 が、たくさんの人にうたわれ、たくさんの人のこころをとらえたことに、驚く。さて、それとはべつに、永六輔さんは、自身のこんな゛ニガイ体験゛についても、語っている。

 — 近年、永さんは、せかせかと前傾姿勢で歩く度合いが、はげしくなった。そして、運悪く、転倒することも、増えた。それを直すための治療が始まった。大またでゆっくりと歩くように、というトレーニングが、病院で行われたとき、歩行訓練の担当者が提案した。「そうだ。『上を向いて歩こう』を、うたいながら、歩きましょう。この歌、ご存知ですよね?」 

 その担当者は、隣にいる男性が、歌の作詞者本人であることを、知らない。しかし、永さんは、言われるままに、『上を向いて歩こう』をうたいながら病院の廊下を歩いた。病院のなかには、永六輔さんであることを、知っているひとも多い。その情景にさまざまな視線が集まる。 — 哀しいような、痛ましいような、そして、少しおかしいような。

 ところで、永さんは、名字にちなんで、「エイ」のいろいろ — 絵葉書、アクセサリー、置物などなどの蒐集をしている。今日私は、近くの市場で「エイのヒレ」を見つけた。これは、これは。早速、残暑見舞いをかねて、さしあげる手配をしたところである。

エイヒレ


皇帝の愛したガラス

皇帝の愛したガラス

東京都庭園美術館にて開催されている「皇帝の愛したガラス-Glass Admired by the Russian Tsars-」

展示構成は、1章[ルネサンスからバロックの時代へ]、2章[ヨーロッパ諸国の華麗なる競演]、3章[ロマノフ王朝の威光]。

無色ガラスに、糸状の乳白色ガラスを挿入した鉢やカップ。どういう工程で出来上がるのか想像もつきませんが、このような質の高い技術が15世紀~18世紀の時代にすでに確立されていた事に驚きです。

鉢・タッツァ

鉢・タッツァ ヴェネチア 16世紀後期

一番、私が魅せられたのは、ナポレオン1世のモノグラムのある旅行用タンブラー、革のケース入り。Nの文字の下にカットを入れ、その下に細やかなカット、そして、グラスの底の部分に湾曲したカット、それが外側の大きめのカットに反射してまた別のカットが映し出される。美しい。

旅行用タンブラー、革のケース入り

旅行用タンブラー、革のケース入り フランス、19世紀初頭

他にも素晴らしい技術の数々。

それらが陳列されている館内、玄関には、René Laliqueのガラス・レリーフ扉があり、ところどころにアールデコ的な装飾がほどこされた列柱やベランダ廻りのレリーフなど、庭園美術館は建物そのものが美術品と言ってもよいのではないでしょうか。

そういった事も含め、十分に満足できます。
この展覧会は9/25(sun)まで開催されています。

 


サプライズ~♪

サプライズで、旦那さんからプレゼントをもらいました。

 

グローブ

 

私が好きなアーティストのシンボルとなっているグローブ♪

 

ちなみに、このグローブは、

スワロフスキーでクリスタルを買ってきて、

旦那さんがコツコツと手づくりで作ってくれたそうです。

 

「貼るの大変だったよ~。ピシ~ってなるように計算したし♪」と

笑いながら言っていた旦那さん。

 

1粒1粒貼り付けるの本当に大変だっただろうな…

と思うのです…。

 

 

この手づくりのグローブ♪

世界に1つしかない私の宝物です。

 

amedio(^_^)


神保町で「版十展」

 10数年前、ぴかぴかの社会人1年生だった私の勤務先は神保町。気づけばその魅力にどっぷりはまり、6年後、会社の移転とほぼ同時に転職を決めたときには会社が移転するから辞めるんだろうと疑われたものです。その後、色々な場所に勤務したけれど、神保町以上の街はめったにないです。昨年「チルチンびと」編集部との出会いを機に、再びこの神保町を訪れる機会が増えました。ここは一週間、いや一か月でも毎日違う店で美味しいカレーが食べられる、カレー天国。老舗の素敵な喫茶店もたくさん。かつて私(の胃袋)を支えてくれた街。そして膨大な古本屋がひしめく、知的好奇心をも満たしてくれる街。

 そんな愛すべき神保町の老舗文房具屋&ギャラリー「文房堂」にて、友人の節風歩(せつ かざほ)さんから版画展をしているとお便りをいただいたので、観に行ってきました。せつさんには以前お仕事でイラストを描いていただいたことがあり、「思いっきり変な怪人みたいなキャラクター」をオーダーしましたが、どこかぽわんとして、可愛くてとぼけていて、思わず笑ってしまうゆるーい独特の世界。淡い色が重なり合ったところに、ワンポイントがくっきりと浮かび上がる感じなどは版画ならではの味わいなんだろうと勝手に想像してますが、そのせつさんらしさは変わらず、とても素敵な作品でした。

グループ展なので個性の違う作品を色々観られるのも面白いです。10人の女性による「版十展」は8月13日(土)まで。ノスタルジックな夏の版画展で、涼しい気持ちになれますよ。 神保町散策がてらに立ち寄られてみてはいかがでしょうか。

 


かき氷の微笑

かき氷

 ゛かき氷評論家゛ と、これはまあ、私が勝手につけたのですが — そういうひとが、いる。 「近場でどこがいいか、教えてくれよ」 と、私は訊いた。

 「西荻の゛甘いっ子゛かな。超人気。いま時分だと、お店の外に早くから行列ができています。例えば、氷イチゴだと、ほかの店のシロップとは違い、イチゴジャムというカンジのソースですね。十条の゛だるまや餅菓子店゛は、天然氷がウリ。なんでも、日光から運んでいるとか。食感にありがた味がある。あとは、山の上ホテルのコーヒーパーラーかな。作家の方が、あのホテルのてんぷらのことは、よく書いていますが、かき氷は、あまり —」

 行ってみた。入り口におなじみの゛氷゛の、のれん。フルーツ寒天のかき氷、1050円 (写真)を注文。スプーン、フォークなどが、きちんと並べられ、かき氷とは言え、厳粛な気分になる。ふんわりした氷の中に、あちこち寒天ゼリー、サクサクサク。シャロン・ストーン主演の『氷の微笑』 という映画があったな、などと、意味のないことを考えている。


蕎麦三昧

先日、お蕎麦のフルコースを食べてきました。

お店は、一見、普通の家に、小さな看板があり、地図を見ながら行ったものの、迷ってしまいました…。

 

蕎麦クレープや早蕎麦など、普段あまりお目にかからない蕎麦料理の数々を堪能しました(^_^)

 

 

他にもいろいろな形でお蕎麦をいただきました。

大満足♪♪

 

そういえば、数か月前に古道具屋の西洋見聞録の塩見さんとお蕎麦を

食べる機会がありまして、お蕎麦の食べ方を教えてもらいました。

 

お箸を垂直に立てるようにして、蕎麦をとる。

それが一口で食べる蕎麦の量だよ!!

 

とのことでした。

 

実際にやってみると、確かに一口分くらいしかつかめない!

 

蕎麦は、食べ方から、調理方法まで奥が深いです!!

 

amidio (^_^)

 


草木染め

引き染めの体験をした。

引き染め

初挑戦


体験させていただいた先生は、
従来の草木染めとは全く異なる製法を考案した人である。

沸騰せず、化学染料を一切使わず、アルコール漬けにして染液を抽出する「薬草染め」。


耐光(日光)・摩擦・水の3堅牢度検査をパスしているのは無論、

アルコールは蒸発性が高いため、引き染めしても自然の色合いを布に表現でき、

退色変化が少なく、少量の染液で仕上げる事ができる。

 

仕事に精通していくうち、

「草木染めには天然100%ものがないのか?」

という疑問にぶつかり、独自の研究がはじまったそうだ。
これまでに研究・実験用に採取した植物は1000種近くになる。

今回使用したものは、ぶな(白)、すおう(赤/オレンジ)、ハグマノキ(黄色)

 

引き染め

白、オレンジ、黄色を使用

帯

着物に合わせるとこんな感じ

 


最近は、沖縄県の県花。琉球松、デイゴの研究に没頭しているそうだ。

琉球漆器の材料にもなるそうだ。

デイゴ

あだ名はデストロイヤー

a-van


日本の美に気づく

 

「風の旅人」という雑誌の編集長のブログ、7月30日の「物事が変わる節目」にちょっと感動してしまった。この中に「現在の日本に覆い被さっている西欧の形式だけを借りたようなシステムが、日本人本来の良さに蓋をしてしまう結果になっているのではないか」という記述があった。ここ、チルチンびと広場の「古道具屋の西洋見聞録」でも、著者の塩見さんは日本人と西洋人のメンタリティや習慣が違うのに、外見だけとりいれることに疑問を感じている。岡倉天心は100年も前に「諸君は心の落ちつきを失ってまで膨張発展を遂げた。われわれは侵略に対しては弱い調和を創造した。諸君は信じることができますか、東洋はある点で西洋にまさっているということを!」と言っている。

昨年、夏の終わりに京都旅行をした際、聴竹居を訪ねた。モダンな中にも日本的情緒をたっぷり残した外観。室内に流れる静謐で凛とした空気。単なるシンプルとも違う、飾り立てるのとも違う、細やかな視点での「美しい無駄」がところどころに散りばめられている。暮らしやすさを工夫した設計には発見がたくさんあって面白い。ことさらに「和」と「モダン」をうまくコラボレーションしました!みたいなアピールがなく無理のない美しさを追い求めていったらここにたどり着いたという自然体。折り目正しく誇り高い中にも、謙虚さも可愛らしさもあって・・・日本人が本来持っているはずの美意識が確認できるような、効率化を追い求めて忘れてきたものを立ち止まって思い出させてくれるような、静かで美しい場所だった。

 

本日発売の68号「チルチンびと  花の庭、花のしつらえ」の特集「響きあう花と“聴竹居”」では、むやみな西洋の模倣を滑稽と感じ、現代を生きる日本人の理想の住まいを作ろうとした建築家・藤井厚二が、今の日本に語りかけるものとはなにか、をこちらの保存活用の第一人者である松隈章氏が解説しています。花とともに撮った「聴竹居」の美しい佇まいが印象的。ぜひご覧いただきたい、素敵なページになっています。

 

 

 

 

 


パン西東

 CAFE MILLET

 発売になったばかりの『チルチンびと』別冊38号 —関西・瀬戸内・福岡の家づくり— を読んでいたら、「石窯とパンと人とをつなぐ CAFE MILLET」という記事に出会った。

 MILLETとは、雑穀である。隅岡樹里さんが、「石窯のあるカフェがやりたい。自然のエネルギーを使ってパンを焼いてみたい」と思い立って始めた店である。雑穀や地元の野菜たっぷりのコース料理が、楽しめる。また、石窯ワークショップが開かれ、石臼で小麦を挽き、全粒粉のパンを石窯で焼く体験もできる、という。京都市内から鞍馬方面へ、山あいの道を抜けたところに、その店はある。

 私の手もとに、友人がくれた雑誌の切り抜きがある。そこには、ドイツ・ベルリンの「古パン屋」という商売の話が載っている。店頭に並ぶパンのほとんどはオーガニックな全粒粉。値段は市価の半額。すべて、他の店で前日売れ残ったパンを仕入れたもの。全粒粉のパンは、焼いて2、3日が食べごろなのだ、とその記事にはあった。

 「神保町は古本の街だから、古パンも似合うかと思ってさ」と、切り抜きをくれた友人は言った。