神保町で「版十展」

 10数年前、ぴかぴかの社会人1年生だった私の勤務先は神保町。気づけばその魅力にどっぷりはまり、6年後、会社の移転とほぼ同時に転職を決めたときには会社が移転するから辞めるんだろうと疑われたものです。その後、色々な場所に勤務したけれど、神保町以上の街はめったにないです。昨年「チルチンびと」編集部との出会いを機に、再びこの神保町を訪れる機会が増えました。ここは一週間、いや一か月でも毎日違う店で美味しいカレーが食べられる、カレー天国。老舗の素敵な喫茶店もたくさん。かつて私(の胃袋)を支えてくれた街。そして膨大な古本屋がひしめく、知的好奇心をも満たしてくれる街。

 そんな愛すべき神保町の老舗文房具屋&ギャラリー「文房堂」にて、友人の節風歩(せつ かざほ)さんから版画展をしているとお便りをいただいたので、観に行ってきました。せつさんには以前お仕事でイラストを描いていただいたことがあり、「思いっきり変な怪人みたいなキャラクター」をオーダーしましたが、どこかぽわんとして、可愛くてとぼけていて、思わず笑ってしまうゆるーい独特の世界。淡い色が重なり合ったところに、ワンポイントがくっきりと浮かび上がる感じなどは版画ならではの味わいなんだろうと勝手に想像してますが、そのせつさんらしさは変わらず、とても素敵な作品でした。

グループ展なので個性の違う作品を色々観られるのも面白いです。10人の女性による「版十展」は8月13日(土)まで。ノスタルジックな夏の版画展で、涼しい気持ちになれますよ。 神保町散策がてらに立ち寄られてみてはいかがでしょうか。