2013年3月 の記事一覧

「いわてんど」に行ってきました

渋谷ヒカリエShinQs クラフトビューローで3月20日(水)まで開催中の、Holzさん&raumさんの期間限定ショップ「いわてんど」に行ってきました。「てんど」とは方言で「手作業、手際」というような意味だそう。岩手を中心とした東北地方の手仕事がぎゅぎゅっと集まる空間を、店主の平山貴士さんが案内してくれました。

まずはHolzさんオリジナルの家型ペーパーウエイト。

 

南部鉄器や真鍮、漆、木工などの作家さんと共につくられています。形はシンプルですが、かなりの手間と技術が必要で、ひとつひとつ神経を使う製造工程なのだそう。手にしてみるとどれも見た目よりずっしりと重いです。そして気になったのが、入口にあるこの馬。

 

「忍び駒」といって、花巻地方で古くから縁結びや子孫繁栄、五穀豊穣などの祈願の使い駒として円万寺観音に伝えられている藁の馬人形だそうで、本当は赤、黒、黄色のドイツカラーを纏わせたり鈴をつけたりして飾り付けるのだそうですが、こちらは、布と紐のシンプル衣装のHolzさんバージョン。また、福島の郷土玩具「赤べこ」も、Antique Showさんの手でちょっとモダンな「グレベコ」に。

 

緻密で繊細な藤澤康さんの木箱、美しい縞と軽さが使いやすそうな関口憲孝さんの器、思わず手に取って握ってしまう高橋大益さんの南部鉄器のクルミ型ペーパーウエイトや、柔らかい曲線を生かした田代淳さんの漆の器とブローチ、伊香英恵さんのシックで春らしいストール…など、伝統と新しさがセンス良く組み合わさった「てんどのいいもの」が並びます。

 

 

 

 

 

 

『てくり』も発見。眺めるだけで、ほんわかのんびりしてくる地元愛溢れるミニコミ誌。

 各地方に訪ねるたびにこういういい本を発見する機会が増えている気がします。創る側もとても楽しんでいて、取材や撮影をされる側も写真の笑顔がすごくリラックスしていて。その土地に生まれ育って(または移り住んで)毎日のように目にする出来事や風景でも、ちゃんと伝えたい残しておきたいと思う、自慢のモノ・コト・ヒト。そういう作り手の熱が入っていて、本から鼓動や体温が伝わってくるようで、いいなぁと思う。地元の方のレシピや、作家さんを集めた本など、てくりさんによるbookletもイイのです。

そして、この日なんと偶然、平山さんのお兄様であるヒマラヤデザインさんがいらしてました。DMのよさが光っていた今回の「いわてんど」。

こちらのDMデザインをはじめ、宮古名物いかせんべいのはかたやさんのパッケージデザインも手がけられています。このジャケ買い必至!の可愛いパッケージを囲んで、貴重な兄弟ツーショットしていただきました。

 

後半は奥様であるraumさんとお店番をバトンタッチされるそう。お店をされながらの長丁場の出店、大変です。この日は残念ながらなかったのですが、大人気の宮古のソウルフード「相馬屋」さんのパンの入荷もあるそう。気になります。ぜひ、自分だけの「いわてんど」を見つけに行かれてみてください。 今後も各地で開催されるそうなので、どうぞイベント情報をお見逃しなく♪

 


小さな「粋」

『チルチンびと』75号

 

『チルチンびと』75号の “ 小さな「和」” という特集を読んでいて、「和」というのは「粋」のことかもしれない、と思った。

粋といえば、Fという下駄屋の方のこんな話を、切り抜きに見つけた。「あたくしども、手を拝見すれば足の文数がわかります。足の大きさによって、鼻緒のすげ具合を加減しますが、昔の粋なお客さまは前つぼをきつく、きつくとおっしゃいます。深く履くのはヤボだとおっしゃって、爪先につっかけるようにして足早にさっさとお歩きになる……」

友人が「息子がどうにか、大学を卒業した」と言う。よかったじゃないか、と答えると 「 なに、下駄を履かせてもらったんだろ」と笑った。下駄を履かせる、というのは、採点を高めにあんばいしてもらった、ということだろう。あまり、下駄も見かけなくなった今、こんなことばも、通用しなくなる。ヒールをつけてもらう、とでもいうのだろうか。まさか。

(『チルチンびと』75号は、ただいま発売中です。)


小さな和、小さな話

「チルチンびと」75号

 

和のある暮しといっても、それなりのセンス は必要だ。和室を作ったからと招待されるこ とがあるが、主役でございと構えている囲炉裏 や、そこに骨董店か何処かで見つけてきたらし い自在鉤があったりするとうんざりする。 (「a day in the life 」 安西水丸 )

大学の建築学科でも「床の間」を読めないだけ でなく、知らないという学生が増えてきました。 (「『和』のデザインとは何か」中山章 )

そもそも 「座」という字は 「空間」を意味する。 (「日本人の坐り方」 矢田部英正 )

「 “ 和 ”っていうのは調和の和。その調和をつくり出す のが素材なんですよ 」と泉幸甫さん。( 「家族を包む やわらかな『和』の光 」)

洋食が多かった我が家の食卓は、出産後、すっかり 和食に変わった。肉料理が減り、魚が登場する回数 が増え、煮物やお浸し、焼き魚などシンプルなものを つくるようになった。 ( 「 日々、まめまめしく。」塩山 奈央 )

(以上は、『チルチンびと』 75号 特集 “ 小さな「 和 」” に見つけた言葉です。  『チルチンびと』75号は 3月11日発売です)

 


柱時計

トライフル

 

あれは、なに通りというのだろう。西荻窪駅南口を出て、「輪島ボクシングジム」やカキ氷で人気「甘いっ子」のある道を歩いていくと、アンティークの店「TRIFLE」(トライフル)。店内は、カチカチコチコチボーン、という音がたえず聞こえる。「柱時計は家族ですよ」と、店主の寺山和弘さんは言った。時計のネジを巻くときも「あ、ご飯をあげてなかった。ゴメンゴメン」と思うそうだ。いいなあ。と私は何度も言った。この幸福感はなんだろう。それにしても、いいなあ。

「時間はね、こうやって、大きい時計に入れて家の柱にかけとくのが一番いいんだよ。みんなで同じ時間を持つことができるから、しあわせなんだ。腕時計なんかに入れて、時間を外に持ち出そうなんて、とんでもない考えだ 」  ー 臓器交換序説 ー (『両手いっぱいの言葉』新潮文庫 )

こんなふうに、寺山修司は書いている。それにしても、いいなあ。私は、また言った。

 

「今日もアンティーク日和」(トライフル篇  )はこちらからごらんになれます。


第1回 チルチンびと住宅建築賞 授賞式

第1回チルチンびと住宅建築賞の授賞式が、主催者の風土社で行われた。

まずは風土社代表・山下武秀氏の挨拶。「この賞は日本の住まいをより豊かにするため、そして地域からの住まいのデザイン、すなわち地域工務店のデザイン力が向上し、職人の仕事の活性化や林業の再生を目指し、競合に負けず、家づくりに関わることをもっと楽しむため、今年度から創設した賞です」とのお話。

続いて審査委員長の建築家・泉幸甫氏より「20軒ちかくの家を地域工務店とつくってきた、その経験からしても、やはりデザインができないとこれからは厳しい。とにかく図面を描くことが大切。今回3つも受賞した安成工務店にはいろいろな理由があるだろうが、社長に聞くと設計が非常に好きで、とても時間をかけている・・・・設計者に対する賞というのがこれまであまりなかったけれど、こんな風に人の目に触れていくことで励みになる。設計者の育成は今後の家づくりにおいて非常に大切、そして設計者のプライドを育てるためにも賞の創設にはとても意義がある」とのお話。

審査委員の建築家・田中敏溥氏の「安成工務店設計者・三浦和さんの言葉 “ 家族の暮らしがまちにこぼれるような家 ” という表現がいい。家族間はもちろん、隣近所や街や道路とも仲の良い家ということが表れており、とてもいい家」という講評。同じく審査員の建築家・松本直子氏の「私は昔は手描きで図面を引いていて途中からCADになったのだけれど、手描きだと一本の線に根拠がないと引けない。その一本の線の意味をCADを最初から使うようになった今の設計者にも大切にしてもらいたい」という言葉。印象的だった。

泉審査委員長は「家のデザインというのは、設計だけでなく家族のありかたのデザイン、また個々人の人生のデザイン、景観が周囲に馴染んでいるか、人が出入りし集まる活動拠点として地域に溶け込んでいるか、などなどさまざまな事柄を含んでいる、そういう統合力が必要。今回、第1回にしてはレベルが高いけれども、まだまだこれから。回を重ねて一層素晴らしい家が出てくることを期待している」とお話されていた。受賞された設計者の方々の言葉からも、それぞれの住まいが家族の理想を汲みながらも流されず、子や孫の代、環境や地域との関係性をていねいに考え、非常に苦労しながら完成されたことを感じた。

 

こちらの受賞住宅事例と受賞者及び審査員の言葉、次回の応募要項など、詳しくは3月11日(月)発売の75号チルチンびとp158~173に掲載されています。これからの家づくりや暮らしについて、何かしらのヒントが得られると思います。どうぞご覧ください。

 

 


奈良からの贈り物

いつもこちらで心を癒してくださる奈良町宿「紀寺の家」さんも出展されているということで、昨日まで松屋銀座にて開催されていた「T・E・I・B・A・N japan classic 奈良展」に月曜の夕方お伺いしました。残念ながらちょうどご不在でお会いすることができなかったのですが、他にも興味を引かれるものをイロイロ発見。

まずはPonte de pie!さんの靴下。

 

靴下はつま先の方などとても工程が多いのだそう。職人さんが一台一台機械の調子を読みながら編み進め、快適な履き心のために部分部分で糸を変え、さらに手洗いして自然乾燥させるというていねいな作り方のため量産ができないそう。vigoは早速ハイソックスを購入して履いており、実際とても快適だそうです。もうひとつ気になったのが、ブースにいらした田中さんの足が、非常に細い! もしやこれはこの靴下のせいなのでは? と回し者でもなんでもないのですが、勝手に読んでます・・・vigoの足の変化を観察したいと思います。

TSUJIMURAさんの葛菓子の美しさにも目をひかれます。初め落雁かと思ったら、もっと薄甘く繊細で、ほろりと優しい口どけです。色も自然のものだそうで、「森の中へ」「星とダンス」という名前も、パッケージもすべてが詩的で、風雅なお菓子。

 

「森との関係」の山本さんが案内してくれた和蜜石鹸は、とても泡立ちがきめ細かくなめらかだそう。ヒノキと杉のアロマオイルの香りで、心が静まります。帰りにヒノキチップを少しわけてくださり、これを嗅ぎながら(怪しいですが)乗ると、不思議。満員電車にもイライラしません。

 

他にも、くるみの木さんや、お茶のinokuraさん、奈良筆の管城さんなど、小さな白いスペースに奈良の心が集結し、異なるお店が数々集まっていると思えないほど統一感と気品があって、どれも贈り物にしても喜ばれそうなものばかり。さすが古都の風格でした。

 


建築・建材展2013に行ってきました

本日より東京ビッグサイトでスタートした「建築・建材展2013」へ行ってきました。こちらは「日経メッセ 街づくり・店づくり総合展」のひとつとして開催されているもので、すべて合わせるとかなり大規模な展示のため、朝から結構人出が多いです。タイルびとがワークショップをしているということでTNコーポレーションさんのタイルブース「TILE PARK」を訪ねてみました。

 

にぎわっています。

ワークショップ風景

ワークショップは、好きな形を選び、土を型に入れて、好きな色を選ぶと後日焼いておくってくれるというもの。8日までの期間中いつでも受け付けているそうです。

そのタイルブースでお会いした八幡工業さんのいらっしゃるイケダコーポレーションさんのブースにもお邪魔してきました。天然漆喰が、落ち着いたムードを醸し出しています。

国産材のコーナー、飛騨産業さんのブースに『飛騨』を発見。牧野伊三夫さんが飛騨産業さんとともにつくった雑誌です。この本を見るだけでもモノづくりを愛し、伝えたいという心意気が伝わってきます。

杉はナラなどに比べて柔らかく、そのままでは椅子の部品などに使用するのが難しいので、圧縮し、堅い材にしてから加工するそう。

左の4枚は、同じ杉を圧縮率を上げていったもの。当然ながら、薄いものほどどんどん堅くなります

杉家具は山に関する関心が高く、国産材を使おうという気持ちのある方などを除いては、意外にもまだそれほど定着していないそう。地元飛騨杉をもっと広め、使ってもらう。そのために世の中のニーズや興味を惹きつけるような創意工夫を、耐えず重ねていらっしゃる飛騨産業さん。HPに、杉の話や匠の話なども詳しく載っているのでご興味のあるかたはぜひ。

一般建材はもちろん、省エネ、耐震、光触媒、国産材などさまざまなテーマのブースが用意され、300社近くもの方々出展されています。ご興味のある方、お話聞いてみたい方、この機会にお出かけされてみてください。

 


日常の贅沢

九州出張帰りのvigoからは、大川お番茶会さんの「ごぼう+黒大豆のやさい番茶」、takekoからは、うきは百姓組さんの「梨のドライフルーツ」をいただいた。

この番茶は、ちくご産のカラダにやさしい素材を使用。お茶を楽しんだあとは、ごろごろと入った「ごぼう」「黒大豆」を食すと香ばしくておいしい。

大好きな「梨」は、砂糖、添加物を一切使わず、素材のままのドライフルーツに。梨独特のシャリシャリした食感がたのしくておいしい。

どちらも他の種類をいくつか揃えているようなので、お取り寄せしてみようかなと、こんな日常の贅沢がうれしい。


ドライフルーツの変身術

シマシマヤトーキョーさんが発行するZINE「シマシマヤ文庫」の第1弾「うきは百姓組 くだものやさい献立帖」の刊行を記念して、fogさんで行われたイベントにお邪魔してきました。

 

こちらはシマシマヤトーキョー代表ヒロミさんのご出身地でもある福岡の農家3代目集団うきは百姓組さんがつくる美味しい果物や野菜をさらに美味しく食べるため、人気料理家さんたちによって生み出されたレシピを集めたもの。 レシピブックといえばたいていは一人で監修されてるようだけれど、いろいろなタイプの方がそれぞれの得意分野で勝負されているのでジャンルも使う材料もバラエティ豊か。

今回のイベントはこの本にもある、料理家・瀬戸口しおりさんによる、うきは百姓組さんのドライフルーツを使ったレシピ2品「ドライいちじく(※今回は季節柄、柿を使用)と骨付き鶏もも肉の中近東風煮込み」「蛸とドライトマトの炊き込みご飯」をデモンストレーション形式で教わるというもの。

 

 

 

 

 

 

さりげなく贅沢な感じがして、おもてなしにもぴったり。 彩りも美しく、うまみが凝縮されているし、余分な水分を程よく吸ってくれていい歯応えになるし、果実の成分が他の素材を柔らかくしたりまろやかにしてくれたり・・・ドライフルーツをお砂糖代わりに料理に使うメリットはあまりに大きい。 食後に豆腐とゴマで合えたものを出していただき、これもデザートとおかずの中間のような新食感。 クリームチーズやヨーグルトと合えても相性抜群と聞いて、なるほど。応用範囲が広がります。

そしてイベントの終盤、うきは百姓組さんが登場!

 

旬をたいせつに、人間の出荷の都合ではなく、“くだものまかせ”で一番おいしい時期に出荷するというお話が印象的。口で言うのは簡単だけど実行するにはものすごい覚悟が必要だと素人でもわかる。 ドライフルーツにしても、ドライ用にする果物の選別から、ひとつひとつ手で皮を剝きスライスし、種類によって変色を防いだり、食感を調節するため風の当て方や温度を研究し、とたいへんな試行錯誤と手間暇のもとにつくられている。 ドライのトマト、桃、苺、梨などの試食もさせてもらったけれど、甘すぎず、ほどよい酸味が残り、フレッシュな香りと風味が凝縮されていて、噛むほどに元の果物の美味しさがじんわりと再現されてきて後を引く。 パッケージのロゴマークにもなっている耳納連山、その山がちの水はけのよい地域に果物は最適! と胸を張るうきは百姓組のみなさん。日中の忙しい農作業が終わると、ドライフルーツづくりやイベントなど休みなしで活動されている。 自分たちが育てた農作物、そして地元と農業への強い愛情を感じます。

 

こちらのフルーツを使ってベーグルを作っているベジキッチンさんにもお会いでき、いい野菜を求め、いい商品をつくるためのこだわりなど伺う。 写真からも伝わってくる野菜の瑞々しさ、かわいらしさ、美味しさは、仕事への飽くなき情熱の表れなのでした。

 

新しい野菜の美味しさに目覚め、生産者の方とお話もできる充実のイベントでした。主催者、参加者の皆様、ありがとうございました!

 

シマシマヤトーキョーのヒロミさん(左)と瀬戸口しおりさん