柱時計

トライフル

 

あれは、なに通りというのだろう。西荻窪駅南口を出て、「輪島ボクシングジム」やカキ氷で人気「甘いっ子」のある道を歩いていくと、アンティークの店「TRIFLE」(トライフル)。店内は、カチカチコチコチボーン、という音がたえず聞こえる。「柱時計は家族ですよ」と、店主の寺山和弘さんは言った。時計のネジを巻くときも「あ、ご飯をあげてなかった。ゴメンゴメン」と思うそうだ。いいなあ。と私は何度も言った。この幸福感はなんだろう。それにしても、いいなあ。

「時間はね、こうやって、大きい時計に入れて家の柱にかけとくのが一番いいんだよ。みんなで同じ時間を持つことができるから、しあわせなんだ。腕時計なんかに入れて、時間を外に持ち出そうなんて、とんでもない考えだ 」  ー 臓器交換序説 ー (『両手いっぱいの言葉』新潮文庫 )

こんなふうに、寺山修司は書いている。それにしても、いいなあ。私は、また言った。

 

「今日もアンティーク日和」(トライフル篇  )はこちらからごらんになれます。