2013年3月7 の記事一覧

第1回 チルチンびと住宅建築賞 授賞式

第1回チルチンびと住宅建築賞の授賞式が、主催者の風土社で行われた。

まずは風土社代表・山下武秀氏の挨拶。「この賞は日本の住まいをより豊かにするため、そして地域からの住まいのデザイン、すなわち地域工務店のデザイン力が向上し、職人の仕事の活性化や林業の再生を目指し、競合に負けず、家づくりに関わることをもっと楽しむため、今年度から創設した賞です」とのお話。

続いて審査委員長の建築家・泉幸甫氏より「20軒ちかくの家を地域工務店とつくってきた、その経験からしても、やはりデザインができないとこれからは厳しい。とにかく図面を描くことが大切。今回3つも受賞した安成工務店にはいろいろな理由があるだろうが、社長に聞くと設計が非常に好きで、とても時間をかけている・・・・設計者に対する賞というのがこれまであまりなかったけれど、こんな風に人の目に触れていくことで励みになる。設計者の育成は今後の家づくりにおいて非常に大切、そして設計者のプライドを育てるためにも賞の創設にはとても意義がある」とのお話。

審査委員の建築家・田中敏溥氏の「安成工務店設計者・三浦和さんの言葉 “ 家族の暮らしがまちにこぼれるような家 ” という表現がいい。家族間はもちろん、隣近所や街や道路とも仲の良い家ということが表れており、とてもいい家」という講評。同じく審査員の建築家・松本直子氏の「私は昔は手描きで図面を引いていて途中からCADになったのだけれど、手描きだと一本の線に根拠がないと引けない。その一本の線の意味をCADを最初から使うようになった今の設計者にも大切にしてもらいたい」という言葉。印象的だった。

泉審査委員長は「家のデザインというのは、設計だけでなく家族のありかたのデザイン、また個々人の人生のデザイン、景観が周囲に馴染んでいるか、人が出入りし集まる活動拠点として地域に溶け込んでいるか、などなどさまざまな事柄を含んでいる、そういう統合力が必要。今回、第1回にしてはレベルが高いけれども、まだまだこれから。回を重ねて一層素晴らしい家が出てくることを期待している」とお話されていた。受賞された設計者の方々の言葉からも、それぞれの住まいが家族の理想を汲みながらも流されず、子や孫の代、環境や地域との関係性をていねいに考え、非常に苦労しながら完成されたことを感じた。

 

こちらの受賞住宅事例と受賞者及び審査員の言葉、次回の応募要項など、詳しくは3月11日(月)発売の75号チルチンびとp158~173に掲載されています。これからの家づくりや暮らしについて、何かしらのヒントが得られると思います。どうぞご覧ください。