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ポツンと - カフェ

とまりぎ  山ノひゃくせい

 

夏の郡上踊りで有名な岐阜県郡上市郡上八幡の上流、大和町。国道から山あいの道をくねくねと登ると栗巣川の上流にたどり着きます。上栗巣地区、通称母袋は約38世帯の小さな村。緑を抜けると村のはずれに小さな一軒家がありました。「とまりぎ 山ノひゃくせい」は、民宿・喫茶で、どぶろくづしりもしています。……
こんな書き出しで始まる「つながる人びと」は『チルチンびと』の異色連載。ページを開くと、お店で働く3人の笑顔。緑に囲まれた店。カフェのランチ。麦ごはん、大根とセロリのスープ、ナガイモコロツケ、クルミ味噌、ゴボウサラダ……などなど、1500円の食卓。それらの写真を見ることができる。人里晴れたここ、店が開く週二回は 賑わいをみせるという。
ぜひ、いちど。

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『チルチンびと』秋 109号は、特集「この庭が楽しい」。好評発売中。

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」


小笠原のコーヒーノキ

小笠原からの手紙

 

秋。コーヒーのおいしい季節になってきた。
『チルチンびと』の連載コラム「小笠原からの手紙」は、毎回、独特の島の話題を書いてたのしいが、今月は島の コーピーノキの話。こんなふうに。
〈…… 小笠原は明治初期に日本の領有として認められ、明治政府による開拓が始まった。コーヒーは、当時の内務省勧農局が有用植物として選定した数少ない作物の一つであり、国内初の栽培が始まったという。この事業にかける資金や。導入規模の記録からみても、コーヒー栽培は国家の威信をかけた挑戦であったともいえるだろう。〉
ところが、収穫に至るまでの年月の長さや、それまでの苦難などから、この事業は殖産に値しないと縮小。六万本あったコーヒーノキの苗木のうち約九千本が島民に払い下げられた。そのコーヒーノキを、農園の片隅に植えた人がいた。そのキは、戦争を経て、戦後を過ごし、命を繋いできた。そして、いまも小笠原の地に存在する。この巡り合わせ。それを繋いできたひとびと。
小笠原とコーヒーノキの歴史は、一杯のコーヒーの中に、かなしくブレンドされて存在する。

……

「チルチンびと」秋109号は、特集「この庭が楽しい」。好評発売中。お早めに書店へ。

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」


この庭の記憶

塗り壁の四季

 

『チルチンびと』109秋号が、売れ行き好調です。特集「この庭が楽しい」は、秋晴れにぴったり。
そんな 賑やかな記事の中で、連載「塗り壁の四季」(小林澄夫)の「庭と壁」が、心にひびく。 こんな書き出しだ。
〈庭という言葉で私が思い出すのは、茶室の露地でもなく、山水の庭でも京都の町屋の坪庭でもない。子供の頃、農家で“ニワ”といっていた庭のことである。庭で遊びなさい、おもてで遊びなさいとよく言われた。そんな庭である。…… いつもは子供が遊ぶだけのなにもない、空っぽの地べたの庭のことであった。〉
そして、こんなふうに続いていく。
〈このなにもない、生垣に囲まれただけの空っぽの土の地べた。人だけではなく、虫も鳥も犬や猫も小さな生物もやって来た。人と自然との入会いの庭。そんな地べたの土が立ちあがり土塀になり、壁になった農家の住まいのことを懐かしく思い出す。………)
このコラムを、味のある脇役の役者、のように思った。

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『チルチンびと』秋109号は、好評発売中。お早めに書店へ。

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」


十月八日は「木の日」です

森のとびら

「今日は、何の日」というと 、たいてい何かの日であるようだ。例えば、十月早々の例をひくと
十月二日    豆腐の日
十月三日   登山の日
十月四日    天使の日
という具合である。
こんなふうに、数字の語呂合わせのことが多いように思われる。
では、十月八日は、何の日か、ご存知?   そうです。「木の日」です。『チルチンびと』別冊63号「日本の森林と地球を守る家づくり」の中で、長野麻子さんがこう説明している。漢字の「木」から「十」と「八」で十月八日を木の日とする。数字の語呂合わせでなく、この漢字の組み合わせからの発想は、どなたのものか知らないが、いかにも木が育っていく姿を見るようで、好感が持てる。
さて、その「木の日」にちなんで、全国一斉木育イベントが催される。

 

 

伐採ツアー・木工ワークショップ・木の家見学会・山と林業についてのパネル展示など
日本各地の地域工務店25社が木育イベントを開催します。

【開催日程】
2021年10月8日(金)~11月21日(日)

 

※詳しくは「森のとびら」公式サイトをご覧ください。

 


さよなら「ダンテ」

コーヒー店「ダンテ」

コーヒー店「ダンテ」

西荻窪駅南口、路地の奥左手のコーヒー店「ダンテ」が、閉店した
木の扉をギシギシいわせて開けて入る。すぐの階段を降りると、カウンター。降りないで左手は中二階のような席だった。薄暗くて山小屋風とでもいうのか。たいてい満席だったのは、コーヒーの味のよさと、この舞台装置に惹かれてではなかったか。
閉店してしばらく経つのに、店の前にはカメラを構える人が何人もいる。小さなカードが置かれ、お別れの言葉を書くようになっていた。「すてきな空間をありがとうございました」の文字が見える。ドアには、店主のご挨拶。「55年間、ご支援をいただき……」。

寂しい秋。

 


絵本作家 ピーター・シスを訪ねる

ピーターシスの闇と夢

 

ピーター・シスの闇と夢』(練馬区立美術館 9月23日~11月14日)が、開かれている。


〈チェコスロヴァキア(現  チェコ共和国)出身でアメリカ代表する絵本作家ピーター・シスは、1987年からこれまで30作以上の絵本生み出してきました。挿絵のみ担当した作品含めると、もっとたくさん!……本展は……シスの創作活動の原点であるアニメーション作品や構想メモ、スケッチ、日記など様々な作品や資料含んだ約150点通して、シスの芸術俯瞰します。〉
と、この展覧会のパンフレットに、ある。

ファンの方、ぜひ。

 

 


木の利いた話

 

山と地域工務店が担う、地方創生と脱炭素社会

 

近日、チルチンびと別冊63『日本の森林と地球を守る家づくり』が発売されます。

「山と地域工務店が担う、地方創生と脱炭素社会」というテーマで、長野麻子さん(前・林野庁林政部木材利用課長)が、語っているのが、わかりやすく面白い。その中で、これは、埼玉大学の浅田茂裕教授の受け売りですがと前置きして、こんな「木の利いた話」をしている。

…… いままで木材価格が低迷していたので、伐った後に再造林できるだけのお金が山に戻っていませんでした。そうすると、稼げないなら人は山に行かず、「木を失った」都会へ行き、山では「木が遠くなる未来」になってしまいます。それに「木が付かない」人がいて、日本の森のことは忘れられてしまう。そこで日本の木を選んで生活に取り入れる、鉄やコンクリート、プラスチックから木に変える活動を「ウッド・チェンジ」と呼んで進めています。山にも仕事ができ、都会の人たちも森に行って「木を取り戻す」ようになる。……

いかがですか。
このほか、情報、論考が満載です。

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チルチンびと別冊63『日本の森林と地球を守る家づくり』は、風土社刊。定価1,980円。9月2日発売です。おたのしみに。

 

チルチンびと 日本の森林と地球を守る家づくり


自画像展への期待

自身への眼差し  自画像展

 

『自身への眼差し  自画像』が、ひらかれるという。新宿・中村屋サロン美術館で、9月15日から12月5日まで。
〈「自画像」は、画家が自分自身の肖像を描いたものです。  伝統である日本画にはもともと「自画像」というジャンルはありませんでした。自分を描くという明確な意図をもって描かれ始めるのは、幕末以降になります。……本では、主に明治から昭和にかけて活躍した画家たちの肖像画約40点を一堂に会します。……〉
と、覧会のパンフレットの解説にあり、
高村光太郎、安井曾太郎、岸田劉生、佐伯祐三、宮本三郎、ピカソ、フジタらの名前が並んでいる。

どうか、コロナに負けず、開催を!

 


最中の戦後 神楽坂デイズ

梅花亭

鮎の天ぷら最中

先日、このブログで、北村範史さんの個展会場をご案内した時、坂の途中で100円ショップと鮎の天ぷら最中、という看板の間の路地を入る、と書いた。それについて、鮎の天ぷら最中とは何か、というお問い合わせをいただいた。
正しくは、梅花亭というお菓子屋さんである。 中には、たくさんの種類の菓子が並ぶ。そこに、あった。手書きの説明文がついている。お店の初代、松蔵さんが、シベリアに抑留されていた時、帰国したらおいしいものをつくりたいと考案したのだと、いう。一つ、281円。白あんとこしあんの二種類。
最中の皮を揚げたものである。だから、歯ごたえが、ふつうの最中と違って、パサっとしない。しっかりしている。
食べながら、ここにも戦争のかげがあったなと思った。

 


『池袋モンパルナス』と密の時代

池袋モンパルナス- 画家たちの交差点

 

『池袋モンパルナス -画家たちの交差点-』展が、開かれている。(しもだて美術館、9月26日まで)
パンフレットには、もう一つキャッチコピー「芸術家たちの集う日本のパリ」。そして、こう書かれている。〈1920年代以降、池袋界隈には芸術家向けの安価なアトリエ付き住宅が建ち並び、そこには日本各地から上京した芸術家たちが集い、いくつかの「アトリエ村」と呼ばれる一画が形成されていきました。この地域では、芸術家同士の交流も盛んで、新たなアートシーンを生み出しました。その様子は、パリの芸術家の街になぞらえて「池袋モンパルナス」と呼ばれています。……〉
池袋モンパルナスゆかりの作家として、松本竣介、難波田龍起、麻生三郎……その他の作家の作品が紹介されている。

愉しかった、密の時代を、しのびに行く。緊急事態宣言のおり、休館の心配をしながら。