この庭の記憶

塗り壁の四季

 

『チルチンびと』109秋号が、売れ行き好調です。特集「この庭が楽しい」は、秋晴れにぴったり。
そんな 賑やかな記事の中で、連載「塗り壁の四季」(小林澄夫)の「庭と壁」が、心にひびく。 こんな書き出しだ。
〈庭という言葉で私が思い出すのは、茶室の露地でもなく、山水の庭でも京都の町屋の坪庭でもない。子供の頃、農家で“ニワ”といっていた庭のことである。庭で遊びなさい、おもてで遊びなさいとよく言われた。そんな庭である。…… いつもは子供が遊ぶだけのなにもない、空っぽの地べたの庭のことであった。〉
そして、こんなふうに続いていく。
〈このなにもない、生垣に囲まれただけの空っぽの土の地べた。人だけではなく、虫も鳥も犬や猫も小さな生物もやって来た。人と自然との入会いの庭。そんな地べたの土が立ちあがり土塀になり、壁になった農家の住まいのことを懐かしく思い出す。………)
このコラムを、味のある脇役の役者、のように思った。

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『チルチンびと』秋109号は、好評発売中。お早めに書店へ。

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」