さよなら「ダンテ」

コーヒー店「ダンテ」

コーヒー店「ダンテ」

西荻窪駅南口、路地の奥左手のコーヒー店「ダンテ」が、閉店した
木の扉をギシギシいわせて開けて入る。すぐの階段を降りると、カウンター。降りないで左手は中二階のような席だった。薄暗くて山小屋風とでもいうのか。たいてい満席だったのは、コーヒーの味のよさと、この舞台装置に惹かれてではなかったか。
閉店してしばらく経つのに、店の前にはカメラを構える人が何人もいる。小さなカードが置かれ、お別れの言葉を書くようになっていた。「すてきな空間をありがとうございました」の文字が見える。ドアには、店主のご挨拶。「55年間、ご支援をいただき……」。

寂しい秋。