2011年9月17 の記事一覧

密教展と手仕事展

 

東京国立博物館で 「空海と密教美術展」を観てきた。日本に密教をもたらした空海ゆかりの書(直筆も!)、曼荼羅、仏像と、貴重な国宝が大集合。まずこれほど弘法大師関連の書が集まる機会もないのではなかろうか。長い年月を経て弓なりになった、空海直筆「聾瞽指帰」にゾクゾク来ていた人は多かったみたいだ。尋常じゃない反応をする人もいて、私はその人にかなり気をとられてしまったけれど、vigoは自分が書を始めたときに見本にしていた「風信帖」を観ることができていたく感動していた様子。書の持つパワーというのもすざまじいものがあるなと思い知らされた。そのバランス感覚たるや奇跡的。実物を目にすればこその感慨が味わえる。

奥に進むと両界曼荼羅、仏像、立体曼荼羅と、奥深い密教の教えを紐解く作品の数々があった。絵画などを用いなければ理解できないと空海自身が言ったとおり、確かに作品を見ているとその複雑さを感じる。とてつもなく怒って鬼やシヴァ神を踏みつけにしている不動明王、斜めになって居眠りをしているみたいな姿勢でリラックスしている如意輪観音菩薩坐像(醍醐寺)・・・仏様といえどいろんな役割を担っていて、ただ有難がるということではないような気がする。この奥に秘められた物語のあれこれを想像させる。個人的には、醍醐寺の大威徳明王を背中に乗せた、無表情ながら素朴な可愛らしさのある水牛がとても気になった。

表情豊かで美しく、面白い展示でいまさらおすすめするまでもなく大大人気の展覧会。会期終了も間近でひっきりなしの人人人。しかしまあ、あんなに大勢の人の目に晒され、可愛い女子集団に「おしゃれすぎる!(???)」と言われたり、後姿も露わになって、仏像たちもきっとちょっとうれしはずかし、困惑の非日常を味わっているに違いない。もう寺に帰ってゆっくりしたい。と思っているかもしれない・・・

 

その後、松屋銀座「銀座・手仕事直売所」へ。雑誌「チルチンびと」や、「チルチンびと広場」上でもすでにご紹介させていただいている作家さんも数名いらしたのと、全国の作家さんとの新しい出会いもあるかなと思い、足を運んでみる。どのブースも和気藹藹としたムード。デパートの催事場がこんなに面白くなっているなんて新発見だった。ちょうどブースにいらしたpfutze プフッツェさん、Bowl Pond Platz -ボウルポンドプラッツ-さんとお話することができたり、残念ながら接客中やたまたまいらっしゃらなかったりしたけれど、作品を実際に見ることができたり、新しく各地の作家さんと出会えたり、楽しかった。日本の手仕事、素晴らしいです。普段は制作で忙しい作家さんと、直接お話しできる貴重なチャンス!9月26日まで開催されているので、ぜひ行かれてみてはいかがでしょう。

 

大きさが自由に組み合わせられるプフッツェさんのピアス

新作「光」。いぶし仕上げで鉄みたいなシルバーが面白い

Bowl Pond Platzさんの作品。鉄とは思えない表情

作成途中に浮かんだアイデアが形になったというハンガー