2011年9月8 の記事一覧

北陸めぐり ~富山・後半編~

2日の朝、vigo友人宅を出発し、岩瀬にむかった。新米の季節。鮮やかな黄緑色の絨毯みたいに、水平に揃った美しい田園風景がどこまでも広がる。さすが米どころ。たまに、作業をしている人の麦わら帽子がひょこっと現れて、そんなに高さがあることに驚く。米どころといえば、東北では農作物がこんなに豊かに育っていても見えない敵との戦いで、毎日不安が拭いきれないことだろう。祈るような気持ちでいるのも張りつめて、疲れるだろう。深刻な自然災害に放射能汚染、優先順位の間違った政策。そのことへの不安、怒り、悲しみや意見の相違でまた疲れ。莫大なストレス、この状況、原因の一端は自分が生まれてこのかた無自覚に使ってきた電気にある。暴力的に目先の便利を追い求めたあげく後世にまで取り返しのつかない傷を残してしまった罪とか、ここへきて知らないことが多すぎる鈍感さとか、謙虚に自覚しよう。稔るほど首を垂れる稲穂かな。「チルチンびと」と関わっていると、ずっと前からこういう事態に気づいてか自然にか、先人の暮らしぶりに学んでいる人に次つぎと出会う。

 

岩瀬に着いて、一緒に周ってくださるインベンションハウスの宮本社長と大島さんと合流。まずは粟巣野スキー場にあるKAKI工房さんを訪ねた。アトリエ、カフェ、ショールーム、すべて木造りで山と調和している。時がゆっくり流れて、空気がきれい。ここの野原で8月終わりに行われた「Life is beautiful」というイベントの案内を見て、こちらに訪ねてこようと思ったのだ。毎年続いて、もう7年になるそう。ガタイのよいお兄さんたちが多かったけれど、ムーミン村に来たみたいな気分だった。お話をうかがった柿谷さんの奥様はキルトの名人で、ちょうど私たちと入れ違いに目黒で展覧会中で会えず。飾ってあったキルトがあまりにも素晴らしいので、ぜひ見てみたかったし、ご本人にもお会いしたかったけれど、次は3年後。。。忘れず観に行こう。

 

お昼前、宮本社長に紹介していただいた小さな天然酵母のパン屋「ミル―チャ」さんへ。オーナーは、インベンションさんの手がけた友人宅を、施工中も完成も見に行くほどのファン。「私の理想の家だった~」と嬉しそうに話してくれた。家造りに詳しいと思ったら、かつて建築事務所で図面を引いていたけれど主婦業の方が好きで辞めてしまったそう。パンは、自分がシックハウスになったのをきっかけにつくりはじめたら、いつのまにか売れるように。中に入ったオレンジピールなどもすべてお手製。材料選びからなにから絶対手抜きをしない。だから量もこれが限界ということだった。ものづくりに真面目な人たちってみんな同じことを言う。もう3年も毎週通ってくれるお客さんもいるのもわかる、やさしい味のパンだった。

 

お昼は「美味しんぼ」にも登場したという、魚津駅前のお店に連れて行っていただく。富山は饂飩、素麺が美味しいとvigoが言うので、饂飩にしてみる。たしかにコシがあって細くて、のどごし爽やか。さらに名物、手延べの「大門素麺」の話を聞いて、どこかで買って帰ろうと心に誓う。市内のお店を回り終えて、最後の1件、紅茶の店アナザホリデーさんにたどり着いた。紅茶専門店というと敷居が高い感じがするけれど、ここはまったくそんなことはない、店内もアジアの香り満載で、床の間?には清志郎さんの写真が飾ってあり、なんだか楽しい雰囲気につつまれていた。暑い日だったけど、温かいチャイで旅の疲れがすーっと抜けていった。

別れ際、宮本社長がなにか袋を持ってきてくれた。見るとうわあ、なんと3人分の「大門素麺」!いつの間に…まったく気づきませんでした。なんという粋なはからい。週末にでも、能登で買った海苔と合わせて磯饂飩をつくってみよう、楽しみです。ありがとうございました!

 

インベンションハウスのお二人と別れ、石川県に向かう。途中、七尾の「幸寿司」さんで夕ご飯。思いだしニヤケができるほど美味しかった。コハダも、タイも、マグロもウニも出るもの出るもの本当に美味しくて。特に記憶に残ったのは、イカと白魚かなぁ。真っ白でつるっつるでふわっとして甘くて。何より嬉しいことに、リーズナブル!興奮のあまり出てくるなり瞬時に食べたので、一枚も写真を撮っていないのです、すみません。

夜はvigoの実家泊。ついに「八つ墓村よりも人が少ない場所で生まれ育った」という噂の真相をこの目で確かめられる!車っこ一台通らない真っ暗な山道をa-vanがよく運転してくれました。vigo邸に着くと、真っ暗でよくわからんがとにかく大きい・・・これは、お寺か、旅館か?翌朝、我々vigoの「原風景」を見ることになります。 

 

 

石川編につづく