ふろしき
討ち取った敵将の首を布で包んで持ち運んでいた。
手柄という大切なものだからこそ、布につつんだのではないか?
大切なものを布に包むという“包みの文化”は、実はかなり古くから存在し、
現存する最古の包み布は、奈良の東大寺正倉院に残されている。
「包む」語源由来を辿ると「むき出しの心を包み込んで覆う」という意味で「つつましい」と同じである。
「包む」とか「結ぶ」ということは、さらりとこなせる『器用さ』で、
相手を「思いやる」「もてなす」気持ちの表現でもある。
ふろしき包みが突風によってあおられている様子が描かれている。
大正ごろの東京の菓子屋などに行けば、 「何をお包みしましょうか?」という言い方があったと書き残されている。
贈答品を渡す際には、包む事によって受け取る側がどんな気持ちになるかを意識していた。
これだけ“包む”事にこだわる文化は、そう無い。
話は少し変わるが、着物も一枚の布からできている。腰を包むようにして身にまとう。
洋服は、発想からして「袋」のようだ。ズボンでもスカートでも、足を袋に入れるようにして履く。
この関連性は一体なんなのか、非常に奥が深い。