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冷奴

冷奴

 

ひとから聞いた、この夏の「 快談 」です。

そのひとが、歩いていたら、向こうから、Tシャツ・Gパンのオトコがやってきた。シャツの胸には、漢字二文字で〈冷奴〉。その下に、英語で〈COOL  GUY〉とあったという。笑ったな。名訳じゃありませんか。

そんなわけで、私、今宵、冷奴の前に座っている。じゃ、いただきます。

 


「古道具ハチミツ」主義

古道具ハチミツ

この “広場 ” をよく散歩なさる方なら、新発田市内の民家の敷地で営業する 「古道具・雑貨 ハチミツ 」をご存じだろう。「古いものとの暮らし方、伝えたい」というタイトルで、『チルチンびと新潟』に、店についての記事がある。


………
店主は、赤塚和枝さん。この店は、赤塚さんの部屋 ー 。その感覚は、店を始めた経緯を聞いて強まった。中学生の頃、お店で、古びた青いブリキのミニカーを見て、胸をキュンとつかまれたという赤塚さん。…… そして、就職、結婚、出産。「その間も、古いものを集めていたのですが、もっと好きなものに囲まれて暮らしたい !  って思ったんです」と振り返る。……  開業から6年、今は新潟市内にも支店ができ、昨年には店舗のプロデュースも行った。「 古いものはそれだけでも強い存在感を持ち、周囲のものを引き立てる力も持っている。アンティークと暮らす楽しさを多くの方に知ってもらいたいですね」。
店内にある、銅製の軍用ラッパ、昭和期の南京錠、携帯用鉛筆削り器、廃校になった小学校の机と椅子……  など、たくさんの品が、ページを飾っている。

古道具ハチミツ

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『チルチンびと新潟』は、好評発売中です。


にいがた「銀花」で、ちくちく

にいがた「銀花」

この “ 広場 ” に、よく遊びにいらっしゃる方なら、「にいがた『銀花 』」というギャラリーは、おなじみだろう。そこで開かれる「針仕事好きが集まる「ちくちくチク手仕事の会」が、『チルチンびと新潟』で、ルポされている。

……… にいがた「銀花」「ルールなんてないのよ。あるものを刺すだけ」とオーナーの池晶子さん。ちくちくとは、池さんが名づけた。古布や端切れを太めの針とカラフルな木綿糸で縫っていく。「何かに使おうと縫っているわけじゃないの。昔から『アズキ3粒包める布なら捨ててはいけない』っていうじゃない」と池さん。 不定期ながら、月一度ほど行われるこの会には、年齢も職業もさまざまな女性たちが、“ ちくちく ”する時間を求めて集まる。「好き勝手にやってきただけなのよ。膝の上の布をどうして生かそうかと考えるだけだった。人生も同じね。目の前のことを一生懸命やれば、岐路に立った時に正しい選択ができるようになる。どの布をつなぎ合わせるか決めるようにね」ー 池さんは、こう、しめくくっている。 ………

『チルチンびと新潟』は、8月6日発売です。


多治見サイコー

陶林春窯

 

多治見 39.3度。というニュースが流れた。7月25日。全国的猛暑のなかで、今年最高を記録したのである。焼きものの町。多くの窯元があり、その熱のせいかねえ、と私は、間の抜けたことを言った。
「やきもののまち、多治見から」という記事が『チルチンびと・別冊45・東海版』にある。そこに「陶林春窯」(とうりんしゅんよう)というギャラリーカフェが紹介されている。代表は、広瀬摂さん。以下、広瀬さんの話。
……
「築50年の住宅と倉庫だった建物を、今から15年前にギャラリーに改修しました 」
改修した住宅は、陶磁器の問屋を営む広瀬さんの両親が建てたもの。
「ぼくが跡を継ぐことになったとき、問屋業を続けるだけではなく、器の良さを多くの人に知ってもらえるような場をつくりたいと思ったのが、ギャラリー開設のきっかけです」
「無機質なギャラリーではなく、暮らしを感じられる住居空間で器にふれ、親しんでいただけたらと思っています」
「空間や器も大切ですが、大事なのはそこで何が起きているか。器の魅力を知ってもらうために、2階に厨房をつくり、月に1回料理教室を開催しています」
「イベントに来てくださるのは地域の方々。器によって集まった人たちが、食によってさらに広がっていく。これからも器屋として何ができるかを常に考え、感動的に仕掛けていきたいと思っています」

アツイのは、情熱だった。

陶林春窯

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『チルチンびと・別冊45・東海版』は、好評発売中です。


はるばる「ギャラリーやまほん」へ

「チルチンびと広場」のホームページで、アクセス数ナンバーワンだった「ギャラリーやまほん」を訪ねてみました。 ……  というタイトルの記事を『チルチンびと別冊・東海版』で、読んだ。こういう文章だ。

ギャラリーやまほん

場所は、三重県伊賀市。伊賀焼で有名なこの土地は、のどかな田園風景が広がり、陶器市開催時には大変な人出になるそうだ。「遠方からのお客さんがほとんどですね」と話すオーナーの山本忠臣さん。お世辞にも行きやすいとは言えない場所にあるギャラリーが、なぜ人を惹きつけるのか、訪ねてみた。看板を目印に、倉庫を改装したというギャラリーの入り口をめざす。白い漆喰塗りのアプローチを抜けギャラリースペースへ。すると広がる白い壁の大空間と、その空間を余すことなく彩る作品に圧倒される。……  山本さんの、いっさい妥協を許さない審美眼と作品が織りなすピリッとした空間と、外ののどかな景色とのギャップが印象的だ。ここで作品を見てよかった、と来た人に思わせる力が、このギャラリーの魅力なのだろう。……

誰しも、行ってみたくなる。それが、かなわないなら、せめて、この記事でおたのしみください  と、担当者は、語っております。

 

ギャラリーやまほん

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『チルチンびと別冊 45号・東海版』は、7月29日 発売です。

 


キャラメル・マキアートのトール

キャラメル・マキアート

「キャラメル・マキアートのトール」というタイトルのエッセイを『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』(村上春樹著・マガジンハウス)で読んだのは、3年前のことになる。テーマは、慣れない言葉で意志を伝えることの難しさについて、なのだけれど。

…… ところでキャラメル・マキアートってまだ飲んだことないけど、どんな味がするんだろう ? …… で、話は終わっている。それを読んだことを忘れていたが、編集部 のY 嬢が、「スタバでバイトしてました 」と言ったので、思い出した。じゃ、昼休みに行ってみよう。道すがら、話した。

「キャラメル・マキアートをつくるのは、すぐにできました。キャラメルソース、バニラシロップ、牛乳、エスプレッソを、レシピにそって、入れていくだけですから。難しかったのはカプチーノ。キメ細かいアワがうまく立てられない。飲んだとき、フワッと口に広がって、いい気分にさせてくれるように、感覚と音で、つくっていくんです。私、3年間、働きました。あのグリーンのエプロンをつけると、フシギに、役を演じるような気分になり、あ、これで、今日も、人にやさしい私でいられる、と思ったものです」

キャラメル・マキアートは気立てのいい甘い味がした。

 


第一回 吉田桂二賞授賞式

第一回 吉田桂二賞授賞式第一回  吉田桂二賞授賞式


 

……   選考委員全6名の熟慮の末に決まったのが、岡山のこの家( 「カイヅカイプキのある家 / 神家昭雄建築研究所 )であった。実物見聞は、平成26年5月30日に、実施された。築後、3年経過しているので、生活感に満ちあふれたと表現すれば、聞こえはいいが、くたびれ果てた家を見ることになるのかな、という危惧は、確かにあった。ところが、案に相違して、実に見事に住みこなされていて、驚くやら、安心するやらの短い時間を充実させることが、できた。カイヅカイプキの古木が門前に立つ、この家を初めて見たとき、入る前なのに、懐かしい想い出が、内部を満たしているに違いないと、確信した。内部は、まさに期待通りの空間が、待ち受けてくれていた。住み手は、自律した心の持ち主であるのが、空間から、直ちに読み取ることができた。言葉にすれば、端正である。……

7月4日、雨。神田の學士会館で、第一回  吉田桂二賞の授賞式が、おこなわれた。吉田桂二さんは、受賞作に、こんな言葉を贈った。

 


サヨナラ、安西水丸さん

安西水丸

訃報を受けた日の夜、安西水丸さんの事務所へ。「義仲」と名付けて乗っていた自転車がさみしそうに止まっていました。追悼記事をつくるのは、辛くもあり、思い出に浸れる楽しい時間でもありました。(A.S)

『チルチンびと』80号に、こんな編集後記があった。「追悼・安西水丸さん   - 絵を描くことが大好きだった少年」は、さながら  “誌上・偲ぶ会 ”  である。「a day in the life 」を飾った、懐かしい、たくさんのイラスト。知人たちが語る想い出。連載第一回の再録。そこには、こういう文章がある。
……  陽が大きく西に傾き、真っ赤な夕日になってゆっくりと落ちはじめた。なんだか日本で見る夕日よりずっと大きく見えた。夕日のなかをニューアーク空港から飛び立った飛行機がトンボのように横切っていった。ぼくはロサンゼルスの友人の家で聴いた “ ア・デイ・イン・ザ・ライフ ”をおもいうかべていた。……

雑誌が、ポツカリと寂しくなった。

………
『チルチンびと』80号は〈特集〉古材を見ると、ほっとする  /  〈保存版〉古材最先端・日本の古材、アメリカの古材 / 「古材は強い」は本当か? / 古材を食らうムシたち / 古民家はなぜ人の心を打つのか / 古材が買えるショップリスト / 古材を生かした美しい家 / 古い着物への想い・古川三盛 / 鯰組・若きものづくりびとの肖像 / 〈特集〉ウッドデッキを楽しむ / 〈新連載〉書店びと・京都  恵文社一乗寺店 / 工務店がデザインする上質な木の空間…… ほか、充実の216ページ。


ジャンクな家が、できた!

ジャンクな家が、できた!

 

彼と私は、かつて、同じ編集部で働いていた。彼は、若い人らしく、シャツやスニーカーといったオシャレモノの情報にくわしく、パソコンなどの  IT  関係の店にも、よく通っていた。新しいもの好きだった。昼は、会社の近くの 「T」という喫茶店のフルーツサンドを好んで食べていた。やがて、私は編集部を離れた。彼が結婚した、家をつくっている、という話は人づてに聞いた。週末は、それにかかりきりである、という。


ところが、縁あって、『チルチンびと』80号で、この家を紹介することになった。私は久しぶりに、彼と話した。アメリカから運ばれた古材でつくられた家である、という。「そうなんです。家の外も内も壁も天井も、ぼくやオクサンで、塗りましたよ。もうヘトヘト。建て売りじゃない楽しさを、十分味わいました」。でも、なぜ、古材? 「彼女は、父親が趣味人で、小さいときから古いものに馴染みがあった。かといって、アンティークではなく、ジャンクなんですね。その大らかな文化から、こういう家が完成した」。これでもう、一段落かね? 「いやあ、庭は姫高麗芝なんですが、ちょっと油断するとすぐに雑草が生えてきて、手入れがタイヘンです。それに、彼女が今度は小屋を建てたい、といっていますし……」

ジャンク派  ×  新しいもの好き = アメリカンな家。
という、2人の掛け算に、幸せな答えが出たように思われた。
………
この家は「アメリカの古材や家具をパッチワークのように紡いで」というタイトルで、『チルチンびと』80号(6月11日発売)に掲載されています。

 


安西水丸さんのいない風景

安西水丸

安西水丸さんが、亡くなったあと、いろいろなひとが、いろいろな想い出を、いろいろなところに書いた。その一つ。エッセイスト・平松洋子さんの「水丸さん、ありがとう」(『週刊文春』4月24日号 「この味」)を、読んだ。そこに、こんな二人のやりとりが、あった。
………
安西    空想や想像って、無料で楽しむことができる一番の楽しみ。もうひとつは車窓の風景、あれも楽しいですよね、電車に乗ってね。
平松    自分は動かないのに、向こうがどんどん変化していってくれて。
安西     そうですね。だからね、僕は人間としても車窓の風景みたいな人間になりたいって思ってるんです。絵葉書になるような風景じゃなくて、すーっとこう、みんなが見て通り過ぎるみたいな感じで。
………
車窓の風景みたいな人間 ― それも、また、a day in  the  life だったか、と思う。そのエッセイに、『チルチンびと』に載ったこのイラストが、そえてあった。