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「大江戸左官祭り」―土と戯る

「大江戸左官祭り」へ行くには、「大江戸線」に限る。勝どき駅で降りて、会場へ。今回の催しは、一般向けにしたようだ、という声が聞こえる。
壁塗り体験。光る泥だんごづくり。かまど塗り体験。ミニかまどづくり。泥絵の具で絵や書を書く。…… オトナもコドモも、ひたすら、撫でたり、捏ねたり、塗ったり、磨いたりしている。土と戯る。
工務店の会でおなじみの、勇建工業の加村さんとワイズの山本さんに、お目にかかる。会期中も、その前の準備期間も、昼も夜も大忙しだった、と笑う。夜も ⁈⁈    かまどが人気で、ゴキゲンだ。電気が要らない、おいしく炊ける、ということで、かわいい働き者に見える。こんなに人気なら、ぜひ、この “ ひろば ”のブレゼントにして、近々、みなさんにお届けしたい、という話になる。どうか、お楽しみに、お待ちください。

 


ラヒのカレー

ラヒのカレー

「安西水丸 地球の細道 展」(GA gallery )を、うっかり見逃してしまった。あ、ザンネンと思った夜。これから、西荻窪の「ラヒ」で、カレーを食べようと思った。ラヒ  パンジャービン  キッチンは、安西さんの文章で、おなじみだろう。暗い路地を進み、急な階段を上がって、店内へ。お店のひとが、安西さんを語る。

「先生ガ、亡クナル少シ前ニ、名刺ヲ描イテモラツタンデスヨ。ソレガ、コレデス。本当、突然亡クナラレテ、ビックリシマシタ。私ヨリ元気デシタカラ。先生ガ好キナノハ “マトン ” デシタ。ソレト、日本酒。“ カレー ” ト日本酒ガ合ウカナト思ウンデスガ、コレガ合ウンデスヨ。私モ、今モウ、“ カレー ” ト日本酒デスヨ」

チキンカレーを食べて帰った。


神田古本まつりの本棚

恒例、神保町の古本まつり。お天気に恵まれて、よかった。タイヘンな人出。タイヘンな本出。行かれなかった方のために、せめて一部を。いや、0.00000……  一部を。お届けします。

神田古本まつり

 


しょうぶ学園の作品たち

「楽園としての芸術」展

上野駅公園口の前の道は、楽しそうに歩く人が多い。そんなふうに歩いて、東京都美術館へ行った。「楽園としての芸術」展。アトリエ・エレマン・プレザン(三重・東京)と、しょうぶ学園(鹿児島」で制作された作品を見る。作者はダウン症などの障がいがある、という。この、しょうぶ学園については、『チルチンびと』増刊『コミュニティ建築』(1913年11月)に、詳しく書かれている。その、一節。

しょうぶ学園統括施設長の福森伸さんは、入居者が縫っていた布地の縫い目が不揃いに縮んでボールのようになっているのを見て「美しい」と感じた。木工を担当している入居者が、ひたむきにただ彫りつづけた木を見て「素敵だ」と思った。そして、「彼らがやろうとしていることを、ひたすらそのまま受け入れることが、しょうぶ学園の求めるべき姿なのではないかと思ったんです」と語っている。(知的障がい者支援施設が、地域に開いた)

絵画、刺繍された服、木の器 …… その色、形、質感、柄、不揃いな縫い目、彫りつづけた木 ……  たくさんの作品を見ながら、福森さんの言葉が、ダブってくる。10月8日。展覧会の最終日に間に合って、よかった。

 


アラーキー燃ゆ

ドンと行こうぜ  ホンダラ大作戦 !

JR・西荻窪駅北口のバス通りを歩いていたら、顔見知りのアンティーク・ショップの人たちが、集まって、話している。なにごとかと思ったら、10月11日・12日の「ドンと行こうぜ  ホンダラ大作戦 !」の打ち合わせだった。その大作戦とは、  西荻ドンと市  (骨董市) /    西荻一箱古本市   /    特別企画 ・アラーキーの書  展  (この展示は11月9日まで)である。

「ちょっと寄ってくださいよ」と言われて、入った店では、アラーキー書  展の準備中。書の数多く、全部あわせて、古道具、カフェ、書店など、12の店で、展示するという。西荻燃ゆ。アラーキー燃ゆ。
「ホンダラ大作戦」の第一回。今年の1月、開催当日は、大雪になった。西荻窪駅まで行ってみると、世話人の一人、伊勢屋美術のご主人、猪鼻さんに会った。「あいにくの大雪で」と、私は、言った。こういう場合、まったく、とハラをたてるか、グチをこぼすか、がフツー だろう。しかし、猪鼻さんは、違った。「試練ですよ。なにごとも、試練ですよ」と言った。私は、感動した。

この週末は、台風の予報。どうか、どこかへ逸れてくれ。

 


彼岸花の咲く頃

彼岸花が咲いた。例年より十日も早い。彼岸花だってこの陽気では戸惑っているんだろう。彼岸花が咲くといつも造化の妙に驚く。一つの花が反っくりかえって全体が燃えるような赤になるのは見ていて飽きることがない。福岡の青年が送ってきた白い彼岸花は芽を出さない。いや、待てよ、白のほうは正確に秋分の日になるのを待っているのかもしれない。(山口瞳『年金老人奮戦日記』)
……
こういう山口さんの昔の日記を読んでいたら、彼岸花が見たくなって、小石川植物園に出かけた。入園料400 円。入園券を見て、東京大学大学院理学系研究科附属植物園が、正式名称であることを、知った。入り口で訊くと、門を入ってすぐ左に咲いています、と教えてくれた。
咲いている。咲いている。早い時間なのに、先客(男)二人。カメラを構えている。そのうちのひとりが、「結構、蚊がいますよ」と言った。それを聞いて、少し慌てて、帰った。これが、私の「庭時間」だった。
……
『チルチンびと』81号〈特集・庭時間のある暮らし〉は、好評発売中です。

 


第1回・吉田桂二賞

第1回・吉田桂二賞

第1回・吉田桂二賞は、神家昭雄氏の「カイヅカイブキのある家」に、決定。その選考の経緯は『チルチンびと』81号に、掲載されている。この作品のタイトルを初めて見たとき、文学的な匂いがして、なにか短篇小説のタイトルを思わせた。そして、あらためて、カイヅカイブキを辞書で、ひいてみた。……… イブキの一品種。枝がねじれて旋回し、葉はほとんどが鱗皮状。庭木として植栽されるが、ナシの赤星病の中間寄主となるため、ナシ産地では禁忌。(『広辞苑』)とあった。
吉田桂二さんは、講評のなかで、〈貝塚息吹の古木が門前に立つこの家を初めて見た時、入る前なのになつかしい思い出が内部を満たしているに違いないと確信した。〉と、ふれている。
4月25日、賞の第1次選考の日。会場で、吉田さんの姿を、おみかけした。応募作品を見る目は、驚くほど鋭く、この賞にかける想いの強さが、伝わってきた。
…………
『チルチンびと』81号は、特集・庭時間のある暮らし。
吉田桂二賞の受賞作品、受賞のことば、選評など、ごらんいただけます。

 


フクシマの秋

フクシマの秋

福島県の茅葺き民家で暮らす、境野米子さんから、この秋も「フクシマからのたより」が届いた。(『チルチンびと』81号掲載)
……
真っ赤に実ったユスラウメを今年こそと思い、町の測定所に持ち込み、セシウムを測定してもらいました。「検出せず」でした。3年目にして初めてジャムがつくれました。しかし裏山のシイタケ、タラの芽、コゴミ、ウドなどは収穫しませんでした。キノコや山菜はまだまだ線量が高く、茹でずにそのまま天ぷらにしたのでは、セシウムは減らせません。
……
ほかにも、自宅の茅葺き屋根や敷地の除染作業のことなど、尽きない苦労が、ある。しかし、そのなかに、こうも書かれている。
……
庭のあこちには真っ白なホタルブクロや紫紺色のアザミ、青紫色のツユクサ、ホオズキの花が咲き、早朝の草むしりの時には芳しい香りに包まれ、シアワセを感じます。セシウム汚染にもめげず、また汚染作業をも生き延びた草花が愛おしく思えます。
……
原発事故から3年余りがたった。こんなふうに、秋を迎える庭もある、ということを忘れないでいたい。
……
『チルチンびと』81号〈特集・庭時間のある暮らし 〉  は、好評発売中です。

 


安西水丸さんの好きだった庭

a  bay  in  the  life

鎌倉山でいつも原稿を書くために使っている家には小さな庭がある。時々植木屋を入れはしているものの、たいていは草茫々である。新春にはあちこちにフキノトウが出る。春にはヨモギが伸び、夏にはあちこちにヒルガオが咲き、秋にはススキが穂を付ける。ドクダミも咲きツユクサもあちこちに花を付ける。まだまだ知らない草花も多い。別に誰かが種を蒔いたわけではなく、何処からともなく出てきたものだ。ぼくはウッドデッキに出てそんな草花を眺めるのが大好きだ。夏の月のきれいな夜には、盆に酒や肴をのせ、草花のゆれるのを目に一人酒をして過ごす。
………
安西水丸さんは、本誌の連載「a day in the life」に、“草茫々の庭が好きだ”というタイトルで、こういう文章を書いた。それは、ちょうど昨年の秋。やはり、庭仕事の特集の号だった。それから、もう、1年が、たった。
…………
『チルチンびと』81号は、特集〈庭時間のある暮らし〉。9月11日 発売です。ベニシアさん、琵琶湖畔の築182年の古民家と庭を訪ねる…… その他、ステキな庭の話題満載です。ぜひ、ごらんください。

 


『あしたのジョー』に会いに行く

あしたのジョー、の時代展

 

やっと行ってきました『あしたのジョー、の時代展』。(練馬区立美術館・9月21日まで)。原画、当時を偲ぶ品品などを見て行くと、力石徹の告別式の展示のところに、きた。その、稽古日程というか、式次第というか、台本というか …… が、ある。その最後は、こんなふうになっている。

「あしたのジョー ッ !」
と一斉に照明器具が客席に向けられて、朝日のように閃き、ロックで「あしたのジョー」が歌われる。
歌 (矢吹ジョー )はマンガの矢吹ジョーそっくりのメイクをしている。

この式の総指揮は、寺山修司だった、という。これとはまったく関係ない、寺山修司の歌を思い出す。 ……  悲しみは一つの果実てのひらの上に熟れつつ手渡しもせず