2012年11月27 の記事一覧

チャンスをつかめ

 

ユカイな本だと教えられて「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー(高橋秀実著・新潮社)を読んだ。有数の進学校である開成が、東大ならぬ甲子園を目指す、ユニークな戦法である。ドサクサに紛れて大量点を取り、コールドゲームで勝つのが、監督の方針。練習は週一回。グラウンドでやるのは練習ではない、実験と研究だ、という。

—–「グラウンドを練習ではなく、『実験の場』として考えるんです。あらかじめ各自が仮設を立てて、それぞれが検証する。結果が出たらそれをまたフィードバックして次の仮設を立てることに利用する。—」この繰り返しでそれぞれがコツをつかみ、それをまた反復すると、監督はいうのである。

『チルチンびと 別冊42号・今こそОМソーラー』に、「ОМが求められる理由」という座談会があり、ОМソーラーの考案者と牽引者が語っている。そこに、奥村まことさんのこういう発言がある。「設計というのは、困った問題が起こった時がチャンスで、そこで考えるからアイデアが生れる。それが設計の楽しさですね。—- ピンチがチャンスなんです」

夜、寝た時、昼間読んだこの二つの話が、頭に浮かんだのはなぜだったろう。わからない。しかし、新しい世界に挑戦する楽しさを知ったのは、幸せな気分だった。

(『チルチンびと 別冊』42号は、11月28日発売です)