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お花見は絵はがきで

没後70年 吉田博展

没後70年 吉田博展

没後70年 吉田博展

『没後70年 吉田博展』( 東京都美術館、3月28日まで)に行った。
JR 上野駅の公園口のあたりは、少し様子が変わった。人の気配は、例年の何分の一か、改札口を出て正面に、「新しいお花見様式実施中」のカンバンがあり、「歩きながらのお花見をお楽しみください」の文字。待つ人も待たるゝ人も花見かな…… という俳句のようにはいかない。
〈 美が擂り重なる〉というコピーのついた『吉田博展』は、プロローグ、それはアメリカから始まった……  から、たくさんの作品を観ることができた。が、それももう終わり。帰り、せめて、花のポストカードを買って帰る。
お花見を、どうぞ。

 


窓辺に春

芳野版画展・窓辺で夢を見る

 

西荻窪の絵本やギラリーの店「ウレシカ行く。こちらとは、以前、経堂お店のあったころからの知り合いだが「もう、西荻って7年たちましたよ」という。時の流れ、驚く。トントンと木の階段を上がると、二階のギャラリーでは、『芳野版画展・窓辺で夢を見る』(4月5日まで)開催中。
〈窓はいつも気なるモチーフでした。旅行中、人々の生活の気配を感じる窓辺が気なり、上を見ながら歩く。仕事部屋の窓から、ここから海が見えたら ? と妄想。窓辺花瓶をいくつも並べ、花と光を楽しむ。……〉と、作者のことば。窓辺を楽しむのも、ならでは。
そして、芳野さんは、セツモードセミナー卒。そこでの想い出を「私のセツ物語」で 綴っています。あわせてお楽しみください。

 


行く春

「花に聴く」(花・文 道念邦子 、 写真・ニック・ヴァンデルギーセン)

 

春は、別れの季節。
本誌の連載でも、「花に聴く」(花・文 道念邦子 、 写真・ニック・ヴァンデルギーセン)が、最終回を迎えた。

水仙が、いけられ、文章はこんなふうに、終わっている。
〈…… いつものことながら逍遥するに無駄はなくいつしか心の扉も開かれる。限られた時間を閉じようとエネルギーが尽きる寸前の水仙に敬意を表して食べられる花をひと花ひと花目から剥がすようにして挿す。……〉

歳時記を見ていたら、こういう句があった。
水仙のこち向く花の香をもらふ 中村汀女

 

 

『チルチンびと』春107号

 

『チルチンびと』107号は、特集「60代、70代の家づくり」。好評発売中


みちのくの仏像の微笑み

写真展  みちのくの仏像  土門拳 × 藤森武

 

『写真展 みちのくの仏像 土門拳 × 藤森武』(八王子市夢美術館、3月28日まで)に行く。
「筑豊のこどもたち』をはじめ 、こどもたちを撮った土門拳の写真が好きだ。ここにあるのは、黒いバックに金色の光りを放つ、たくさんの仏像である。条件が整うまで、シャッターを切らなかったというのは、これか。1点1点に、その思いが焼き付いている。そして、不思議なことに、どの写真の仏像も、こちらを向いて微笑んでいるように見える。「東日本大震災から10年」というサブタイトル。〈…… 本展が風雪に耐え、みちのくの人々に受け継がれたいのりのかたちに思いをはせる機会となれば幸いです。〉と、パンフレットに書かれている。

 


電線のない街

電線のない街

電線のない街

 

『電線絵画展』(練馬区立美術館、4月18日まで)に行く。
展覧会のパンフレットに書かれているのは、
〈……文明開化の誇り高き象徴である電信柱を堂々、画面中央に据える小林清親、東京が拡大していく証として電柱を描いた岸田劉生、モダン都市のシンボルとしてキャンパスに架線を走らせる小絲源太郎、電線と架線の交差に幻想を見出した “ ミスター電線風景 ” 朝井閑右衛門。一方で、日本古来よりの陶磁器産業から生まれた碍子には造形美を発見することができます。……〉
見終わって 電線のない街にでる。


コハルアンとうるしびと〈神楽坂デイズ〉

コハルアン

村上修一

 

この「広場」の好評連載「コハル・ノート モノと語る」(はるやまひろたか)のなかで、「会津の塗りもの」について、こう書かれている。

〈 先人たちの知恵を使ってコーティングした、生活のための木の器。そんな観点で漆器を見直せば、高いと思われた敷居は、少しだけ低く見えるようになるかもしれません。僕自身、漆器についてはそういう見方で接してきたので、お椀も家ではがんがん使ってしまいます。味噌汁用の器というポジションにとどまらず、洋風のシチューやスープなどにも。……〉
そして、日々愛用している器をつくる、村上修一さんについて、話が展開する。
その村上さんが、『チルチンびと』107号に「うるしびと」というタイトルで登場。〈会津若松市内の山間部、山道の先に、ウルシの林はある。……
漆掻きの作業手順は至ってシンプルだ。まずはカマで木表面の硬い樹皮を削り取り、表れたやわらかい樹皮にカンナで傷をつける。傷から染み出してくる樹液をヘラで掬い取り、掻き樽にためる。単純な繰り返しだが、足元の悪い山中を動き回る重労働だ。……〉そして、器にうるしをほどこしていく様子も細かく見てとれる。

コハルアンは、地下鉄東西線の神楽坂駅下車。新潮社の一つ手前の通りを入って左側にある。店主のはるやまさんと村上さんの手による器が、出迎えてくれるだろう。

 

『チルチンびと』春107号

『チルチンびと』春 107号 好評発売中


3・11 と『チルチンびと「地域主義工務店」の会』

チルチンびと「地域主義工務店」の会』震災支援報告

 

「3・11」から10年ということで、たくさん「あの日」の回想が映像や記事で流れた。この「広場」に掲載された〈『チルチンびと「地域主義工務店」の会』震災支援報告〉も、忘れることができない。
震災直後、地元の工務店に支援の手を、という活動がすぐ始まった。物資の手配、トラックはどうする。ドライバーは?  コースは?  打ち合わせのためのメールが、行き交った。
「こちらで用意した品物は、ブルーシート、ロープ、カップラーメン、電池、トイレットペーパー、飲料水」、「支援物資には、女性用品も必要です」、「うちは、女性社員に品揃えさせました」などというやりとりもある。トラックは 、あちこちで物資を積みながら、東北へ向かう。メールのすべてに善意があふれ、熱かった。やがて、トラックが到着する。〈本日、物資を南三陸町の志津川にとどけてまいりました。衣類、毛布、布団〈わあ、久しぶりの布団だあ)。避難所を出る際、道を歩いている人みなさんから、お礼を言われたのが印象的でした。〉支援物資は工務店とその周辺の方へ届けられた。これぞ、地域主義 !〈涙ばかりでます。ありがとうございます〉という受け取った人の喜びは、また、荷物を運んだ人の喜びでもあった。
このたくさんの感動メールを構成した記事は、すばらしいノンフィクションとなった。
今年の「3・11」に再度ご紹介するつもりだったが、あいにく(?) 3月11日は『チルチンびと』107号の発売日とかさなり、そのお知らせを優先した。


八ヶ岳に移住しませんか -『チルチンびと』107号の予告篇 -

八ヶ岳に移住しませんか

 

春風に誘われて『チルチンびと』107号の発売近し!  今号の特集は『60代、70代の家づくり」「祈りのかたち」そして、「八ヶ岳に移住する」。
特集「八ヶ岳に移住する」から「豊かな自然に囲まれ、日々をゆったり愉しむ」をご紹介しましょう。
登場するのは、Kさん夫妻。夫妻が移住を考え始めたのは、5、6年前のこと。奥さんは「ドライブで八ヶ岳を訪れ、なんて素敵なところなんだろうと感動して、それからちょくちょく八ヶ岳を訪れるうちに、いずれこんなところで暮らせたらと思うようになったのです」と振り返る。その思いはご主人も同じで「私も妻も定年まで残すところ数年でしたので、移住を真剣に考え始めました」。
そして、いま。「この恵まれた環境を、私たちだけで独占することはとてもできません」という心境であるという。

『チルチンびと』春107号


『チルチンびと』春107号は、3月11日発売です。お楽しみに

 


祈りのかたち、供養のかたち -『チルチンびと』107号の予告篇-

祈りのかたち

 

春風に誘われて『チルチンびと』107号発売近し。今号特集は「60代、70代家づくり」、「八ヶ岳に移住する」と、異色特集「祈りかたち」。そ祈りかたち」から、ご紹介します。

暮らしが変わって、仏壇離れもすすむ昨今。さまざまな「祈りたち」コレクションです。そなかでデザイナー・松葉孝夫さん異色文章をご紹介します。
〈…… 困ったり、悩んだり、そして又、嬉しいことや何か良い事が有ったとき/  亡き人とお話がしたくなりませんか? 年に一度、お盆にお墓詣りをするだけで/  満足なでしようか? 月命日、いや毎日、側に居られたらと……  /  今、求められている供養かたちは、時代変化や家族構成/ 住まいなど著しく変化して来ました。それは日々暮らしている /  陽当たるリビングなど何時も目に触れ家族会話が聞こえる場所で / 手をあわせ日々出来事を報告したり感謝したり祈るだけで / 身も心も不思議に安らぎ、幸せな気持に成るもです。……〉

そして、オススメ仏壇、骨壷、花立て、お線香立て。ぜひぜひ。

 

『チルチンびと』春107号

 

『チルチンびと』春107号は、3月11日発売です。お楽しみに

 


老後の家は、塀を低く-『チルチンびと』107号の予告篇-

老後の家づくり

春風に誘われて『チルチンびと』107号の発売近し。今号の特集は「60代、70代のづくり。つまり、終の棲みの研究ですね。ほかに特集として「祈りのかたち」「八ヶ岳に移住する」

「60代、70代のづくリ」のなかで、建築中山繁信さんが、「老後のづくりと題して、「敷地と道路の境界をあいまいに」という提案を。ご紹介します。
〈普通セキュリティのために敷地を高い塀で囲いがちですが、できるだけ低い生け垣などで囲うことをおすすめしたいのです。そうすることによって、庭の清掃や草花の手入れなどの屋外での作業が増え、近所の人たちと接する機会が増えるのです。反面、セキュリティを重視するため高い塀で囲い閉じた敷地では世間との接点も少なくなり、孤立感や孤独感が増してしまいます。〉
いかがですか。

『チルチンびと』春107号


『チルチンびと』春107号は、3月11日発売です。お楽しみに。