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ライスカレーの愛嬌

MAJI  CURRY  神田神保町店

MAJI  CURRY  神田神保町店

MAJI  CURRY  神田神保町店

『神田カレーグランプリ 2018』が終わって、優勝は「MAJI  CURRY  神田神保町店」。おめでとうございます。エチオピアやオードリーが、軒を連ねるところに、この春、登場した。ホームページを見ると「毎日、バターと小麦粉から作り始め、手間暇を惜しまない!  小麦粉は高温でじっくり混ぜ続け、粘りを押さえ、香り高く仕上げる!」とある。
ちょうど、『カレーライス!!大盛り』(杉田淳子編・ちくま文庫)を読んでいた。そのなかに「ライスカレー」(吉行淳之介)というエッセイがあり、吉行さん、こう書く。

〈このライスカレーの特徴のもう一つのものは、各家庭が、それぞれ「おいしいライスカレーの作り方」についての意見を持っていることである。たとえば、リンゴを一個オロシ金でおろして混ぜるとよい、などというたぐいである。そういうことを、それぞれ「わが家の秘伝」としてあたためていて嬉しそうなところが、ライスカレーの愛嬌のあるところである。…… 〉

お店の秘伝も、愛嬌です。

 


それぞれの『ムンク展』

ムンク展  ー 共鳴する魂の叫び

ムンク展オリジナルティー

 

『ムンク展  ー 共鳴する魂の叫び』(東京都美術館、来年1月20日まで)に行くのだ、といったら、混んでますよ、という人。混んでいたのは、「叫び」のところだけでしたよ、という人。グッズを買う列が長かった、という人。希望のグッズが売り切れていた、という人。男と女を描いたのが、好きだ、という人。……
行ってきました。それぞれの話は、まあ、当たっていた。

1 ムンクとは誰か   2  家族   ・ 死と喪失   3  夏の夜・孤独と憂鬱   4  魂の叫び・ 不安と絶望   5  接吻、吸血鬼、マドンナ   6  男と女・愛、嫉妬、別れ   7  肖像画   8 躍動する風景  9 画家の晩年  ……   という順に観て、ミュージアムショップへ出た。そこで、  ムンク展オリジナルティーを買う。(一つ850円)

 


ルーベンスの長女

ルーベンス展 ー バロックの誕生

ルーベンス展 ー バロックの誕生

地下鉄・上野駅から国立西洋美術館に向かう途中、青空をバックに、少女がいた。『芸術新潮』11月号は、ルーベンスとムンクの特集で、そのなかの「ルーベンス10選」(渡辺晋輔・国立西洋美術館主任研究員)にもあったな、と思う。それは、《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》の文章だ。

〈家族を愛するルーベンスは妻や子供たちの肖像画をしばしば描いた。これはそのうちの一枚で、モデルである長女の生き生きとした笑顔を的確に捉えている。通常、肖像画は身なりをきちんと描くものだが、この絵では彼女の表情のみに関心を注ぎ、服は大雑把な描写で済ませている。まさにその点に画家の愛情が感じとれるのである。……〉

『ルーベンス展 ー バロックの誕生』は、国立西洋美術館で、1月20日まで)


一条ゆかりさんのナチュラル

『一条ゆかり』展

港や

カレーライス

『一条ゆかり』展(弥生美術館、12月24日まで)に行く。

〈…… 一条さんは、少女漫画の王道といえる壮麗な絵柄や恋愛の物語を得意とする一方、仕事に生きるりりしい女性像、同性愛や近親相姦、ベッドシーンの描写など、従来の少女漫画になかったテーマに次々と挑戦した。「はたから見たら挑戦でも、私は常にナチュラル。好きなことをやってきただけなんです」と一条さん。 ……〉(『東京新聞』10月18日夕刊)

見終わって、隣のカフェ「港や」で、カレーライスとアイスコーヒー(880円)。

 


『東山魁夷』とハウスブレンド

『東山魁夷』展

『東山魁夷』展

『東山魁夷』展がひらかれている(12月3日まで、国立新美術館)。

生誕110年
生涯をたどる美しき道
日本画の巨匠   10年ぶりの大回顧展。会期は36日間、お見逃しなく !
東山芸術の集大成   唐招提寺御影堂障壁画を完全再現 !

という文字が、パンフレットに見てとれる。
「障壁画」や「花明り」や「緑響く」などを見ていると、日本茶を思いうかべた。そして、ショップへ寄ると、なんと、紅茶  (ハウスブレンド ブレックファースト)を売っている。540円。

 


『快慶・定慶のみほとけ』展とお弁当

『京都  大報恩寺   快慶・定慶のみほとけ』展

『京都  大報恩寺   快慶・定慶のみほとけ』展

 

『京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ』展(東京国立博物館平成館、12月9日まで)へ。「秘仏来たる。」「珠玉の鎌倉彫刻。」というキャッチフレーズ。しかし、この京都  大報恩寺を知らなかった。帰りに喫茶店に置いてあった『うえの』というタウン誌に、皿井  舞さんのこういう文章がある。
〈大報恩寺というお寺をご存知でしょうか。初耳という方もご安心ください。京都のタクシー運転手さんにすら、「え?」と聞き返されます。ですが、通称で、京都の人が親しみを込めてよく使う通称の「千本釈迦堂」と言い直せば、問題ありません。この通称は、釈迦をご本尊とするお寺で、近くに千本通という京都の碁盤の目を縦につらぬく大通りがあることなどに由来するようです。……〉

みほとけ展のあとは、お弁当が似合うような気がした。一階の「鶴屋吉信」へ行き、京都  たん熊  四季おりおり弁当(1188円)を食べる。

 


時をかける文士『筒井康隆展』

筒井康隆展

筒井康隆展

『筒井康隆展』(世田谷文学館、12月9日まで)に行く。
入ってすぐ、 ー   小説を書くとは、もはや無頼の世界に踏み込むことであり、良識を拒否することでもある。 ー  という言葉が、大きく目に入る。
たくさんの手書きの原稿が、展示されている。黒く太く筆圧の強い字。
いまはない、『科学朝日』という雑誌の連載を読んだのが、初めてだった。

帰りに、ショップで『偽文士日碌』(角川文庫)を買い、隣のカフェでチキンピラフを食べながら、読む。「はじめに」の最後の行に、〈 ついでだが、「日碌」の「碌」は「碌でもない」の「碌」であり、使い方がちょっとおかしいかもしれないがまあ勘弁してください。〉とあった。

 


『笠井誠一』の静物画

『笠井誠一 ー 形の世界 ー』展

絵葉書

 

笠井誠一は、現在の自身の静物画を「ルネサンスより前の仕事」と言う。確かに、数学的透視図法から離れた構成や、空間の広がりに焦点を置かずモチーフ同士がほぼ同等に描かれる画面作りからは、透視図法を志向しながら感覚的な空間把握に留まっていた中世後期の画家たち、例えばジョットなどの造形を思い起こすことも出来る。……

『笠井誠一 -形の世界- 』展(練馬区立美術館、11月25日まで)が開かれている。これは、その展覧会にちなんで出版された本にある、学芸員・真子みほさんの文章の書き出しだ。

帰りに、絵葉書を3枚買った。

 


京都・醍醐寺、秋の旅

京都・醍醐寺 真言密教の宇宙

醍醐寺の力餅

 

『京都・醍醐寺 真言密教の宇宙』(サントリー美術館、11月11日まで)に行く。
〈京都の山科盆地にある醍醐寺は、貞観十六年(八七四)に理源大師聖宝によって開かれて以来、真言宗醍醐派の総本山として、歴史の表舞台で重要な役割を果たしてきた名刹です。〉
〈本展はは国宝・重要文化財に指定された仏像や仏画を中心に、濃密な密教美術の世界をご体感いただくとともに、普段は公開されない貴重な史料・書跡を通じて、平安時代から近世にいたる醍醐寺の変遷をたどるものです。〉
と、パンフレットにある。

秋の旅。おみやげに、「醍醐寺の力餅」。これでは、まるで修学旅行生かな、と思いながら。

 


カール・ラーションと小倉白玉

『カール・ラーション』展

小倉白玉

 

『カール・ラーション』展(損保ジャパン日本興亜美術館、12月24日まで)に行く。
「スウェーデンの暮らしを芸術に変えた画家」というサブタイトル。家族をモチーフにした温かい作品で知られるスウェーデンの国民的人気画家。 ということで、描かれた絵はもちろん、改装した住まい、妻のテキスタイルなども、紹介されている。改装は、食堂から始めた。そのときのコンセプトは、家族全員が平等に集まる場所であること。さまざまな国と時代の様式が混在する豊かな空間であること。であったという。

見終わって、秋の街へ。新宿駅に向かって歩いていると、「氷」の旗がさがっている店があった。「まだ、氷をやってるんですか?」「ええもう、そろそろ、終わりにするんですけど」  氷小倉白玉(790円)を注文。つくづく、熱い夏だったな、と思う。