ルーベンスの長女

ルーベンス展 ー バロックの誕生

ルーベンス展 ー バロックの誕生

地下鉄・上野駅から国立西洋美術館に向かう途中、青空をバックに、少女がいた。『芸術新潮』11月号は、ルーベンスとムンクの特集で、そのなかの「ルーベンス10選」(渡辺晋輔・国立西洋美術館主任研究員)にもあったな、と思う。それは、《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》の文章だ。

〈家族を愛するルーベンスは妻や子供たちの肖像画をしばしば描いた。これはそのうちの一枚で、モデルである長女の生き生きとした笑顔を的確に捉えている。通常、肖像画は身なりをきちんと描くものだが、この絵では彼女の表情のみに関心を注ぎ、服は大雑把な描写で済ませている。まさにその点に画家の愛情が感じとれるのである。……〉

『ルーベンス展 ー バロックの誕生』は、国立西洋美術館で、1月20日まで)