未分類

アルフレッド・シスレー展へ

アルフレッド・シスレー展

 

アルフレッド・シスレー展  —  印象派、空と水辺の風景画家 —(練馬区立美術館。11月15日まで)に行った。
最寄りの西武池袋線・中村橋駅から美術館へ向かう人の多いことに、驚く。絵葉書売り場の列に驚く。そして、たくさんの川や河や川辺や河畔や橋や水や空や雲や樹樹や草草を、たのしく見た。

帰り道。
〈どんな川であっても、私は、水のある風景、橋のある風景が好きだ。そこに労働があり、暮しがあり、知恵があるのである。一口に言って、絵になるのである。〉……  という山口瞳さんの文章(『月曜日の朝』)を思い出した。

 


スーパームーン20150928

 

9月28日(月)夜空にはスーパームーンが。

今年は中秋の名月に続き、2日連続、夜空を眺めた。

スーパームーンとは、月が最も地球に接近した状態の、

新月か満月のこと。

雲の間から、迫力ある大きな月を見ることができた。

写真左にうっすらと写っているのはDOCOMOタワー。

いつの間にか蝉の声から鈴虫やコオロギの声に変わり、

すっかり秋らしくなった。


柳原良平さん

柳原良平さん

 

柳原良平さんが、亡くなられた。

いまから、40年以上も前、日本ペンクラブの活動資金を集める催しが、あった。会場には、いろいろな作家の色紙が、並んでいた。柳原良平さんの絵 + 山口瞳さんの書 + 大伴家持の歌。迷うことなく、これにきめた。

柳原良平さんついて、山口さんは『男性自身』のなかで、こう書いている。 〈柳原さんは不器用なのである。あんなに巧緻な切紙の絵を見たり、複雑な船の模型を見たりすると、とても信じられないけれど、実際は大変なブキッチョである。切紙には片刃の剃刀を使うが、切り傷が絶えない。〉 〈むかし、二人でトリス・バーで飲んでいたときに、勘定書を見ると、Tハイという欄に書かれた正の字が欄外にはみだしていて、それがずっと下のほうまで続いていて、そこからさらに左に曲り、裏面まで続いているということがあった。正の字が一字で五杯だから、何杯飲んだか見当がつかない。〉

この色紙を持って、近くの公園へ行き、ベンチに置いて写真を撮った。「オジサン、この人、だあれ?」と遊んでいた子どもが聞いた。

 


太宰治と碧雲荘

碧雲荘

夜。ラジオを聞いていたら、太宰治『富嶽百景』の話だった。そのなかで、この作品に書かれたアパートは、荻窪の碧雲荘といい、近々、取り壊されることになり、現在、保存運動が行われている言っていた。明日になったら、碧雲荘を見に行こう、『富嶽百景』をまた読んでみよう、と思って寝た。

荻窪税務署の裏側の路地を入ると、すぐ右に木造の二階家が、見えた。玄関脇の植え込みは、伸び伸びと大きく育っている。いまは、だいぶ疲れた感じの二階が見える。その八畳間に、太宰治は、住んでいたという。

帰りに『富嶽百景  走れメロス』(岩波文庫)を手に入れて読んだ。
〈東京の、アパートの窓から見る富士は、くるしい。冬には、はっきり、よく見える。小さい、まっ白い三角が、地平線にちょこんと出ていて、それが富士だ。なんのことはない。クリスマスの飾り菓子である。…… 〉

碧雲荘の取り壊しに反対する催しが、9月14日6時半から、又吉直樹さんらを招いて、杉並公会堂で開かれるという。

 


西江雅之さん

西江雅之さん

西江雅之さんの訃報を、新聞で知った。『チルチンびと』32号で「住まい観」を語っていたのを、思い出して読んだ。

「僕はモノとしての家にはあまり関心がないですね。『ハウス』より『ホーム』ですよ、家庭としての家ね。それから、そのへんを歩いていて、ざわざわ、人の匂いがしたほうがいいな。旅から戻ってきても、街の灯、行きつけの飲み屋の明かりを見ると、ふと元気になる。僕は文化人類学をやっているけれど、人間のことは、学問の本からよりは隣近所からいちばん学んだし、今も学んでいるんです。……」

6月19日。また雨になった。

 


初巻鰤

お土産にいただいた「巻鰤」はわら納豆のようにわらに包まれ、

さらに縄が巻き上げられている。

縄を解くと中から脂がのった鰤が登場。

かつての京の都や加賀藩にも献上したと言われる伝統の保存食だそう。

現在は衛生上、真空パックしたものが入っているが、

わらと縄で巻いた形式は、これからも継承してほしいと思いながら、

おいしくいただいた。

 


サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡へ

5月の土曜日、友人に誘われて初夏の陽気に品川にある原美術館を訪れた。「サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡」の初日だ。日本での個展は初めてで、今回81点の紙に描いた作品を観ることができた。

 

作品タイトルの半数以上が「無題」で、鉛筆、色鉛筆、ボールペン、アクリル絵の具、オイルスティックなどでチョークボードをひっかいたようなものや、コラージュ、暗号のような表記や数字の羅列などが独特のカリグラフィー作品、絵画作品だ。難しいことはぬきにして、緊張感と解放感をいったりきたりしながら、原美術館の空間も一緒にたのしんだ。原美術館を訪れるのは10年ぶり位なので、常設展がとても懐かしく感じた。1938年施工の原美術館は重厚で内装も、お庭もとてもすてきだ。

 

サイ トゥオンブリー(Cy Twombly、1928-2011)はアメリカ合衆国バージニア州出身の画家、彫刻家で、1979年にニューヨークのホイットニー美術館で回顧展が行われ世間に名前が知られるようになった。晩年には高松宮殿下記念世界文化賞、ヴェニス ビエンナーレ金獅子賞などを受賞。ルーブル美術館の天井画が2010年に公開された。

 

サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡@原美術館 8/30(日)まで

 


ベビーコーンORヤングコーン

先日、フレッシュなベビーコーンをお土産でいただいた。

フレッシュなベビーコーンを手にするのは初めてだった。

皮付きのまま蒸し焼きにしておいしくいただいた。


植草甚一さんのときめき

「植草甚一スクラップ・ブック」展

快晴だから「植草甚一スクラップ・ブック」展へ行く(7月5日まで、世田谷文学館)。原稿のためのノート。映画を観てのメモ帖。スクラップブック。草稿。講演の原稿。ハガキ、手紙。古い雑誌、洋書。レコードリスト。写真。コラージュ。……

〈コラージュというやつは、手元にある無関係な切り抜きをくっつけ合わせ、それが自分の気にいるようになりながら、なにか別なものに変化してしまうときの快感にあるのであって、それはほとんど即興によってできあがってくる。 ……〉
(『世田谷文学館資料目録 3 』植草甚一関連資料)

たくさんの品品をくっつけ合わせて、植草さんが浮かび上がってくる。その愉しさ。昨今、ときめき片づけが、大流行だが、植草さんが、ときめいて、棄てなかったものの、なんと多く、ステキなことか。

 


アウシュヴィッツに生きた画家

アウシュヴィッツに生きたM・コシチェルニャック展

「真実を伝え続ける絵画 ―アウシュヴィッツに生きたM・コシチェルニャック展―」を見に、ワセダへ行く。大学のキャンパスが、いちばん賑わうのは、この季節だ。大勢の新入生。サークルに勧誘する声、声、声。ジャズの演奏。なんだかわからない、雄叫び。それらを横目に、会場へ。

政治犯としてアウシュヴィッツに収容された、ポーランド人画家、コシチェルニャックの作品19点。それに関連するいくつもの事柄の展示である。アウシュヴィッツの地獄を生き抜き、その事実を伝えることを「生き残った人の義務」と言って描き続けた ……と、会場の解説にある。ポスターのこの絵は、「鉄条網の向こうの子どもたち」。彼らの命も短かったことを思うと、その姿を見ていられなかった。

(4月23日まで。早稲田大学26号館大隈記念タワー10階125記念室)