太宰治と碧雲荘

碧雲荘

夜。ラジオを聞いていたら、太宰治『富嶽百景』の話だった。そのなかで、この作品に書かれたアパートは、荻窪の碧雲荘といい、近々、取り壊されることになり、現在、保存運動が行われている言っていた。明日になったら、碧雲荘を見に行こう、『富嶽百景』をまた読んでみよう、と思って寝た。

荻窪税務署の裏側の路地を入ると、すぐ右に木造の二階家が、見えた。玄関脇の植え込みは、伸び伸びと大きく育っている。いまは、だいぶ疲れた感じの二階が見える。その八畳間に、太宰治は、住んでいたという。

帰りに『富嶽百景  走れメロス』(岩波文庫)を手に入れて読んだ。
〈東京の、アパートの窓から見る富士は、くるしい。冬には、はっきり、よく見える。小さい、まっ白い三角が、地平線にちょこんと出ていて、それが富士だ。なんのことはない。クリスマスの飾り菓子である。…… 〉

碧雲荘の取り壊しに反対する催しが、9月14日6時半から、又吉直樹さんらを招いて、杉並公会堂で開かれるという。