書籍

大胆な土間リビングへ

「薪ストーブの炎が暖める土間リビングで」(設計・岩瀬卓也)

 

『チルチンびと』冬110 号は、特集「暖かくて木の香りのする家」。たくさんの木の香る事例のなかから、「薪ストーブの炎が暖める土間リビングで」(設計・岩瀬卓也)へご案内します。

〈…… 「みんな、玄関からではなくこっちから入ってきちゃうんです」と奥さんが笑う北側の開口からは、南側の開口、南庭までを見通せる。この、光と風の通り抜ける大胆な土間リビングが、メイン空間だ。どっしりと支える大黒柱や、悠然とわたる梁などの和のテイストが、空間に重みと気品をもたらす。「このあたりは、蔵のある古い家などもある地域。町並みになじむ家にしたかった」と岩瀬さん。夫妻らしいモダンなしつらえとも、見事に調和する。 〉

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『チルチンびと』 冬 110号、好評発売中。お早めに書店へ。

チルチンびと 110号 暖かくて木の香りのする家


春のような家

『チルチンびと』冬110号

『チルチンびと』冬110号の特集は「暖かくて木の香りのする家」。
誌面から、暖かい、木の香りのする家をご紹介します。では、「庭と薪ストーブを眺めて過ごす やすらぎのある暮らし」(設計・龍口元哉)から。

〈リビングの中心には、ご主人がプラン作成の当初より熱望していたという
薪ストーブを配置。空気調節を自動で行う初心者でも扱いやすいモデルを採用した。「薪ストーブはただ暖かいだけではなく、薪がパチパチと燃えている様子を見ているだけでもリラックスできますね」とご主人。さらに2階には循環器ファンを設置。上昇した暖気を1階の床下に送り出すことで、室温を均一にたもつことができる。〉
身もココロも、ふんわり、春が来たような、いい気分ですね。

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『チルチンびと』冬110号は、好評発売中。お早めに書店へ !

 

チルチンびと 110号 暖かくて木の香りのする家


江戸の別荘地、根岸

『日本の美邸』8号特集「別荘

 

近日発売『日本の美邸』8号の特集は「別荘」。
「江戸の贅を探る」という連載記事の中で、江戸文学を研究する安原眞琴さんが、こんなふうに書いている。
〈……町人の別荘も大名と同様で、所在地は浅草、本所、深川といった江戸北部や隅田川以東の田園地帯が多く、庭園付きの数奇屋風の建物などを配していた。…… 郊外でも文人墨客に好まれた独特のエリアだったのは根津だ。江戸初期から東叡山寛永寺貫主を兼任していた輪王寺宮の別邸があり文化的土壌はあったが、さらに文化の源泉だった吉原遊郭に近く、吉原通いのルートにもなっていたので、風流韻事を好む文人の別荘や、身請けした遊女を囲った趣のある妾宅などが点在していた。……〉

今も漂う、その昔の雰囲気を味わう秋の散歩もわるくない。

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『日本の美邸』8号は、風土社刊。12月2日発売でず。お楽しみに。

 


山荘に時の流れる

『日本の美邸』8号「別荘」

 

近日発売『日本の美邸』8号の特集は「別荘」。
そのトップを飾るのは、「時の過ぎゆく中で」と題した建築家・益子義弘さんの文章と、ある別荘の写真。以前、益子さんが設計した明野の山荘を、再び訪ねるという趣向である。

〈……再訪は15年ぶりになる。夏の光まぶしい日になった。道筋をたどってその場所に向かう。遠くに記憶にある姿が見えた。正直に言おう、遠く稲田越しに見る建ち姿をひとつの風景として、いいなと思った。それは自作という関わりを超え、ただ客体としてそこにある姿としてである。佇まいを稲田越しに見ながら、しばらく設計の時のことを思い返す。その頃ぼくは設計の小論に「風景を解き、風景に返す」という一文を書いている。〉
〈浮足立つバブル経済の波が国土の各所を荒らしているときで、往々にして建築は環境を蝕む側に批評され、そのことに関わる自分たちの立ち位置を悩み考えていたときだった。人がいて順当な自然。里山を背にする集落が自然なように、環境を荒らすものでない建築の素朴な存在について、そのあり方の思いを巡らせていた。それがこの山荘の建ち方にも重なっている。……〉

山荘。周辺の風景。そこに住む人。変わったこと、変わらないこと。それは、一つの物語である。

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『日本の美邸』8号(風土社刊)は、12月2日発売です。お楽しみに。


村松友視家の庭と外ネコ

庭と猫
本誌の庭の特集にちなんで、村松友視の連載エッセイは「庭と猫」。
こんなふうに書き出している。

〈いまの家に住んでから、私にとって庭は外ネコの舞台となってきた。最初に庭にあらわれたのは、袖萩という名をつけた雌ネコだった。〉
さて、その袖萩がフェイドアウトすると、やけに男前の雄ネコが登場し、これは、高倉健をかさねて、ケンさんと呼ばれる。そのケンさんも、寄る年なみにあらわれ、消え去る。
そして、村松家の庭の昨今は〈そのケンさんの姿がわが庭から消えて何年になるか……近ごろこの界隈の野良ネコが減っているのか、わが家と外ネコの縁も断ち切れたままになっている。〉
と、エッセイは、静かに舞台の幕を閉じている。

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『チルチンびと』秋 109号は、特集「この庭が楽しい」。好評発売中です。

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」


ポツンと - カフェ

とまりぎ  山ノひゃくせい

 

夏の郡上踊りで有名な岐阜県郡上市郡上八幡の上流、大和町。国道から山あいの道をくねくねと登ると栗巣川の上流にたどり着きます。上栗巣地区、通称母袋は約38世帯の小さな村。緑を抜けると村のはずれに小さな一軒家がありました。「とまりぎ 山ノひゃくせい」は、民宿・喫茶で、どぶろくづしりもしています。……
こんな書き出しで始まる「つながる人びと」は『チルチンびと』の異色連載。ページを開くと、お店で働く3人の笑顔。緑に囲まれた店。カフェのランチ。麦ごはん、大根とセロリのスープ、ナガイモコロツケ、クルミ味噌、ゴボウサラダ……などなど、1500円の食卓。それらの写真を見ることができる。人里晴れたここ、店が開く週二回は 賑わいをみせるという。
ぜひ、いちど。

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『チルチンびと』秋 109号は、特集「この庭が楽しい」。好評発売中。

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」


小笠原のコーヒーノキ

小笠原からの手紙

 

秋。コーヒーのおいしい季節になってきた。
『チルチンびと』の連載コラム「小笠原からの手紙」は、毎回、独特の島の話題を書いてたのしいが、今月は島の コーピーノキの話。こんなふうに。
〈…… 小笠原は明治初期に日本の領有として認められ、明治政府による開拓が始まった。コーヒーは、当時の内務省勧農局が有用植物として選定した数少ない作物の一つであり、国内初の栽培が始まったという。この事業にかける資金や。導入規模の記録からみても、コーヒー栽培は国家の威信をかけた挑戦であったともいえるだろう。〉
ところが、収穫に至るまでの年月の長さや、それまでの苦難などから、この事業は殖産に値しないと縮小。六万本あったコーヒーノキの苗木のうち約九千本が島民に払い下げられた。そのコーヒーノキを、農園の片隅に植えた人がいた。そのキは、戦争を経て、戦後を過ごし、命を繋いできた。そして、いまも小笠原の地に存在する。この巡り合わせ。それを繋いできたひとびと。
小笠原とコーヒーノキの歴史は、一杯のコーヒーの中に、かなしくブレンドされて存在する。

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「チルチンびと」秋109号は、特集「この庭が楽しい」。好評発売中。お早めに書店へ。

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」


この庭の記憶

塗り壁の四季

 

『チルチンびと』109秋号が、売れ行き好調です。特集「この庭が楽しい」は、秋晴れにぴったり。
そんな 賑やかな記事の中で、連載「塗り壁の四季」(小林澄夫)の「庭と壁」が、心にひびく。 こんな書き出しだ。
〈庭という言葉で私が思い出すのは、茶室の露地でもなく、山水の庭でも京都の町屋の坪庭でもない。子供の頃、農家で“ニワ”といっていた庭のことである。庭で遊びなさい、おもてで遊びなさいとよく言われた。そんな庭である。…… いつもは子供が遊ぶだけのなにもない、空っぽの地べたの庭のことであった。〉
そして、こんなふうに続いていく。
〈このなにもない、生垣に囲まれただけの空っぽの土の地べた。人だけではなく、虫も鳥も犬や猫も小さな生物もやって来た。人と自然との入会いの庭。そんな地べたの土が立ちあがり土塀になり、壁になった農家の住まいのことを懐かしく思い出す。………)
このコラムを、味のある脇役の役者、のように思った。

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『チルチンびと』秋109号は、好評発売中。お早めに書店へ。

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」


陶芸家 ダグラス・ブラックの作品世界

陶芸家 ダグラス・ブラック

 

陶芸家としてだけでなく、インスタレーションなどでも国内外で活躍するダグラス・ブラックさん。彼自身の作品のような、個性あふれるセルフビルドの自宅兼工房を訪ねた。
ダグラスさんの家は、焼き物の郷として全国的に知られる栃木県の笠間と益子。そのどちらからもアクセスのよい茂木町の、ゆるやかな那珂川の流れを望む高台にある。
ここでは、魅力的な作品、作品の舞台裏、そして彼の「住まい観」をたっぷりのぞかせてくれる。

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『チルチンびと』秋 109号は、「特集・この庭が楽しい」。風土社刊。好評発売中。お早めに書店へ!

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」


大工と庭師の専門学校訪問

『チルチンびと』秋 109号「職藝学院を訪ねて」

 

『チルチンびと』秋 109号に、「職藝学院を訪ねて」というユニークな記事がある。富山市にあるその学校について。こう書かれている。
〈……学校の創設者である稲葉實さんは、「ものづくりの職人技と名人藝を因数分解して『職藝』という名を冠した」と語る。日本の伝統的な職人技術=職と用の美を追求する工芸品の芸術性=藝を結んだ。伝統技術の大系を身に付けるため、実習を中心に基礎から実践までの幅広い教育が行われている。〉
建具大工、家具大工、そして、造園師・ガーデナー。各教科での先生と生徒の充実した表情を、ぜひ、ごらんください。

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『チルチンびと」秋109 号は、好評発売中です。お早めに、書店へ。

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」