村松友視家の庭と外ネコ

庭と猫
本誌の庭の特集にちなんで、村松友視の連載エッセイは「庭と猫」。
こんなふうに書き出している。

〈いまの家に住んでから、私にとって庭は外ネコの舞台となってきた。最初に庭にあらわれたのは、袖萩という名をつけた雌ネコだった。〉
さて、その袖萩がフェイドアウトすると、やけに男前の雄ネコが登場し、これは、高倉健をかさねて、ケンさんと呼ばれる。そのケンさんも、寄る年なみにあらわれ、消え去る。
そして、村松家の庭の昨今は〈そのケンさんの姿がわが庭から消えて何年になるか……近ごろこの界隈の野良ネコが減っているのか、わが家と外ネコの縁も断ち切れたままになっている。〉
と、エッセイは、静かに舞台の幕を閉じている。

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