書籍

パッションフルーツの由来

小笠原の植物  フィールドガイド

 

『小笠原の植物 フィールドガイド Ⅲ』が、発売になった。
このシリーズのⅠが発売になったのは、2002年。Ⅱの発売が、2008年。
小笠原野生生物研究会の安井隆弥さんが、いつものように 飄々と、来社された。そして、「 今回は、道端や村落など、ごく身近なところに見られる植物をたくさん取り上げているので、きっと地元の方や観光客の方にも、喜んでもらえますよ」と言った。
この本の31ページを開くと、おなじみパッションフルーツが、登場。こんなふうに 解説。 〈  …… 西洋人は、この花の形が多数の花糸に囲まれた十字架と見て、受難 ( Passion )の花と見做した。日本ではその形が時計に似ているので時計草とした。……〉
こんな、へえー、という知識が たのしい。


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『小笠原の植物  フィールドガイド Ⅲ 』 (小笠原野生生物研究会  著)。96ページ。定価(本体1000円 + 税〕。小社刊。好評発売中。

 


薪ストーブ家族十景 ー『チルチンびと』98号〈特集・薪ストーブのある家〉予告篇

薪ストーブ家族十景

『チルチンびと』98号〈特集・薪ストーブのある家〉は12月11日発売です。待ちきれない、というあなたへ、その内容、少しお目にかけます。「薪ストーブ家族十景」から、福岡県に住む、野田さん一家のこんなお話はいかが。

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薪は近所の植木屋さんからもらうなど、問題なく調達。今ではご主人、「道具にこだわってしまい、そっちにコストがかかる(笑)」ほどすっかり薪割りにはまってしまったのだとか。ストーブの季節には、家族がそろって自然と早起きになり、薪ストーブの火入れから1日が始まる。「子どもも一緒になって、誰がいちばん上手に火をつけるかを競っています」。……
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『チルチンびと』98号は、12月11日発売です。お楽しみに。

 


「古物語り・銅の調理道具・塩見奈々江」ー『チルチンびと』98号予告篇

「古物語り・銅の調理道具・塩見奈々江」ー『チルチンびと』98号

 

『チルチンびと』98号  〈特集・薪ストーブのある家〉は、12月11日発売です。待ちきれない、というあなたに、そっとお目にかけましょう。連載「古物語り」も、火にかける調理道具のお話。

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ルネサンス期のイタリアの料理人、スカッピが1570年に書いた『料理術』には1000以上ものレシピとさまざまな調理道具が紹介されている。イラスト図録に描かれたそれらは今とそれほど形が変わらない。
そこには火にかける調理道具は内側に錫がひかれた銅製のものが理想的、とある。むき出しの銅は、料理に金属っぽい味が移ってしまうので避けるべきだとも。……
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『チルチンびと』98号は、12月11日発売です。お楽しみに。

 


町なかに生まれた森の家 ー『チルチンびと』98号〈特集・薪ストーブのある家〉予告篇

町なかに生まれた森の家 ー『チルチンびと』98号

 

『チルチンびと』98号  〈特集・薪ストーブのある家〉は、12月11日発売です。待ちきれない、というあなたに、ちょっとお目にかけましょうか。
「町なかに生まれた森の家・設計  横内敏人」はいかが。そのページでは、こんな話を読むことができます。

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取材に立ち会った所員の藤原真名美さんはこう説明する。「横内が設計するとき、人が落ち着く原始的な感覚というのは、大きな樹があり、その樹の下に佇んで樹に守られながら、開けたところを見るという、その位置関係にあると言います。背後と上が守られ、目の前は開けている。人が落ち着く原始的な場所を住宅の中にもつくりたい」と。……
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『チルチンびと』98号は、12月11日発売です。お楽しみに。

 


パンの香りと薪の匂い ー『チルチンびと』98号〈特集・薪ストーブのある家〉予告篇

パンの香りと薪の匂い ー チルチンびと98号 予告篇
 

『チルチンびと』98号 特集〈薪ストーブのある家〉は12月11日発売です。待ちきれない、というあなたに、ほんの少し、ごらんにいれましょう。

「パンの香りと薪の匂いに包まれて  BAKERY  dry  river  」はいかが。琵琶湖畔のパン屋さん。そこには、こんな香りの文章がありますよ。

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厳選された素材を使い、手づくりをモットーとする「ドライリバー」のパンたち。たとえば、カレーパンの具材は、手づくりのキーマカレーと素揚げした野菜。ひと手間かけた味は評判を呼び、今では次々とお客さんが訪れる人気店となった。1日を通して「ドライリバー」の店頭に並ぶパンは100種類以上。 ……

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『チルチンびと』98号は、12月11日発売です。お楽しみに。


加古里子さん、最後の絵本

みずとはなんじゃ?

 

絵本作家の加古里子さんが亡くなったのは、今年の5月だった。95歳ということで、『だるまちゃん』シリーズなど、たくさんの本を遺したから、新聞でも、その訃報は目立った。先日、最後の作品『みずとはなんじゃ?』(小峰書店刊)が発売された。その本に『みずとはなんじゃ』ができるまで』という別冊がついている。
そこには、本のタイトル案のうつりかわりも、見てとれる。最初の打ち合せでは「みずはふしぎな忍者」。それが2か月後には「みずはにんじゃかいったいなんじゃ」。それから、約1年後には「みずとはなんじゃなにものなんじゃ」へ。そして、翌年に、「みずとはなんじゃ?」へ。

60年間にわたる、絵本作家生活だった。


ルーベンスの長女

ルーベンス展 ー バロックの誕生

ルーベンス展 ー バロックの誕生

地下鉄・上野駅から国立西洋美術館に向かう途中、青空をバックに、少女がいた。『芸術新潮』11月号は、ルーベンスとムンクの特集で、そのなかの「ルーベンス10選」(渡辺晋輔・国立西洋美術館主任研究員)にもあったな、と思う。それは、《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》の文章だ。

〈家族を愛するルーベンスは妻や子供たちの肖像画をしばしば描いた。これはそのうちの一枚で、モデルである長女の生き生きとした笑顔を的確に捉えている。通常、肖像画は身なりをきちんと描くものだが、この絵では彼女の表情のみに関心を注ぎ、服は大雑把な描写で済ませている。まさにその点に画家の愛情が感じとれるのである。……〉

『ルーベンス展 ー バロックの誕生』は、国立西洋美術館で、1月20日まで)


時をかける文士『筒井康隆展』

筒井康隆展

筒井康隆展

『筒井康隆展』(世田谷文学館、12月9日まで)に行く。
入ってすぐ、 ー   小説を書くとは、もはや無頼の世界に踏み込むことであり、良識を拒否することでもある。 ー  という言葉が、大きく目に入る。
たくさんの手書きの原稿が、展示されている。黒く太く筆圧の強い字。
いまはない、『科学朝日』という雑誌の連載を読んだのが、初めてだった。

帰りに、ショップで『偽文士日碌』(角川文庫)を買い、隣のカフェでチキンピラフを食べながら、読む。「はじめに」の最後の行に、〈 ついでだが、「日碌」の「碌」は「碌でもない」の「碌」であり、使い方がちょっとおかしいかもしれないがまあ勘弁してください。〉とあった。

 


小笠原のグリーン・レモン

小笠原のグリーン・レモン

小笠原の植物   フィールドガイド

 

『小笠原の植物 フィールドガイド』(小社刊)を、手にされた方も多いのではないか。その著者の1人  小笠原野生生物研究会の安井隆弥先生から、グリーン・レモンをいただいた。直径 8センチはある、大ぶりのレモンである。これを目にするたびに、梶井基次郎の『檸檬』を思い出し、この爆弾のようなレモンを、丸善に届けたいという誘惑にかられる。

なお、『小笠原の植物 フィールドガイド』の第3巻を、ただいま編集中。今年12月に発売予定です。お楽しみに。

 


横山崋山と『坊っちゃん』

『横山崋山』展

 

『横山崋山』展(東京ステーションギャラリー 11月11日まで)に行く。

会場内の解説にいう。「かつて有名であったにも関わらず、忘れ去られてしまった絵師がいます。横山崋山は、江戸時代後期の京都で活躍した人気絵師です。…… 崋山の名は、没後しばらくは有名な書画家の一覧表に掲載されたり、夏目漱石の『坊ちゃん』に登場するなど、知られていたようです。…… 」  読み直してみた。

坊っちゃんが、教師となって住んだ下宿の亭主が書画骨董好き。
〈始めに持って来たのは何でも印材で、十ばかり並べて置いて、みんなで三円なら安い物だ御買なさいという。田舎巡りのヘボ絵師じゃあるまいし、そんなものは入らないといったら、今度は崋山とか何とかいう男の花鳥の掛物をもって来た。自分で床の間へかけて、いい出来じゃありませんかというから、そうかなと好加減に挨拶をすると、崋山には二人ある、一人は何とか崋山で、一人は何とか崋山ですが、この幅はその何とか崋山の方だと、くだらない講釈をしたあとで、どうです、あなたなら十五円にして置きます。御買なさいと催促をする。……〉(『坊っちゃん』 夏目漱石作 岩波文庫)。