出張

九州訪問 初日 福岡編

格安のツアーを見つけ、九州一週の運転手をかってでてくれたタイルびとのスケジュールを3泊4日で捕まえて九州へ。この日程では全県を周れそうにもなかったので、福岡~大分~熊本~鹿児島の4県に絞って行ってきました。

 

初日は福岡からスタート。 福岡では、かなり古そうなアパートをリノベーションして、いくつものお店や作家さんが集まっているというところによく遭遇した。探していたお店のあるビルに偶然Clair de Luneさんがいらっしゃった!とか、TRAMさんという雑貨屋さんを訪ねたら、先月オープンしたばかりのTable&Lifeさんにも出会えて「TRAMさんの1Fでよかった!」「こちらこそ!」なんていうこともあり。こちらのお店ではうきは百姓組さんという地元福岡の若手農家集団の方々の育てた食材も扱っているようです。なんだか気になる存在です。coffonさんにうかがう途中、なにやらセンスのいい花屋Ogami さんを発見しました。こちらはめったにお店にいらっしゃらず、生け込みが中心とのことで、出会えてラッキーだったのですが、ちょっと歩いただけでもこんな風に芋づる式の出会いがあって、お店を営む側にも訪れる側にも自由で懐の深い雰囲気があるような、楽しい街でした。

しかし福岡がこんなに寒いとは思わず。この日はvigoの友人でもある「Flat House(古い平屋)を探して」の本田さんと「中国茶をご一緒に」の村田さんにもお会いするつもりが、なんと御二方ともお子さんがインフルエンザで残念ながら今回は会えなかった。本当に流行っているようなので皆様も気を付けてください。そしてかかってしまった方、くれぐれもおだいじに!

夜は水炊きを食べたくなって数件に連絡をいれてみたけれど、どこも満席。外の屋台もいっぱいで、福岡の夜は活気がありました。結局ホテル近くの居酒屋いずみ田さんでもつ鍋を食べたら、これが美味しかった!ホウレンソウやらキャベツや豆腐や餃子!?など、スープがなくなるまで具を追加注文できるのがうれしい。閉めの麺も、煮詰まったスープとよくからんで、病み付きの味。中目黒と日本橋にも支店があるようなので、あの味が恋しくなったら行ってみたいと思います。

 

(2日目 大分~久留米編に続く)

 


栃木訪問 響屋さんそして麻紙工房

地域主義工務店の会 響屋さんのHPリニューアルを機に栃木へ。

モデルハウス内の水回りの工事が完成していました。ガラスが入った釉薬を使って微妙な模様を作り出しているタイル、ちょっとだけ高さが普通より高いカウンター、持ち運びが自由自在の収納箱、ブラインドインペアガラスなどなど設計者の細やかなセンスが感じられる仕上がり。

うっかり写真を撮り忘れ、お見せできれば良かったのですが…。

 

響屋さんの手掛けた住宅の一部にも用いられている麻紙、栃木県サポーターの金山さんの後輩が制作されていると言う話を聞きさっそく工房を訪ねる。

納屋外観

外壁はねずみ漆喰

納屋カウンター

重い石を2人で積み上げたカウンター

野州麻紙工房の大森さん夫妻、もともと作品を展示するためのギャラリーとして建物を造り始めた様ですが、造り出すうちに思っていたより大きくなっていったため、cafe[納屋]も併設することにしたそう。古材、石、建具を少しずつ集めて、骨組みと瓦以外は、自分達で少しづつ造りあげ4年の年月をかけて仕上がった建物。そこで、麻紙で制作された照明の光も体感できます。

大森さん家族に麻のこと、建物の事いろいろ話をしていただきました。どうもありがとうございました。

野州麻紙工房/cafe ギャラリー 納屋の詳細情報は近日中にチルチンびと広場に掲載予定。

大森さん

加工用に密植して育てた麻と採種用麻

照明

草木染めした麻紙を使用した照明

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大森さん「麻紙の制作を始めて、僕なんか10年程度、まだまだひよっこです」
大森さんの奥さん「この人が高いところが苦手なんで、天井の色は私が柱に登って塗ったんです。おてんばだから、全然平気なんだけど。私、何やってるんだろうって一瞬思った」
大森さんのお父さん「そうだなー、今度は季節の良い時にきたら、麻畑を見せてあげられるよ」
大森さんのお母さん「麻って真ん中が空洞になってるでしょう。昔はね、それを切ってストローなんかにしたりしてね。」

 

そんな話を思い返しながら、新幹線でうたたね。
温かくゆったりした幸せがあった。季節の良い時期にまた来よう。

 

 

 

 


仙台にいってきました

寒い!やはり寒い!東京とは寒さがちがうーーと思ったら、全国的に寒かったようですね。

 

今回は仙台駅から一駅の東照宮、閑静な住宅地の一角atelier-morceauさんからスタート。フランスや日本の古い家具や道具、器やオブジェがひしめき合う木の空間は昔お寿司屋さんだった場所をすべて手作りで改装したそう。珪藻土に水性ペンキを塗り重ねた濃い緑の壁は、フランスの古き物にとってこれ意外はないというほどのいい色具合。床も木の板の幅を変えてより奥行きを見せたり、木枠や窓、ドア、ガラスもフランスから運び、新しく自分でつくった窓枠にそのガラスを何度も失敗を重ねながらカットし、、など隅々まで半端ないこだわりよう。1600~1700年代の貴重な本や鍵付の聖書などは、贅沢な装丁の扉を開いてみれば素晴らしく繊細な銅版画、木版画の挿絵が。色鮮やかな挿絵がそのままに残る、大きな羊皮紙の1頁など・・・珍しいものを沢山みせていただきました。ドアノブや、たらい、フライパンなどの生活用品にいたるまで、その時代の空気がふわふわとベールのようにまとわりついている。オーナーの佐々木さんはたゆまぬ研究と工夫を重ねている方でした。

 

 

この一角、窓もすべててづくりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仙台駅近く花京院の、大正浪漫的な雰囲気を醸し出しているカフェsweet spice Asanoさんでランチ。採れたてしゃきしゃきのウリが入ったサラダが印象的でした。詳しいお話は聞きそびれましたが、内子でみた昔の薬屋さんのような味わいのある建物は、相当古いもののよう。途中で雨が降ってきたのですが、なんと帰り際、私たちが傘を持っていないのを見て「どうぞ傘お持ちください」と可愛い柄の傘をくれました。なんとご親切な・・・お店に入って、傘をいただいたのは初めてです。

 

さらに歩いて途中で見つけたお碗のロゴが妙に気になり入ってみた光原社さん。オーナーの及川さんはおっとり上品な美しい方なのに面白いお話をたくさんしてくださる気さくなマダムでした。もう43年もこの場所で民芸品のお店をされている。本拠地が盛岡にあり、なんとはじまりは「注文の多い料理店」を初めて出版した出版社だとか。「光原社のあゆみ」を読んでみてびっくり。「注文の多い料理店」が今では考えられない「注文の少ない童話集」だったとは。こちらで新潟で伝統工芸を新しい感性で再現しているF/styleさんの靴下(履き心地抜群です!)を購入したのですが、その包装紙もシンプルで素朴でかわいい。店内には日本全国各地のものからインドや中国、中近東のものまで様々。どれも緻密な手仕事と製品の美しさと丈夫さがあって、どこか可愛かったり面白かったり、味があります。伝統をそのまま受け継ぐもの、若い感性を生かしたもの、美しい民芸であるならジャンルは問わないという懐の深い雰囲気。店にはその店主の色がそのまま出てくるものです。

 

光原社さんの器型のロゴの包み紙、いいんです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜はyutorico.さんへ。ここは空襲をまぬがれ、戦前からある長屋がそのまま残ったところを改装して紫山さんや小料理屋さんなどがこぢんまりと並ぶ、面白い一角です。こちらで小さな街の小野さんとお会いするのが今回の旅の大きな目的。小野さんは、会社員をしながら、地元で活動している様々なジャンルの方を結び付けたり、ご自身もレーベルづくりや作家さんと一緒に作品作りをしたりと、仙台を色々な方法で盛り上げていこうとしているパワフルで多彩な方です。今回の出張前にもお仕事の後、何度も仙台情報を送っていただいたり、この夜もせっかくだからとyutorico.のオーナー高橋さんや、新たに「せんだい・みやぎNPO」の中津さんに声をかけてくださって、楽しい夜となりました。中津さん、じつはお昼にsweet spice Asanoさんで出会っていたという偶然が発覚。お店の雰囲気になんとも似合う女性がランチをしていたなとは思っていたのです。不思議なご縁です。青森のご出身ということなので、これを機にいろいろ教えていただくことになりました。小野さんに感謝!

 

小野さんもかかわった「好きだった景色を忘れないための写真展。」というイベントは、仙台から大阪、そして現在兵庫に広がっています。こんな風に地域で行うイベントが、共通点を持つ他の地域にタンポポの種のように飛んで行ってまた花開いている。ゼロから一歩を踏み出す勇気ってものすごいものだと思うのですが、こうやって確かに広がったり繋がったりしているのを見ると、携帯もパソコンも便利だけれど、やはり実際に会って伝える言葉や絵や、写真や手作りのもの、そういう手触りを人は求めているのだと実感します。

 

地震の傷跡は仙台ではほとんど見受けられず、お店の方々にうかがっても少しものが壊れたりはしたけれどそれほど多大な被害は出なかったとのこと。それでもやはり友人や親戚のお宅が波にさらわれたりというお話も出て、皆それぞれまだぬぐいされない悲しみや恐怖や不安を抱えているにも関わらず、今回どこに行っても皆さんほんわか優しく、温かく迎えいれてくれました。そして小野さん、高橋さん、中津さんの3人に仙台お土産をいただいて新幹線の改札まで見送っていただいて、古い友人とのお別れのようなじーんとした気持ちになってしまったのでした。仙台、しみじみいいところ。。。なんとなくこのおっとり度合、香川の方たちにテンポが似ている気がします。日帰りということで短いけれど、じんわりと心に残るようないい旅でした。

 

やはりしめくくりは名物牛タンで

 

 

 


埼玉県をぐるっと巡ってきました。

朝、チルチンびと広場にも登場している川越の「tenori」さんのイベントからスタート。古道具のオーナーさんや本日オープンほやほやという「ソコノワ」さんを紹介していただく。皆さんがお互いをよくご存じで「tenori」さんに紹介されてきましたというと「ああ!」と笑顔で迎えてくれて、ほっとする。輪を感じます。

 

東松山の入口へ続く細い裏庭みたいな小道が楽しい「ギャラリー黒豆」さん、旦那さまの手で建てられたお店。もう17年も続けられているのはこのお店の個性含め、奥様の人柄によるところ大と思われる。雑誌「銀花」(休刊淋し過ぎます、ぜひぜひ復刊希望!)の最終回にも載られたんだそう。ずっとこの場所にあってほしいと思えるようなお店でした。

 

ギャラリー黒豆さんの入り口は、この板のある細い小道の奥に。 ちょっとわくわくします

 

 

埼玉県はいままで米どころの印象はなかったけれど、どこまでもどこまでも~続く行田の田園風景は富山のよりも広く大きく感じた。あれだけ広大だとこんなイベントをしたくなる気持ちもわかる。行田は「足袋と衣料のまち」でもあり、足袋蔵のある「カフェ閑居」は広ーい立派な民家と庭で披露宴もできるようなゆったり落ち着く空間。車窓から立て看板を眺めていると行田は「埼玉県名発祥の地」でもあるそうだ。さらに、あちこちにある「フライ・焼きそば」という看板の食べ物屋。そして「ゼリーフライ」?アイスクリームの天ぷらみたいなもの?それは黒ビールフロートどころではございません、謎は深まるばかり。食べる勇気もまるでなく、しかし気になるので帰ってから調べてみると、こういうものでした。これならトライしてみたい。奥深い街、行田。

 

幸手のパン屋「cimai」さんではくるみと黒糖のパン、いちじくのカンパーニュなどあまりの美味しそう加減に思わず購入、帰って早速食べてみると想像をさらに超えて美味しく、都内出張販売の予定をすかさずチェックしました。

 

川口の「senkiya」さんはこつこつ自宅を改装したカフェ兼雑貨屋兼ギャラリー。不思議と異なる空間すべてが自然に溶け合っていて、そのふんわりと透明感のある雰囲気はオーナーご夫婦そのもの。こちらの建物内や離れや庭には布小物や洋服のデザインを手掛ける「sunshine to you!」さんをはじめ、木工作家さん、アクセサリー作家さん、車屋さんなどが集まって、小さなものづくり村が生まれつつあるような面白い所でした。

 

埼玉には建物からかなり手をかけて、背伸びせず、のんびりゆるーっと時が流れるままに、着実に自分のスタイルを作り上げている方が多いようだった。今日訪問した12軒の他にも、素敵なお店情報が増えそうです。皆様お忙しい中突然の訪問にもかかわらず、あたたかく迎えてくださってありがとうございました!









大谷石にふれる

栃木県サポーターの金山さんのごお勧めの栃木県「松が峰教会」。
こちらの協会は日本に現存する最大の大谷石建造物。
光の加減か、あまり上手に建物を撮る事が出来ず良さが半減していますが、ここは日本?ここは栃木?と思うような雰囲気をかもし出す場所です。中もこんなに立派です。


これはせっかくだから、大谷石の歴史と巨大地下空間である「大谷資料館」に行ってみようということになり、石の町「大谷」 へ。残念な事に地震の影響で当分の間休館。

そんなわけで大谷寺に訪問。大谷石を少しだけ堪能と思いきや、石造千手観音菩薩立像など、大谷石の壁面に掘られた石心塑像群、国の特別史跡や重要文化財が。軽石のような大谷石、海の中にいるようにも感じられます。

そして、只今、石の町「大谷」は紅葉がみごろです。


北陸めぐり ~福井編~

加賀を発ち、福井県との境を越えてすぐあわら市に入った。こちらでは、「glass atelier えむに」さんにお邪魔した。一軒家を改装したギャラリーにガラス作品が並ぶ。とてもかわいらしいおかっぱ頭の姉妹が、こちらのグラスで麦茶を出してくれて、手を振って見送ってくれて。懐かしい日本の夏の風景に出会った気分だった。

昼過ぎ、住まい工房さんに到着。堀川社長と合流して4人旅となったのだが・・・ここから、入る店入る店でなにか普通じゃないことが起こる。占い師みたいな風貌のマダムが「私パソコン全然だめよ」と黒電話を見せてくれたり、北陸なのにとてもハワイアンな、南国の香りのマスターにもうきっぱり!と掲載を断られたり、「本日貸切」と書いてあるのに入ってみるとお客さんが二人、普通にコーヒーを飲んでいたり・・・アポなしで押しかけるお店も多いので、もちろん今までにこんなことがあってもおかしくはなかった。でも、不思議と大概そんなこともなく乗り切っていたので、今回は一体次に何が起きるのか!?とドキドキ。「チルチンびと広場」ツアー稀にみる珍道中となった。

中でも一番心に残ったのが「アンパサンド」さんでの出来事。カウンターで女性が一人、昼間から優雅にワインらしきもの飲んでらっしゃる。で、彼女はお友達が遊びにくるので福井らしいところに連れて行きたい。とマスターに相談していた。「わざわざ来てくれるんだから、海辺のちょっとさびれた定食屋みたいなところで、海鮮丼!それで、日本海から風がびゅうびゅう吹いてきてさ、旗がはためいてて、日焼けした地元の男たちが入ってくるようなさぁ、そんなお店、ないかなあ」断片的だけど通る声の方なのでほぼ会話の内容が聞こえ、我々4人耳がダンボになる。またそれにマスターも「そんな場所にイクラもウニものってるようなキラキラの海鮮丼はないって。だからさびれてるんでしょ。」って律儀に理論立てて答えてる。そんな海鮮丼トークが続くこと約30分。盗み聞きして申し訳ないが本当に面白かった。彼女のお友達に、「あなたのためにこんな熱い議論が繰り広げられてます」って教えてあげたい。アンティークに囲まれた、洒落た店内、ハヤシライスもホットサンドもとても美味しいお店なのだけど、何よりも記憶に刻まれたのは「海鮮丼」だった。

 

こんな素敵な空間を背景に、海鮮丼トークが繰り広げられました

 

 

4人旅もいよいよラストという時になって入った、「salut」さん。落ち着いた木の空間、奥には小上がりの畳の間もあって、かわいい女の子がたくさんいて、色白美人のオーナーさんが、快くチルチンびと広場掲載をOKしてくれて、ほっとした顔の堀川社長。最後にお茶でも飲んでいこうか。とコーヒーを頼んだときに最後の事件は起こった。こちらでは少しずつ形の違う陶器の珈琲カップを出してくれるのだが、なぜか堀川社長のカップだけ、

こんな形(実際はもっとかわいいです)。取っ手が1.5センチぐらいの突起。「ここ、指でつまんで飲むの、かなり腕が鍛えられるよ。もしかして、男らしくみせるために男性客はこれなんじゃない?」と堀川社長。「その割には、そんなにカッコいい姿じゃないんですけど・・・」とバッサリのvigo。ツボにはまって笑い転げるa-van。最後の最後までやっぱり何かあった。ぐるっと見回したけど、ほかの男性客のはちゃんと取っ手がついてました。

 

 

堀川社長と別れ、鯖江方面へ向かう。南越前町にある「trunk」さんへ。こちらでは色々情報をいただき、閉店時間を過ぎていたのであきらめようとしていた「GENOME」さんにも「電話して、絶対行ってみた方がいいですよ」と教えていただいた。お話をうかがっていると、GENOMEさんは確かにこの地域を元気にしていく拠点となりそうな予感のするお店。やっと最後になってチルチンツアーらしくなってきました。堀川社長は「もしかして変なことが起きるの、僕のせいかな」と気にされてましたが、本当にそうだったのかもしれません笑でも、お忙しい中ありがとうございました!

 

この5日間のハードな運転を弱音もはかずに一人で乗り切ってくれたa-van、本当におつかれさまでした!そしてインベンションハウスさま、住まい工房さま、vigoのご友人I家さま、ipadを貸していただいたa-vanの母上、vigoご一家、皆様のおかげで今回も乗り切ることができました。本当にお世話になりました。「チルチンびと広場」の北陸情報もだんだん充実してくると思いますので、お楽しみに。

 

 


北陸めぐり ~石川編~

vigo宅。幾重にもある屋根。寺に来たかと思った。入るとドーンと大きな漆塗りの式台があり、なぜか大きな暖簾がかかっている。完全に旅館の体だ。びっくりするなあもう。朝食のお皿にも葉っぱが敷いてあって、ますます旅館みたいだった。天井も漆、仏間も漆、渋い黒、赤、金。さすがは能登の家。こんな「原風景」で育ったvigoの感性、だからああなるのね。と合点がいく。帰りには母上がたくさんのミョウガをくれました。ミョウガ大好き!これ3個180円とかするんです。ものすごくありがたい。大変お世話になりました。

 

午前中は能登巡り。最初は海辺のパン屋&民宿の「flatt’s bakery&cafe」さんを訪ねる。パン屋は奥様が、民宿はオーストラリア人の旦那様がオーナーで、囲炉裏のある畳の間でご主人のつくるイタリアンがいただけるそう。明るくて元気いっぱいのご夫婦と、vigoとのジモトークも盛り上がって、朝からやる気出てきた!次回は必ず泊りにくることを約束して、2件目へ。珠洲の「ギャラリー舟あそび」さんでは「正倉院の夢」と題し、大陸文化の色濃い正倉院宝物をテーマとした陶器・染物・漆塗り・ガラスの4人の作家さんの新作展が行われていた。これがまたテンションあがりました。建物の雰囲気といい、美しい着物姿で迎えてくださる佇まいといい、ちょっとだけ非日常にトリップし、まったく仕事だということを忘れて夢中になる我々・・・

 

午後は金沢市内を巡る。今回はa-vanの母上に借りたipadを持っていったので、「チルチンびと広場」を実際見てもらうことができて、話が早かった。つくづく身内の皆様にもお世話になっております。そんな中「Galerie Noyau」さんのある、新竪町商店街には骨董や手工芸、雑貨のお店が建ち並び、みなさん気さくな雰囲気。中でも特に気さくだった「VerMeer(アンティークフェルメール)」さん。中世の銀製携帯マドラーとか、珍しい物が沢山あった。事前連絡もなしに、とつぜんNoyauさんを訪ねてみたり、新しく発見のお店があったりと楽しい街でした。

 

金沢にはこんな感じで小さなお店が細い路地に建ち並ぶところが多く、そんな場所では車を近くに停めて待機をしていてもらう。しかし、もう暗くなった頃のことだった。駐車場所に戻ったら車がいない!ショック!携帯も、お財布も車の中。ここではぐれたらホテルにも戻れない。暗いし、知らない道。大人なのに完全に迷子・・・ちょうどこの時に居た長町は、最近いろんなお店が集まりはじめた一角だそう。迷子ついでにさまよって、またまた新しいお店を発見しているうちに、車が戻ってきた。注意されたのでぐるっとしていたらしい。電話かけたら携帯車の中にあるんだもん~って、すみません。でも迷子もしてみるもんです。結果、この日は21軒のお店を回ることができた。

 

夜は「高崎」さんで郷土料理をいただきました。金時草、加賀太きゅうり、ドジョウのかば焼き・・・初めて食べたものが沢山。どれも美味しかったです!旅の疲れが完全に癒されました。ごちそうさまでした。

 

翌日午前中は小松を周る。粟津温泉のパン屋さん「metissage」さんは、お休みだったのに朝からお店に来てくださって、色々話をしてくれた。周辺のお店とともに、小松を盛り上げようと、秋にマルシェを企画中だそう。フランス人の旦那様が作る本格フランスパン。食べてみたかったなー。朝のflatt’sさんといい、国際色豊かな印象の石川県でした。午後はいよいよ北陸の旅も大詰め、福井県に入ります。

 

福井編につづく。

 


北陸めぐり ~富山・後半編~

2日の朝、vigo友人宅を出発し、岩瀬にむかった。新米の季節。鮮やかな黄緑色の絨毯みたいに、水平に揃った美しい田園風景がどこまでも広がる。さすが米どころ。たまに、作業をしている人の麦わら帽子がひょこっと現れて、そんなに高さがあることに驚く。米どころといえば、東北では農作物がこんなに豊かに育っていても見えない敵との戦いで、毎日不安が拭いきれないことだろう。祈るような気持ちでいるのも張りつめて、疲れるだろう。深刻な自然災害に放射能汚染、優先順位の間違った政策。そのことへの不安、怒り、悲しみや意見の相違でまた疲れ。莫大なストレス、この状況、原因の一端は自分が生まれてこのかた無自覚に使ってきた電気にある。暴力的に目先の便利を追い求めたあげく後世にまで取り返しのつかない傷を残してしまった罪とか、ここへきて知らないことが多すぎる鈍感さとか、謙虚に自覚しよう。稔るほど首を垂れる稲穂かな。「チルチンびと」と関わっていると、ずっと前からこういう事態に気づいてか自然にか、先人の暮らしぶりに学んでいる人に次つぎと出会う。

 

岩瀬に着いて、一緒に周ってくださるインベンションハウスの宮本社長と大島さんと合流。まずは粟巣野スキー場にあるKAKI工房さんを訪ねた。アトリエ、カフェ、ショールーム、すべて木造りで山と調和している。時がゆっくり流れて、空気がきれい。ここの野原で8月終わりに行われた「Life is beautiful」というイベントの案内を見て、こちらに訪ねてこようと思ったのだ。毎年続いて、もう7年になるそう。ガタイのよいお兄さんたちが多かったけれど、ムーミン村に来たみたいな気分だった。お話をうかがった柿谷さんの奥様はキルトの名人で、ちょうど私たちと入れ違いに目黒で展覧会中で会えず。飾ってあったキルトがあまりにも素晴らしいので、ぜひ見てみたかったし、ご本人にもお会いしたかったけれど、次は3年後。。。忘れず観に行こう。

 

お昼前、宮本社長に紹介していただいた小さな天然酵母のパン屋「ミル―チャ」さんへ。オーナーは、インベンションさんの手がけた友人宅を、施工中も完成も見に行くほどのファン。「私の理想の家だった~」と嬉しそうに話してくれた。家造りに詳しいと思ったら、かつて建築事務所で図面を引いていたけれど主婦業の方が好きで辞めてしまったそう。パンは、自分がシックハウスになったのをきっかけにつくりはじめたら、いつのまにか売れるように。中に入ったオレンジピールなどもすべてお手製。材料選びからなにから絶対手抜きをしない。だから量もこれが限界ということだった。ものづくりに真面目な人たちってみんな同じことを言う。もう3年も毎週通ってくれるお客さんもいるのもわかる、やさしい味のパンだった。

 

お昼は「美味しんぼ」にも登場したという、魚津駅前のお店に連れて行っていただく。富山は饂飩、素麺が美味しいとvigoが言うので、饂飩にしてみる。たしかにコシがあって細くて、のどごし爽やか。さらに名物、手延べの「大門素麺」の話を聞いて、どこかで買って帰ろうと心に誓う。市内のお店を回り終えて、最後の1件、紅茶の店アナザホリデーさんにたどり着いた。紅茶専門店というと敷居が高い感じがするけれど、ここはまったくそんなことはない、店内もアジアの香り満載で、床の間?には清志郎さんの写真が飾ってあり、なんだか楽しい雰囲気につつまれていた。暑い日だったけど、温かいチャイで旅の疲れがすーっと抜けていった。

別れ際、宮本社長がなにか袋を持ってきてくれた。見るとうわあ、なんと3人分の「大門素麺」!いつの間に…まったく気づきませんでした。なんという粋なはからい。週末にでも、能登で買った海苔と合わせて磯饂飩をつくってみよう、楽しみです。ありがとうございました!

 

インベンションハウスのお二人と別れ、石川県に向かう。途中、七尾の「幸寿司」さんで夕ご飯。思いだしニヤケができるほど美味しかった。コハダも、タイも、マグロもウニも出るもの出るもの本当に美味しくて。特に記憶に残ったのは、イカと白魚かなぁ。真っ白でつるっつるでふわっとして甘くて。何より嬉しいことに、リーズナブル!興奮のあまり出てくるなり瞬時に食べたので、一枚も写真を撮っていないのです、すみません。

夜はvigoの実家泊。ついに「八つ墓村よりも人が少ない場所で生まれ育った」という噂の真相をこの目で確かめられる!車っこ一台通らない真っ暗な山道をa-vanがよく運転してくれました。vigo邸に着くと、真っ暗でよくわからんがとにかく大きい・・・これは、お寺か、旅館か?翌朝、我々vigoの「原風景」を見ることになります。 

 

 

石川編につづく


北陸巡回報告

今回は、北陸[富山、石川、福井]を回ってきました。

台風の影響も心配されましたが、なんとか予定以上の54軒を尋ねる事ができました。

そして、無事に昨日車で帰って来れました。

富山県の「junblend」さん、「FUTAGAMI」さん、「能作」さん、石川県の「flatt’s bakery & cafe」さん、「gloini」さん、福井県の「GENOME」さんにはいろいろと情報を頂き、石川県の「アルムの森」さんは同じ能登出身と言う事もあり、「3人で車で東京から来たのか。これを食料にがんばれよ。」とパンをいっぱい詰めた袋を手渡してくださりまして、本当に皆様どうもありがとうございました。

アルムの森のパン

アルムの森のパン

また、地域主義工務店の会の富山県「インベンションハウス」さん、福井県「住まい工房」さんにも一緒に回って頂きまして、ご協力どうもありがとうございました。


群馬県縦断!

本日は川場村~渋川市~前橋市~高崎市~太田市と周ってきました。川場村の築200年になるという古民家を移築してつくったという悠湯里庵は、建物だけでも一見の価値ありです。泊ってもみたいし、日帰り温泉を楽しんでから近くのティア・ツリーさんで自家製農園のメニューを堪能するというコースもよさそう。オオガネホームさんにご紹介いただいたTEA HOUSE SPARROWSも美しい庭を眺めながら、木の香りのする広々とした空間で美味しい紅茶を優雅に楽しめる素敵な場所でした。そのほかにも色々なお店に出会えました。チルチンびと広場上にてご紹介していきますのでお楽しみに。

茅葺屋根の古民家を移築した、風情ある温泉

取材の終わりごろに訪ねた太陽百年建設さん、突然の訪問だったにもかかわらず、しかも朝から茨城まで木を見に行かれていたにもかかわらず、さらにさらに、豪雨に打たれて全身びしょ濡れだったにもかかわらず!快く迎えてくださいました。そして工房内にひしめく材木、木を加工する機械の数々について嬉しそうに説明をしてくださいました。工房はずいぶんと広くて横に長ーくなっているなとは思ったのですが、ガレージに入りきらずどんどんアメーバのように増殖していったそうです・・・大工歴45年という櫻井さん、たゆまぬ好奇心と探究心で各地の木に出会いに行く、本物の「木オタク」です!印象的だったのは「今日は何もないかなと思っても、出かけてみるとなにか面白い人や物事に必ず出会う、だからじっとしていないで出かける」「期待されているな、と思うとそれ以上のことをしてあげようかなと思う」という言葉。

 

見学の後は「馬鈴薯」さんというお気に入りのレストランに連れて行ってくださいました。「ぜったいに口にいれても安心といわれるものを出したいから野菜も果物もすべて無農薬で手作り」「ソースは三日かけてつくるから体調のいいときでないとつくらない」と語る料理一筋30年のご主人は、根っからの職人肌、でもとても温和な雰囲気の方。サーブしてくださる奥様との息もぴったり、アットホームで暖かい雰囲気のお店です。店内のいたるところにものづくりびとの心意気を感じるご主人手作りの木工細工がちらほらとならんでいるのもキュートです。自家製野菜のサラダ、とろけるようなシチューがたっぷりと詰まったパングラタン、ほっぺがキューッとなるぐらい酸味のしっかり残った自家製ラズベリーのタルト。何をいただいても、濃厚な素材の風味が身体に沁みわたりました。

 

見えないところに手を抜かないで、アクティブに仕事を楽しむ姿勢、それを何十年も続けてらっしゃるお二人はとても波長が合うみたい。聞いていてこちらも背筋の伸びる思いがしました。「チルチンびと広場」も見習いたいです。日本の若者もがんばらないといかんですよ。元気いただきました。丸一日慣れない土地を運転してくれたわが社のコーデナー、a-vanもそんな出会いのあった初出張を楽しんでくれたようです。おつかれさまでした!

 

パングラタン美味!

ご主人てづくり子犬

ご主人てづくりポスト

ご主人てづくり引出し