仙台にいってきました

寒い!やはり寒い!東京とは寒さがちがうーーと思ったら、全国的に寒かったようですね。

 

今回は仙台駅から一駅の東照宮、閑静な住宅地の一角atelier-morceauさんからスタート。フランスや日本の古い家具や道具、器やオブジェがひしめき合う木の空間は昔お寿司屋さんだった場所をすべて手作りで改装したそう。珪藻土に水性ペンキを塗り重ねた濃い緑の壁は、フランスの古き物にとってこれ意外はないというほどのいい色具合。床も木の板の幅を変えてより奥行きを見せたり、木枠や窓、ドア、ガラスもフランスから運び、新しく自分でつくった窓枠にそのガラスを何度も失敗を重ねながらカットし、、など隅々まで半端ないこだわりよう。1600~1700年代の貴重な本や鍵付の聖書などは、贅沢な装丁の扉を開いてみれば素晴らしく繊細な銅版画、木版画の挿絵が。色鮮やかな挿絵がそのままに残る、大きな羊皮紙の1頁など・・・珍しいものを沢山みせていただきました。ドアノブや、たらい、フライパンなどの生活用品にいたるまで、その時代の空気がふわふわとベールのようにまとわりついている。オーナーの佐々木さんはたゆまぬ研究と工夫を重ねている方でした。

 

 

この一角、窓もすべててづくりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仙台駅近く花京院の、大正浪漫的な雰囲気を醸し出しているカフェsweet spice Asanoさんでランチ。採れたてしゃきしゃきのウリが入ったサラダが印象的でした。詳しいお話は聞きそびれましたが、内子でみた昔の薬屋さんのような味わいのある建物は、相当古いもののよう。途中で雨が降ってきたのですが、なんと帰り際、私たちが傘を持っていないのを見て「どうぞ傘お持ちください」と可愛い柄の傘をくれました。なんとご親切な・・・お店に入って、傘をいただいたのは初めてです。

 

さらに歩いて途中で見つけたお碗のロゴが妙に気になり入ってみた光原社さん。オーナーの及川さんはおっとり上品な美しい方なのに面白いお話をたくさんしてくださる気さくなマダムでした。もう43年もこの場所で民芸品のお店をされている。本拠地が盛岡にあり、なんとはじまりは「注文の多い料理店」を初めて出版した出版社だとか。「光原社のあゆみ」を読んでみてびっくり。「注文の多い料理店」が今では考えられない「注文の少ない童話集」だったとは。こちらで新潟で伝統工芸を新しい感性で再現しているF/styleさんの靴下(履き心地抜群です!)を購入したのですが、その包装紙もシンプルで素朴でかわいい。店内には日本全国各地のものからインドや中国、中近東のものまで様々。どれも緻密な手仕事と製品の美しさと丈夫さがあって、どこか可愛かったり面白かったり、味があります。伝統をそのまま受け継ぐもの、若い感性を生かしたもの、美しい民芸であるならジャンルは問わないという懐の深い雰囲気。店にはその店主の色がそのまま出てくるものです。

 

光原社さんの器型のロゴの包み紙、いいんです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜はyutorico.さんへ。ここは空襲をまぬがれ、戦前からある長屋がそのまま残ったところを改装して紫山さんや小料理屋さんなどがこぢんまりと並ぶ、面白い一角です。こちらで小さな街の小野さんとお会いするのが今回の旅の大きな目的。小野さんは、会社員をしながら、地元で活動している様々なジャンルの方を結び付けたり、ご自身もレーベルづくりや作家さんと一緒に作品作りをしたりと、仙台を色々な方法で盛り上げていこうとしているパワフルで多彩な方です。今回の出張前にもお仕事の後、何度も仙台情報を送っていただいたり、この夜もせっかくだからとyutorico.のオーナー高橋さんや、新たに「せんだい・みやぎNPO」の中津さんに声をかけてくださって、楽しい夜となりました。中津さん、じつはお昼にsweet spice Asanoさんで出会っていたという偶然が発覚。お店の雰囲気になんとも似合う女性がランチをしていたなとは思っていたのです。不思議なご縁です。青森のご出身ということなので、これを機にいろいろ教えていただくことになりました。小野さんに感謝!

 

小野さんもかかわった「好きだった景色を忘れないための写真展。」というイベントは、仙台から大阪、そして現在兵庫に広がっています。こんな風に地域で行うイベントが、共通点を持つ他の地域にタンポポの種のように飛んで行ってまた花開いている。ゼロから一歩を踏み出す勇気ってものすごいものだと思うのですが、こうやって確かに広がったり繋がったりしているのを見ると、携帯もパソコンも便利だけれど、やはり実際に会って伝える言葉や絵や、写真や手作りのもの、そういう手触りを人は求めているのだと実感します。

 

地震の傷跡は仙台ではほとんど見受けられず、お店の方々にうかがっても少しものが壊れたりはしたけれどそれほど多大な被害は出なかったとのこと。それでもやはり友人や親戚のお宅が波にさらわれたりというお話も出て、皆それぞれまだぬぐいされない悲しみや恐怖や不安を抱えているにも関わらず、今回どこに行っても皆さんほんわか優しく、温かく迎えいれてくれました。そして小野さん、高橋さん、中津さんの3人に仙台お土産をいただいて新幹線の改札まで見送っていただいて、古い友人とのお別れのようなじーんとした気持ちになってしまったのでした。仙台、しみじみいいところ。。。なんとなくこのおっとり度合、香川の方たちにテンポが似ている気がします。日帰りということで短いけれど、じんわりと心に残るようないい旅でした。

 

やはりしめくくりは名物牛タンで