棒年会
12月14日、昼。
今日は、忘年会なんだ、と出会った友人に言ったら、彼は「去年今年貫く棒の如きもの」という虚子の句を教えてくれて、「おたくは、木の家がお得意だから、棒年会かな」と言った。
12月14日、夕方。
いつものように、風土社で、忘年会がひらかれた。建築家、工務店関係者、写真家、寄稿家……その他、たくさんの方々で賑わった。初めて参加した、若い建築家のスピーチあり。おなじみヴェテラン建築家のスピーチあり。風土社社員のスピーチあり。工務店社長のスピーチあり……。そして、最後に、新社長の挨拶。大いに大いに大いに盛り上がる。楽しい夜になった。
どうかみなさま、よいお年を。こころからお祈り申し上げます。
MOMAT コレクション藤田嗣治、全所蔵作品展示@東京国立近代美術館
今回の展示は藤田嗣治の作品25点と特別出品の1点、計26点が展示。
年表で藤田の年齢と時代背景を想像しながら、作風が明らかに変化していくのを感じた。
有名な「自画像」から「五人の裸婦」、そして14点もの「戦争画」に息をのむ。
「戦争画」を観賞していると、戦場の声が聞こえてくるようで、
自分自身が、大きな画の中の1シーンに入り込んでいくような気がしたのは
初めてのことだった。
暖かい冬のために〈後篇〉
『チルチンびと』86号 特集「火から始まる冬支度」にちなんで、ビブリオ・バトル― 暖かい冬のために。後篇。
……
Tさん。 〈このごろ朝が寒いので床の中で寝たままメリヤスのズボン下をはき、それから、すでに夜じゅう着たきりのシャツの上にもう一枚のシャツを、これも寝たままで着ることを発明して実行している。〉発明ですって。書いた人は、寺田寅彦。『柿の種』(岩波文庫)の ー 曙町より、から。ご存知、物理学者で、エッセイスト。少しあとには、この朝は頭が悪く、右の脚が、ズボン下の左脚に入ったりする、とかで、短い一本一本に、独特の味がある。
Sさん。 物理学者の目、といえば、『物理の散歩道』(岩波書店)も同じ流れ。ロゲルギストという7人のグループが、語り合う。たとえば、その3巻には、「防寒夜話」。〈寒い地方 ー 東北だったかな ー で、ハダカで寝るところがあるんだってね。もちろん、ごろ寝じゃない、ハダカでふとんにもぐりこむという意味だ。その方がねまきを着るよりあたたかいという……。〉で始まり、話は空気層に。そして、ハダカで寝ると本当に暖かいかを、論じる。これも、ユニークな味ですよ。
Uさん。 物理学者の目が続いたから、文学者の目も。『正弦曲線』(堀江敏幸・中央公論新社)に、「昼のパジャマ」という章があります。〈パジャマという衣装を夜にさえ身につけなくなって、もう三十年以上になる。昼寝は普段着のままがいちばん気持ちよいと思うので、パジャマどころか着替えも論外。夜は夜でいつの間にか寝ているというのが常態だから、 ……〉と読み続けるのを、遮るSさん。それ、面白そうだけど、今回のテーマは寝る話ではないからね。冬眠なら、いいけど。
……
『チルチンびと』86号 特集「火から始まる冬支度」は、12月11日発売です。お楽しみに。
暖かい冬のために〈前篇〉
『チルチンびと』86号特集 「火から始まる冬支度」にちなんで、ビブリオ・バトル― 暖かい冬のために。前篇。
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Aさん。 高山なおみ『日々ごはん 12』(アノニマ・スタジオ)です。たとえば、12月のある日。〈朝ごはんは、「ルヴァン」のカンパーニュにゴーダチーズ(オレンジ色のけっこう熟成されたやつ)をのせて焼いた。これはまるで『ハイジ』の冬ごはん。ものすごーくおいしかった。〉冬ごはん、いいな。爽やかなエッセイの間にレシピ。たとえば、ある日の夜ごはんは、〈牡蠣酢、きりたんぽ鍋(比内地鶏、白滝、芹、ごぼう、長ねぎ、舞茸、きりたんぽ。〉と、読んで温まる。絶品。
Mさん。 鍋といえば、『江戸の味を食べたくなって』(池波正太郎・新潮文庫)。「二月、小鍋だて」の章。〈小鍋だてのよいところは、何でも簡単に、手ぎわよく、おいしく食べられることだ。そのかわり、食べるほうは一人か二人。三人となると、もはや気忙しい。〉そして、〈刺身にした後の鯛や白身の魚を強火で軽く焼き、豆腐やミツバと煮るのもよい。〉とある。ねっ、これも読んで温まる。こたえられませんよ。
D君。 鍋もいいですが、と『ヘミングウェイ短篇集 上』(谷口陸男編訳・岩波文庫)を取り出し、「二心ある大川」のページをを開く。〈彼は切株から斧で切り取った松の厚切りで火をたきつけた。その上に焼き網をかけ、四本の脚を靴で土の中に押しこむ。〉豆入りのポーク缶とスパゲティ缶をあけて、網にのせたフライパンにいれるんだね。食べる前に、男は、言うんだ。〈わかってるさ。こいつはまだ熱すぎる。〉これがいいんだ。
……
『チルチンびと』86号 特集「火から始まる冬支度」は12月11日発売です。お楽しみに。
タテかヨコか それが問題だ
魚屋さんで、魚を客に向かって、タテにならべるか、ヨコにならべるか、という話であります。
〈…… 金沢の魚屋の店先のけしきは関西流か江戸流か …… そんなところから話題が転がったのだが、どうやら金沢は魚については関西流という結論だった。そのちがいを見極めるモノサシは、魚を客に向って縦にならべるか、横にならべるかであるという。つまり、関西の魚屋は魚を縦にならべて売り、関東は横にならべるしきたりになっているというのだ。…… 〉(村松友視著『奇天烈食道楽』河出書房新社)
そして、彼は金沢の近江町市場に調べに行く。ほとんどは、縦であったが、いくつかの店では、魚を置く台の都合か、縦横が混じっていたと書くのである。ま、フツーの人なら通り過ぎるところを、オヤ、と立ち止まるのが、村松流である。こういうのを読むと、誰だって気になる。ずっと以前に読んで、ふと思い出し、金沢在住のMさんに、写真を撮ってきてほしいと頼んだ次第。
オノ・ヨーコのメッセージ
「オノ・ヨーコ 私の窓から」(東京都現代美術館 ~2016年2月14日)に行った。どの部屋からも、たくさんのメッセージが送られてくる。昨年、読んだインタビュー記事を思い出す。
〈 …… ヨーコのメッセージは、不変にして普遍的だ。「今、好きな言葉は ?」という問いには、“ IMAGINE PEACE ” “ Give peace a chance ” “ WAR IS OVER ,if you want it! ” の3つのフレーズが返ってきた。いずれもジョンとヨーコが発信し、国境を超えて広がり続ける平和のメッセージ。…… 〉(『marie claire style .jp 2014 12月)
かんたんホワイトソース
ホワイトソースをつくるのは、
どこか面倒な感じがして避けてきた。
ところが、豆乳(今回は豆乳で)を温めて、
くず粉(たぶん粉なら、たいていのものがOK)を溶いただけで
あっという間に出来てしまった。
自分でも驚いた。














