2019年7月 の記事一覧

台所は遠くなりにけり

台所見聞録  ー  人と暮らしの万華鏡

 

『台所見聞録 ― 人と暮らしの万華鏡 』(東京 LIXIL ギャラリー、8月24日まで )に行く。

〈世界の伝統的な台所と  日本の台所史をめぐる  住まいに欠かせない  空間のはなし 〉ということである。ロシア、インド、ドイツ、北極圏、日本、ネパール、などの台所を拝見。 

〈 …… 世界各地の伝統的な台所に目をむけた俯瞰的見聞、日本の近代化という時間軸で捉えた台所見聞の記録は、人の暮らしに必要不可欠な空間における適材適所の多様性と人々の創意工夫の積み重ねがあることを私たちに伝えてくれることでしょう。……〉と、会場内の解説にあった。

それにしても、台所という言葉は、遠くなりにけり、ですね。

 


遊びをせんとや生まれけむ

遊びの流儀    遊楽図の系譜

遊びの流儀    遊楽図の系譜

 

『遊びの流儀 遊楽図の系譜』(サントリー美術館、8月18日まで)に行く。「浮世の憂さの晴らし方。」というサブタイトル。

〈  「遊びをせんとや生まれけむ」とは、平安時代末期の『梁塵秘抄』の有名な一節です。この展覧会は、日本美術史における「遊び」の造形に着目しながら、野外遊楽や都市風俗を描く貴重な「遊楽図」を一堂に集め、その系譜をたどります。  花見や紅葉狩りにはじまり、見世物や芝居見物、あるいは双六盤やカルタ、三味線や煙草、舞踊やファッション、さらには男女をとりもつ文使いに至るまで ……   〉とは、パンフレットご案内の文章。

そして、作品解説にそえられた、短い文章はかくのごとし。
〈三味線が奏でる浮世のリズム。運命はサイコロまかせ。君子のたしなみ、琴・囲碁・書・絵画。芝居と見世物、物見遊山。アウトドアでの娯楽尽し。異国から伝わったカードゲーム。…… 〉

ショップで、君子、クリアファイルを買う。


水をいける

チルチンびと100号

 

『チルチンびと』夏 100号の連載「花に聴く」(花・文    道念邦子、写真   ニック・ヴァンデルギーセン)を、読む。ここに、こういう文章がある。

〈  玄関先に水が打たれていると、それだけでも涼を誘う夏。いけばなも「夏は水をいける」という気持ちも添えて花と器を見立てなければね。と言っても何を、というわけではなく、たとえば広口の器を選んだとすれば、水際から立ち上がる花の姿に相当配慮することになる。そうやって「いける」ことに戸惑う自己自身を水面に映していると、水に流せない幼い日の記憶が呼び戻される。…… 〉

この記事のタイトルは、「夏は来ぬ」である。

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