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稲ムラの火

先日、久しぶりの友人に誘われて、ミュージカルを観た。

 

第一部は「稲ムラの火」(あらすじはこちら)―――1854年安政の南海地震の際、身の危険を省みず私財を擲って復興に捧げたヤマサ醤油7代目の浜口梧陵と、彼の思いに共感し、大変な被害に遭いながらも力を合わせて堤防を築き上げていく村人たちの物語。原作は、この話に感銘した明治の文豪・ラフカディオ・ハーンの”A Living God “をもとに昭和9年、小学校教諭であった中井常蔵が国語の教材として書いた「稲むらの火」。地震列島日本におけるすぐれた教訓としてこれまでも繰り返し語り継がれ、昨年の東日本大震災を機に、一層様々な場所でリバイバルされているのでご存知の方も多いかもしれない。

 

第二部は自然と水の循環、家族の絆、仕事など、普段はなかなか改まってしない身近で大切な話を、歌と踊りに乗せて伝える「真面目なコンサート」。ほとんど友人と会うのが目的で、ミュージカルの方はお付き合いでさして期待もせず(失礼!)観に行ったのだが、俳優さんたちのあまりの美声と軽い身のこなし、タップダンスなどを織り込みながらのテンポの良さ、内容のわかりやすさ、演出の面白さなども手伝って、飽きることのない楽しい舞台だった。隅々まで格調高く美しく、歴史を感じる三越劇場を見ることができたのも良かった。

 

とはいえ正直に言うと、連日のオリンピック観戦で眠気が襲ってきた。集中力が途切れ、ふと観客席を見渡すと、私の斜め前に座っていた女の子がずっと足でリズムをとり、目をキラキラさせながら食い入るように舞台に見入っている。子どもの集中力と好奇心ってすごい。梧陵スピリッツを真っ直ぐに胸に受けとめ、勇気ある大人になって、未来を切り開いてほしいな。と、次世代に託す前に、まずは傍にいる自分たち大人がその手本を示さないといけないですね。我が身と我が財産ばかりが可愛くて、自分たちの撒き散らした被害の後始末もできないような大人たちの姿ばかりを見せていては面目なさすぎるのだ。

 

観終わった後、親子で話ができるような、夏休みにふさわしいミュージカル。この後も全国各地で続々と行われるようです。

新生ふるきゃら公演スケジュール

 


ひと味違う、夏の「女子力」

取材のためにこの町に足繁く通っていたのは、春になりかけの、まだ肌寒いころだった。季節は変わり、むしむしもわもわと暑い。たった数か月なのに、西荻窪の駅を降りると、幾年も飛び越えてきたような気持ちになった。

まずはお決まりのコース、駅近でありながら喧騒とは無縁の居心地の良いカフェに入る。ほどよい甘さの冷たいカフェオレで暑さを癒し、向かった先は「魯山」。現在展示されているオーガニックコットンのパンツを、春から話に聞いて楽しみにしていたのだ。取材のときに、たまたま布のサンプルを見せてもらって、その質感と色づかいにやられた。器の店に下着を展示。その意外性と驚くほどの調和にも(写真だけで!)やられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実物を見てみると、やはり、いい!涼しげで、肌触りも色も優しい。毎日身に着けたい質がよくて素朴な可愛いパンツ。これはありそうでなかなかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一緒に展示されていた焼き物の二人の作品も、大胆で、かつ繊細で、素朴であり美しくもあり・・・とくに辰砂の何とも言えないピンクというか紫、赤、酸化した部分の薄緑が紫陽花みたいで、心をつかまれた。

 

大胆、素朴な七尾うた子さんの器、野性と優美を併せ持つ内田好美さんの器、中田絢子さんの優しいアンダーウエア。巷で女性誌の表紙を飾る「女子力」とは一味違う、女子三人の底力、ぜひ色々な方に観ていただきたいです。

「魯山」にて、7月30日(月)まで。

 

 

自分への夏土産

 

 


人間の業


来月頭に引っ越すのだが、時間があまりない。厄介なのが、おびただしい数の夫のレコード&CD。一生かけても私はこの10分の1も聴くか怪しい。そもそも夫もこれを全部聴いてるのか?甚だ疑問だが、ちゃんと聴いているそうだ。ある日、「これ100枚くらい残してあと処分したらスッキリするね!」と半分冗談で言ってみたら、この世の終わりみたいな、魂が抜けたみたいな顔になってしまい、ちょっと反省した。冗談でも言ってはいけないことがあるのだ。

 

見積もりに来てもらうと、案の定「レコードは、ぴったり合うサイズの段ボールがないんですよね。緩衝材を入れたとしても、品質の保証ができないので、ご自分で荷造りされたほうが・・・」って。やっぱりね。

 

引越しやさんが帰るや否や、1.5ℓx8本入りの飲料水の段ボール探しの旅に出る夫。世のレコードマニアの知恵袋で、LPレコードを収めるのにこれがちょうどよいサイズらしい。重くなり過ぎないくらいの量がきちんとおさまり、取っ手もついている。とっても便利。意外と手に入りづらいので、近所のありとあらゆるスーパードラッグストア、コンビニなどを駆けずり回る。一体何往復したのだろうか。せっせせっせと巣に餌を運ぶ、働きアリみたいだ。

 

どうしても捨てられないほど大事なものを、小さなトランクひとつに納まるほどしか持っていない私は、宝物のために奔走し、その面倒な作業をさも楽しそうに一心不乱に行う夫の姿が、面白くも羨ましくもある。

 

そんな私でも引っ越し前に必ず夢中になる作業がある。本棚整理だ。なにもいま読まなくてもいいようなものに、とっぷり読み耽ってしまう。雑誌の切り抜き地獄についついハマり、片付けるはずがどんどん散らかしてしまう。 つくづく人間って、不思議です。

 

 


能登の旬菜

vigoの故郷能登からは、ありがたいことに毎度びっくりするような大きな、しかも風味満点のしいたけやなめこやら海の幸山の幸をおすそ分けいただくのだが、今回は待ってました、大好物の筍!万歳!!

どうも長時間茹でるのがめんどうでスーパーで見かけても素通りしていた。でもこんなピチピチの採れたて筍ならそのまま丸かじりでもOKかも。。

さすがに丸かじりは無理でしたが、通常の半分ぐらいのゆで時間でもOKの柔らかさ。新鮮さ。ほっくりもちもちのタケノコご飯に化けました。

 

 

蕨のほうも新鮮!重曹を溶かした熱湯につけて半日ほど水で寝かせたら、すぐにえぐみが抜けて佃煮に。

春の香り満点の、山の幸を満喫いたしました。こんな贅沢な自然の恵みが実家の裏山で採れるとは、ウラヤマし~い!ご馳走様でした!

 

 


泥の詩人の鎮魂歌

文筆家であり、元「左官教室」の名編集長であり、そして「私のぬりかべ散歩」の著者、小林澄夫さん、別名“泥の詩人”から詩集が届きました。

 

東北レクイエム

蛎殻の海
減反の野
廃屋の棟に
風に吹かれる百合の花
壊れゆく土蔵
終末の予兆は
木の風景の潜点の
そこここに揺れていた

3月11日14時46分

 

ゴールデンバットの包み紙を見ても、庭の木にとまるメジロを見ても、散歩をしていても、ふと考えている東北のこと、放射能のこと、人生の時間の儚さ・・・。

装飾や演出とは縁のない無骨で繊細で実直な“泥の詩人”の言葉の結晶に、静かな力を感じます。

 


春の恵み

「チルチンびと」山下編集長の故郷、八丈島直送の菜の花、明日葉、春キャベツ、レタス、烏骨鶏の卵・・・春の味覚がたっぷり届きました!身体の中からキレイになりそうな無農薬の元気な野菜たちです。 いつもごちそうさまです!

 

ところで、先日朝の情報番組でやっていて目からウロコだったのが、山菜を水1ℓに塩小さじ2、小麦粉大匙4を溶かして湯がき、10分ほど水にさらすとえぐみが取れるという技。

 

これを試してみたところ、明日葉も菜の花もほどよい苦みが残っていい感じに茹で上がりました。その後おひたし、味噌汁、ジャコ入り炒め物・・・など定番メニューに変身したわけですが、まだまだ花束ができるぐらい大量にある菜の花。これを使って、こんどはMikanさんのレシピ 「菜の花と甘夏の簡単ちらし寿司」に、挑戦してみます♪

 

 


西荻窪で再会

morimoriと「チルチンびと」次号取材のため、西荻窪に通う日々が続いている。

駅前はわりとにぎやかだけれど、すこし歩けばすぐに閑静な住宅街になる。結構どこまで歩いて行ってもいろんなお店がある。古道具、雑貨、食べ物や…どのお店も「昔ながらの」「趣のある」という言葉がぴったりの風貌。まったく押し付けてくる感じがなく、そっけないのでもなく「どうぞよかったら、お入りください」というような気さくな雰囲気だ。とはいっても店に入ると、ちょっとその辺のお店とは違うな。という店主の個性というか、気概を感じる。

取材を通して、その店がその雰囲気を醸し出す理由もよくわかった。それぞれに経歴も、きっかけも、商売のスタイルも違うけれど、どの方の話も面白い。これは話さないで帰るのは損だな。と思う。自分、無口で不器用すから…なんていってないで、わからないことがあれば聞いてみたらいい。わからないことがとくになくても、この店主さん素敵だな。と感じたら、思い切って話しかけてみたらいいと思う。

ところで、西荻うろうろの最中、思いがけない再会があった。小腹がすいてmorimoriが行ってみよう、と入ったお店。チキンライスだというので、なんとなくオムライス屋さんを想像していたら、なんと。目の前の看板に、「夢飯」と書いてある!ここはカウンターのみの支店がかつての勤務先虎の門近くにあり、安くて美味しくて量も丁度よく、毎週のように食べていた大好物なのだ。こんなところで出会うとは。。。辞めてからもあの味が恋しくてよくつくったのだ。

作り方は簡単で、洗っておろし生姜と塩をよくもみこんだ鶏もも肉2枚をネギ1本、生姜1かけ、昆布1枚、酒大さじ2、水1ℓを加えて15~20分ほど茹で、冷めるまで自然放置。土鍋(または炊飯器)にこの茹で汁、水、ナンプラー、生姜の千切り適量を加えて固めに米を炊く。炊きあがった米を混ぜ、食べやすく切った鶏をのせてさらに10分程度蒸らす。皿に盛り、パクチーを乗せる。ショウガ汁、醤油、チリソースを添えてできあがり。

そういえば西荻窪が本店だったのだ・・・あのオフィス街のカウンターで慌ただしくかっこんだ時とは違ってこの優しく滋味深い鶏スープの味わいが、西荻窪にこそふさわしいような気がした。

 


九州出張 最終日 鹿児島編

最終日は鹿児島。また雨だ。鹿児島は両親の故郷なので祖母がまだ生きていたころはよく訪れた。晴れた空に横たわる桜島を見たかったのだが、残念。雨の中、最初に訪れたのはトロイメロイさん。静かな山深い住宅地の中の広々とした一軒家に、所狭しと家具屋小物がたくさん詰まっている。食器棚などはほとんどSOLDOUTが貼ってある。素敵なお店でした。

 

次に訪ねたのはしょうぶ学園さん。広々とした敷地の中に、パン屋、お蕎麦屋、ギャラリーなど、木造りやユニークなペイントがされた洒落た創りの建物などが建ち並ぶ。きちんとアポとりもしていなかった我々に学園長の福森さん自らいろいろなお話をしてくださった。

 ここはアートありきの施設ではなくて障がいを持つ人々が無理せず、それぞれの個性に合った仕事を見つけて自分の力を存分に発揮することができる場所であること。嫌なことや我慢することが根本的に理解できていないのに無理強いするのはすっかりやめてしまったこと。皆ただ一心不乱でものづくりに集中していていること。結果出来上がったものが、驚くほど凄いものができたりするのだが、造っている本人は対価や評価を求めておらず、作品への興味もないこと。そのピュアな精神はものづくりの原点で、感動させられるし本当にカッコイイなと思う。と。また布、木、紙など、どの素材がどの人に向いているかの見極めや、つくり始めと止め時がわからない人もいる、そんなときには手助けが必要なこともあり、スタッフがそのサポートをしていること・・・

 

その後実際にギャラリーを見て、たまげた。ちょっと鳥肌がたった。想像も限界も軽く越えていくような感じの、凄い作品ばかりだった。どれだけ天才的な感性なのだ!いただいたライブイベント映像のDVDを戻ってから見てみたが、こちらも素晴らしくてプリミティブなエネルギーが画面を通してもガンガン伝わってくるような熱いライブ、ノリに乗っている指揮者をよくよく見やれば、なんと学園長!多彩なお方だったのだ。こちらからも少しご覧いただけます。

 

しょうぶ学園 nui projectの展示

 

昼ごろwhite galleryさんへ。少し晴れてきたが、桜島には雲がかかっていた。晴れていたらさぞかし素晴らしい眺めだろう。高台で、美術鑑賞しながらご飯もいただける、絶好のランチスポットです。館長の三坂さんから、次は何処にいくの?と聞かれ、RHYTHM -リズム-さんにおじゃますることを伝えると、「ちょうど3月17日からここで展示をするんだよ。よろしく伝えてね」と。先ほど訪ねた福森さんともよく御存じの仲らしい。繋がっている。RHYTHMさんではPandAの早川さんともお会いできたり、知り合いのお店や作家さんを数々ご紹介いただき、また、かなり読み応えのある小冊子under’s highという冊子をいただいたりして、鹿児島のものづくりびとたちのネットワークの強さ、熱さを垣間見た気がした。

 

今回は作家さんの多かった長崎や佐賀へも行けず、訪ねた県にしてもあまりに移動距離が長くて効率的に周れたとはいえず、次回への課題は残してしまったけれど、また何度でも足を運びたくなるような魅力に満ち満ちた九州縦断でした。突然の訪問を温かく迎えてくださった皆様、ありがとうございました!タイルびと、運転おつかれさまでした。またよろしくお願いします!

 

 


九州出張 3日目 熊本編

3日目。レンタカー乗り換えのため福岡空港へ向かう。前日の雪が嘘のような晴天。九州北部への高速道路はほぼ通行止めだったが我々にはさほど影響なく、すいすいと熊本方面へ進む。大牟田市を周る途中、三池炭鉱跡に行ってみた。飄々とそびえたつ赤レンガの煙突からは、高度成長期を支えたという堂々たる存在感を感じると同時に、救急車、負傷車…と書かれた人車を見ていると犠牲になった多数の死者や中毒患者、閉山後も何十年にもわたり後遺症に苦しんだり寄る辺を失った人々の怨念のようなものも感じて、昨今の原発事故とも相まって複雑な気持ちだった。人間は権力に抗えない生き物、そして同じ過ちを何度でも何度でも繰り返す生き物なのだと突きつけられているようだ。知ろうとする気持ちと忘れないという意志を持ち続けていないと、簡単に自分本来の思いとは違う所へ連れて行かれてしまう。人も物事もいい面だけでも悪い面だけでもなくて、置かれた立場でも善悪変わったりもするけれど、黙っていたら偏って知らされることばかりが多い世の中で、自分は無知だと知る前に何かを選択するのはとても危険だ。実際に足を運んだり体験談をきいたり、本を読んだり映画を見たりと、同じ出来事をいろんな角度から見て初めて、知らなかったことに気づくこともある。

 

お昼は山鹿市のいつものごはんji-uさんで頂いた。塩麹をつかった蓮根ハンバーグや呉汁、キンカンと生姜シロップのデザートなど地元の材料を存分に使った優しい味に癒される。山鹿も素晴らしく風情のある街で、少し散策してみると造り酒屋さんや麹屋さんが軒を連ねている。こうじ専門店木屋本店さんの前を通ると、勝手に見学してもいいというので入らせていただいた。米粒の中にある汚れを箸で取り除く作業をしている人がいたり、麹を入れた箱が積み重なっていたり、昔のテレビや人形がならんだりと博物館のようだ。ここで念願の塩麹を買ったり美味しい甘酒をいただいたりしてとまたまた道草を食ってしまったので、急いで熊本市内へ向かう。

 

観光ばかりしているようで恐縮なのだが、熊本城の石垣は熊本出身のモザイク職人荒木さんにお薦めされたマストポイント。噂の石垣は、それはそれは見事で、確かに忍者ぐらいしか登れないだろう。カラスも停まろうとして滑り落ちていた。延々と連なる石垣を眺めていると、モザイクの道に進んだ荒木さんの原風景を見た気がした。島田美術館さんやミドリネコ舎さんなど市内数軒のお店を巡った後、金子典生工房の金子さんに会いにいく。

 

金子さんとは前からお会いしたいと思っていた。その温かい人柄は常々みじかいメールの文章や電話口の一言で伺われていて、一度お会いしてみたかったのだ。想像通りの方で、いきなり私は「タケチャンマン」という懐かしくも恥ずかしい小学生以来のあだ名で呼ばれた。新鮮なヒラメ、タイ、オコゼ、タコ・・・とびきり新鮮ないけす料理や馬刺し、辛子蓮根など食べたかった郷土料理が全部ここに・・・そして美味しいお酒とお茶目な金子節で笑いに笑って楽しい夜を堪能しました。忙しい時間の合間に、心づくしのおもてなし、本当にありがとうございました!!

 

あまりに楽しすぎてノリで帰り道に熊本ラーメンを食べてしまった。きくらげとねぎがたっぷり、コクがあるのに後味すっきりでペロリと入った。酔って満腹中枢がおかしくなっていたせいではないと思う。過酷なドライバー業務に疲労困憊気味だったタイルびともすっかり回復して「なんていいとこなんだ!熊本大好き!俺は熊本に住む!」と言い出す始末でした。

 

(最終日 鹿児島編に続く)


九州出張 2日目 大分~久留米編

 

2日目は大分からスタート。wakako ceramicsさんを訪ねて杵築市へ。予備知識がまるでなかったので着いてみてびっくり、とても情緒ある坂の城下町だった。「綾部味噌店」の前に車を停め、聞けばこちらは昔お酢屋さんだったそうで、石畳の坂道から、武家屋敷の風景を一望できる「酢屋の坂」というのがすぐそこにありますよと教えてくれた。「私のぬりかべ散歩」の小林澄夫さんにも帰ったら聞いてみようと特徴ある土壁を写真にとったりしながら、杵築城まで散策した。その後大分市に入り、商店街を歩いているとぶんごという一子相伝の小鹿田(おんた)焼を中心に扱う民芸店を発見。囲炉裏を囲んでコーヒーも飲めます。大分県も結構いろいろなお店やギャラリー、作家さん、いらっしゃるけれど場所がばらついていて、大体来る人もビルの2階以上にはあんまり行かないそうなのだ。もっと素敵なお店がこのあたりにも増えるように、大分もがんばらんとねーと、とあるギャラリーの女主人が言っていました。

 

大分市を後にし、朝からほとんど何も食べていないことに気づいて栄養補給に温泉卵を食べるか!と別府の道の駅に立ち寄ると、大きなスピーカーから「ONLY You~~♪」と繰り返しエルビスの甘い歌声が。すかさずタイルびとが「そういうことか!」とウレシそうな顔をしている。別府は町中からもうもうと煙が出て、硫黄の香りがして、まさしくONLY湯~。温泉天国?地獄?の景色が広がっていた・・・

 

日のあるうちに未来工房さんのある久留米市へ到着のはずがもう夕方。しかし途中うきは市には訪ねたかった四月の魚さんとぶどうのたねさんがある。ご主人の田中さんは突然の雨でびしょ濡れの私たちに、手染めのタオルを貸してくれ、反物の並べてある美しい部屋に招き入れてくれた。元は呉服屋さんからはじまったというお店の由来などお話を伺っているうちに、ご主人の独特のゆったりした器の大きさに、このままお酒でも酌み交わしたいような気分になってきたが、先を急ぐ。未来工房さんにたどり着いたのはそんなこんなで夜の7時。すっかり真っ暗になってしまった。待ちぼうけさせてしまったが金原社長、馬場さん、武下さんのお三方が待っていてくださり、モデルルームをたっぷりと紹介してくださった。古材を使った天井のあるカントリー風キッチンや、屋根裏とはしごで繋がる子供部屋、隠れ家のような和室など、これが同じ1軒の中にあると思えないくらい、いたるところに遊び心のある「やかまし村の家」。未来工房さん、本当に待ちくたびれさせてしまって申し訳ありませんでした。ありがとうございました。

 

次の日レンタカーを福岡空港で乗り換えるため、久留米ラーメンをかっこんでまた福岡市に戻る。雨はみるみる雪に変わり、市内につくと牡丹雪が降っていた。九州でこんな雪に遭うとは驚きだ。あまりに寒いので中州まで出歩く勇気もなかった。丸一日、ゆで卵と久留米ラーメンだけで終日運転をしてくれたタイルびと、あたりまえだがヘトヘトのご様子。仕事よりもハードだった模様。本当にお疲れ様でした!!!

 

(九州訪問 3日目熊本編へつづく)