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「木の駅舎」を見に行く

戸越銀座 木造駅舎

戸越銀座 木造駅舎

 

「戸越銀座 木造駅舎 多摩産スギ ヒノキで美しく改築」という見出しを、見つけた。(『東京新聞』12月7日夕刊)

築後九十年近くがたち、老朽化した東急池上線戸越銀座駅(東京都品川区)の木造駅舎が、東京産のヒノキとスギを使って美しく生まれ変わった。…… という書き出しである。そして、こうつづく。
〈新しい駅舎の特徴は、プラットホームを弓状に覆う屋根にある。幅四十五センチ、長さ三・五 ~ 一メートルの木材を約千枚、格子状に組み合わせた。…… 職人たちが一年四カ月かけて造った。〉とある。総事業費は七億円、という。

戸越銀座駅へ、行ってみた。ホームのベンチに坐っていると、木の香りがする。なんとも、落ちついて、親戚の家にでもきているような気がした。

 


今年のかき氷 終了しました

今年のかき氷 終了しました

 

12月にしては、やけに暑い日があり、訪ねて来た友人が「こんな日は、氷が食いてえなあ」という。行ってみるか。西荻窪・甘いっ子へ。しかし、やっぱりこの季節。ごらんの貼り紙 ー  今年のかき氷   終了しました。来年は   4月の終り頃から始まる予定です。冬来りなば、春遠からじ。
冬は冬らしく、田舎しるこ(680円)をいただいて、帰る。

 

田舎しるこ


長かりし一年


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12月15日。6時から、風土社の忘年会がひらかれた。

いつものように、建築家、工務店、写真家、ライター …… はじめ、いつもお世話になっている方々ばかり。みなさん、『チルチンびと』誌上でも、おなじみの方ばかり。しかし、例年顔を見せてくださった方が、あ、今年はもう、いらっしゃらない、と、ふと寂しくなることもある。

長かりしこの一年を忘ればや    冨安風生

という句を、この時季いつも、思い出す。
みなさま、お元気で。そして、少し早めですが、良いお年を。


かぶと柿のサラダ

かぶが美味しい季節。

柿が美味しい季節。

自然の甘味がうれしい。KIMG0308


灯をともし、薪を焚く暮らし読書会 ②

灯をともし、薪を焚く暮らし読書会

 

『チルチンびと』90号 ― 特集・灯をともし、薪を焚く暮らし ― にちなんで、ビブリオバトルというか、読書会。 前回の続きです。


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Y君    前のお二人は、科学系でしたね。ぼくは視点を変えて『本当の夜をさがして』(ポール・ボガード著・上原直子訳・白揚社)。本のサブタイトルに「都会の明かりは私たちから何を奪ったのか」とあります。著者は作家。
太陽の光の最後のひとかけらまで消え去ってしまった真夜中のブラックロック砂漠で、友人は北斗七星に向かって、僕は天の川に向かって、暗闇を歩く。どちらも地面に触れそうなほど近くにあって、そのまま歩いていけば星々と会話を交わせそうなくらいだ。…… 〉
そして、歩きながら、光害について、眠りについて、夜の文化について、生態系について、考える。タイトルに引かれたんですけど、はじめは。

Kさん   そういう話を聞くと『陰翳礼讚』(谷崎潤一郎著・中公文庫)を読みたくなりますね。ご存じの名著。
〈だが、いったいこう云う風に暗がりの中に美を求める傾向が、東洋人にのみに強いのは何故であろうか。西洋にも電気や瓦斯や石油のなかった時代があったのであろうが、寡聞な私は、彼等に蔭を喜ぶ性癖があることを知らない。昔から日本のお化けは脚がないが、西洋のお化けは脚がある代りに全身が透きとおっていると云う。…… 〉
今日のわれわれの話も “ 陰翳礼讚  ” だったね。
………


『チルチンびと』90号は、12月10日発売です。お楽しみに。

 

 


灯をともし、薪を焚く暮らし読書会 ①

灯をともし、薪を焚く暮らし読書会

 

『チルチンびと』90号 ― 特集・灯をともし、薪を焚く暮ら し ― にちなんで、恒例のビブリオバトルというか、読書会。


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E君   ぼくは『ロウソクの科学』(ファラデー著、竹内敬人訳、岩波文庫)。製本工から科学者になった彼の 、青年のためのクリスマス講演から、というのも今の季節ピッタリ。ロウソクをつくる話から始まって、たとえば……
〈燃えているロウソクを観察しましょう。まず一番上に見事なお椀のようなものができます。ロウソクに近づいた空気は、ロウソクの熱がつくりだした流れの力で上方に移動します。……〉〈…… つまり、ロウソクの側面に一様に働いて外側を冷やしている、驚くほど規則的な上昇気流によってお椀がつくられるのです。…… 〉身辺の観察から話題を展開。いつ読んでも愉しい。

Cさん    私は『問いつめられたパパとママの本』(伊丹十三著・中公文庫)。この本も、それに似ている。子供たちのいろんなギモンに答える形で、たとえば 、こんな質問。…… ローソクノ火ハ吹クト消エルノニ炭ノ火ハ吹クトドウシテオコルノ ?」
〈……   話がややごたごたしましたが、個体の燃焼と、気体の燃焼とが違うということ、炎をだして燃えるのが気体だけであるということ、この二つは覚えておいていいことだと思う。燃えているのが気体だからこそ、炎は吹けば燃えるんです。……〉いつもの独特の文章が楽しい、オトナの科学ですよ。
………


『チルチンびと』90号は、12月10日発売です。お楽しみに。

 


サンキュー・ヴェリ・マッチ

マッチ

 

『チルチンびと』冬号は「特集・灯をともし、薪を焚く暮らし」である。その企画の一つに「マッチ」にまつわるテーマがあり、村松友視さんのコメントが入る。取材に行く編集部のUさんに、ついて行った。

「かつて、マッチ・ポンプというコトバがあったよね」と、村松氏は言った。「自作自演みたいなことだったね。それから、マッチ一本火事のもと、と言って、冬の夜、町内を拍子木を叩きながら巡回していたよね。マッチのカゲが薄くなってしまって、ああいうセリフは、どうなってしまうんだろう」。そのほか、いろいろな話をした。「燐寸という漢字は、いいね」「マッチの火って、他の火にくらべると、カジュアルなカンジがするんだよね」「そういやあ、伊丹十三さんは、ベンラインのマッチが、世界一だと言ってたね」そして、当然、幸田文さんのマッチ(写真参照)の話も。

つぎからつぎへ、自在に言葉をくりだした。話は尽きず、サンキュー・ヴェリ・マッチだった。話の終わり頃、彼は言った。「しかし、昔は、いつもこんな話ばかりしていたよね」そうだった。暇があれば、コーヒーを飲んで、言葉のキャッチボールを繰り返し 、飽きるということがなかった。あれは、贅沢な時間だったと、つくづく懐かしい。


………
『チルチンびと』冬号は、12月10日(土)発売です。お楽しみに。

 


石焼いも屋さん

 

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のんびり走るトラックの

石焼いも屋さんに

久しぶりに遭遇した。

 


穂積和夫さんの「セツ物語」

穂積和夫さん

イラストレーターの穂積和夫さんに、お目にかかった。「私のセツ物語」の打ち合わせ。下馬一丁目のカフェ。約束の時間ぴったりに、穂積さんは、店の入り口に立って、ちょっと中をうかがうような仕草をした。セツ一回生であるこの方に、ご登場いただかなければと、企画がスタートしたときから思っていた。

最初、学校はどこに ?「高円寺でしたね。サロン・ド・シャポーの教室を借りて、毎週土曜日に」。それから、高樹町へ。それから四谷に。いまの建物、いいですねえ。「ええ。ぼくは、建築を勉強したのでわかるんですけど、長沢セツさんという人は、建築の素養がありましたね。あの建物の中の空間の使い方など、いいですね」
イラストレーターという肩書きは、いつから?「昭和30年代の終わり頃でしたか。日宣美のあたりから、でてきたんですよ。あ、これはいいと思って、使いました。それまでは、挿絵画家とかでしたねえ」
眠れぬ夜は、読書。「今日も朝まで読んでいた。その範囲は、現代から、明治、大正まで。國木田独歩の『武蔵野』なんかも読んでます。武蔵野といったって、この辺りなんですねえ」

ちかごろ、人がたくさん集まるところは苦手になった、とおっしゃる。じゃあ、二人ならいいでしょう、また、お話を聞かせてください、とお願いして失礼した。


(穂積和夫さんの「私のセツ物語」は、コチラから、ごらんいただけます)

 


東京国立近代美術館工芸館へ

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「革新の工芸 ―“伝統と前衛”、そして現代ー」が開催中の

東京国立近代美術館工芸館へ。

工芸館は明治43年(1910年)建築の旧近衛師団司令部庁舎で

重要文化財に指定されている。

2020年までを目途に、工芸館は石川県の誘致により

移築・活用されるとニュースで聞いた。