灯をともし、薪を焚く暮らし読書会 ②

灯をともし、薪を焚く暮らし読書会

 

『チルチンびと』90号 ― 特集・灯をともし、薪を焚く暮らし ― にちなんで、ビブリオバトルというか、読書会。 前回の続きです。


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Y君    前のお二人は、科学系でしたね。ぼくは視点を変えて『本当の夜をさがして』(ポール・ボガード著・上原直子訳・白揚社)。本のサブタイトルに「都会の明かりは私たちから何を奪ったのか」とあります。著者は作家。
太陽の光の最後のひとかけらまで消え去ってしまった真夜中のブラックロック砂漠で、友人は北斗七星に向かって、僕は天の川に向かって、暗闇を歩く。どちらも地面に触れそうなほど近くにあって、そのまま歩いていけば星々と会話を交わせそうなくらいだ。…… 〉
そして、歩きながら、光害について、眠りについて、夜の文化について、生態系について、考える。タイトルに引かれたんですけど、はじめは。

Kさん   そういう話を聞くと『陰翳礼讚』(谷崎潤一郎著・中公文庫)を読みたくなりますね。ご存じの名著。
〈だが、いったいこう云う風に暗がりの中に美を求める傾向が、東洋人にのみに強いのは何故であろうか。西洋にも電気や瓦斯や石油のなかった時代があったのであろうが、寡聞な私は、彼等に蔭を喜ぶ性癖があることを知らない。昔から日本のお化けは脚がないが、西洋のお化けは脚がある代りに全身が透きとおっていると云う。…… 〉
今日のわれわれの話も “ 陰翳礼讚  ” だったね。
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『チルチンびと』90号は、12月10日発売です。お楽しみに。