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フィンランドは近し

フィンランド・デザイン展

 

『フィンランド・デザイン展』(10月22日まで)に行った。いま、府中市美術館で、ひらかれている。
そう言ってはなんだけれど、都心の美術館にくらべたら、府中は遠い。時間的には違わなくても、感覚的に遠い。おまけに、この日はバスを乗り間違えて倍の時間を要した。……  と、そんな話を知人にしたら、フィンランドへ行くことを思えば、府中くらいなんだ、といわれた。そりゃ、そうです。

〈なぜ、遠く離れた国フィンランドのデザインが、これほど私たちの心をとらえるのでしょうか〉と、展覧会のパンフレットにある。椅子、織物、器、布…… そして、やっぱり、ムーミンかな。黒い線で描かれた原画に見入る人が多い。

 


『安藤忠雄』展、初日

『安藤忠雄』展

『安藤忠雄』展

『安藤忠雄』展

『安藤忠雄』展

 

『安藤忠雄   挑戦』展が、始まった。(国立新美術館。12月18日まで)。
会場に入って、すぐのところに「アトリエ」があった。書棚がみえる。『小説  森鷗外』がある。立花隆、大江健三郎といった作家の著書。『フィレンツェ』『現代科学論の名著』『物語  イタリアの歴史』『生命世界の非対称性』といった「中公新書」が、並んでいる。
「直島プロジェクト」を見て、野外展示の「光の教会」を見て、あれも見て、これも見て。ショップで、絵葉書を買う。Church  of  the  Light  と  Row House  in  Sumiyoshi の2枚。後者のカードは、撮影は安藤さん自身、ということである。トークショーが、ひらかれている。そこから、笑い声がたえない。どこにも、活気があった。

 


フランスの人間国宝

フランス人間国宝展

 

『フランス人間国宝展』(11月26日まで、東京国立博物館  表慶館)へ行く。

「15人の匠による美と技の嬌艶」というキャッチフレーズ。陶器がある。グラスがある。革、鼈甲、金銀、ガラス、真鍮、羽根の細工がある。おや、メガネがある。壁紙がある。布がある。傘がある。おや、扇がある。彫刻がある。それらの作品が、黒い部屋の中でライトに浮かび上って艶やかだ。
フランスの人間国宝は、日本の人間国宝にならって、フランスでも生まれた制度だという。伝統工芸の最高技能者に与えられる。認定を受けた人は、自分の技術を弟子に継承する任務を帯びる、と説明にある。

出口のところで、15人の作家のモノクロームの写真を眺めた。そして、突然、まったく関係なく、永六輔さんが『職人』(岩波新書)に書いた言葉を思い出した。〈上手は下手の見本なり、下手は上手の見本なり〉。

 


リサ・ラーソンが、いっぱい

リサ・ラーソンが、いっぱい

リサ・ラーソンが、いっぱい

 

スウェーデンの陶芸家『リサラーソン』展(松屋銀座。9月25日まで)へ。展覧会で、女性客の多いことは、珍しくないが、見渡すかぎり全員女性、というのは、あまりお目にかからない。「カワイイ」「カワイイワネエ」という囁きのうしろを歩くことになる。

……  もし、私が再びこの世に生まれてくることがあれば、次の人生は、ぜひ日本人になってやはり陶芸の道に進みたいと思っています。そしてできることなら、日本の素晴らしい風景が望める田舎に住み、もちろん日本語の話せる人になりたいです。 …… というメッセージが、場内にある。

出口にあるショップにも、リサラーソンが、いっぱいだった。ここでも、「カワイイ」の合唱が聞こえる。

 


パンダの名前

パンダ

 

上野のあちこちは、6月に生まれたパンダの赤ちゃんのおかげで、賑やかだ。名前を募集したら、32万件もの応募があったという。今月末、発表になったら、さらに盛り上がるだろう。
美術館の帰りに、レストランに行ったら、隣の席にパンダが2頭。

赤ちゃんは、なんという名前になるかね。カタカナを、重ねた名前になるのは、確かでしょうね。そういえば、雑誌『アンアン』というのは、モスクワの動物園にいたパンダの名前がアンアンというのがヒントだった、と『「アンアン」1970』(赤木洋一・平凡社新書)で読んだよ。

なんて、話していたような。

 


ウィンザーチェアの歳月

『ウィンザーチェア  日本人が愛した英国の椅子』展

『ウィンザーチェア  日本人が愛した英国の椅子』展

 

ウィンザーチェアがイギリスで生まれたのは18世紀前半といわれています。すべての部材に木を用い、座板に脚や背棒が直接差し込まれたこの椅子は、自然で素朴な美しさを持つ実用品として幅広い層に受け入れられてきました。…… と、会場受付でもらったパンフレットにある。そして、柳宗悦と濱田庄司が、1929年にイギリスに行き、ウィンザーチェアを含む約300点の椅子を求めた、ともその解説にある。

ウィンザーチェア  日本人が愛した英国の椅子』展(日本民藝館。11月23日まで)へ行った。椅子、そこに腰をおろしたひとたちと過ごした歳月。それが、ツヤとなってあらわれる。座ってみたい誘惑にかられるけれど、そうもいかない。並んだご馳走を眺めて帰ってきたような、そんな気分だった。

 


続・ベニシアさんの表紙物語

『チルチンびと』の表紙

 

ベニシアさんが『チルチンびと』の表紙を飾ったのは、過去2回。2008年に続いて、2015年夏、「特集・夏涼しく、冬暖かい木の家」84号だった。「京都大原の山里に暮らし始めて」(文・梶山  正)に、こう書かれている。

〈20歳のベニシアが日本に初めて来たときの冒険談を続けよう。 1971年春、ベニシアは瞑想の先生プレム・ラワットからインドを出てイギリスに帰るように言われた。母ジュリーがイギリス行きの航空券を手配してくれていたが、彼女は母国へ帰るつもりはなかった。お金はなかったがプレム・ラワットの応援のことばを信じて歩み出そうと決めていた。
「必ず恵みの風が吹くでしょう」〉

風は、吹いた。


………
さて、ベニシアさん、『チルチンびと』3回目の表紙登場は、9月11日発売の93号。特集・花の咲く家。お楽しみに。


ベニシアさんの表紙物語

ベニシア

 

ベニシアさんが『チルチンびと』の表紙を飾ったのは、過去2回。その最初は、2008年秋、50号だった。「特集・草花の咲く家」の中に、「民家を繕いハーブを育む大原の暮らし」という記事がある。ベニシアさんの生き方が、描かれている。

〈気持ちがあれば、できる。それはどうやら庭づくりにも言えるようだ。ここに越して来て1年目。ベニシアさんは玄関前の日当たりがよく水はけのよい一角を耕し、地中海沿岸のハーブと草花の庭につくり変えた。〉
そして、最後は、ベニシアさんのこういう言葉で、終わる。
〈「庭は私にとって趣味じゃない。たぶん自分で選びとったライフスタイルなんだと思うな」〉

趣味じゃない。選びとったライフスタイル !


………
『チルチンびと』秋  93号は、特集・花の咲く家。9月11日発売です。表紙は、ベニシアさん。お楽しみに。

 

 


民藝の旅

民藝の日本  ー  柳宗悦と『手仕事の日本』を旅する ー

 

「民藝の日本  ―  柳宗悦と『手仕事の日本』を旅する ―」展へ行く。(日本橋髙島屋  9月11日まで)。
“ 美の始まりは、旅にあった 。 ”    というキャッチフレーズ。

『手仕事の日本』(講談社学芸文庫)で、柳宗悦さんは、こう書いている。
〈役立つということは仕えることであり、働くことであります。実用品は一家の中の働き手なのであります。裏からいえば働くことを厭うものや、働きに堪えないようなものは、実用品の値打ちがないでありましょう。よき働き手であってこそよき実用品なのであります。〉

器、衣服そのほか、日本各地の美しい働きものに、たくさん出会った。

 


さいはての芸術祭、さいはてのカフェ

珠洲市の海沿いのカフェ

 

珠洲へ行くのですか? 9月3日からなんですね、奥能登国際芸術祭。フンイキのあるステキなお祭りなんでしょうね。
私が珠洲市の海沿いのカフェを訪れたのは、映画『さいはてにて』という永作博美さん主演の映画をみたのがキッカケです。ビデオレンタルでみたのですが、当時、喫茶店のお仕事を始めたばかりで、コーヒーを淹れることが、とても楽しく(いまも大好きです)、なんとなく手にした1本でした。
ここにある写真は、昨年の夏のものです。映画の舞台になったあたりです。ふだんはひっそりしているだろうこの場所の近くに、夏季だけオープンするカフェがあり、なかなかの人気にみえました。
珠洲は、とても、ステキなところです。


…………
前回のブログを読んだ S さんから、こういうメールをいただいた。

 

「行ってみますか、珠洲へ」 「あとは能登なれ、でね」

 

奥能登国際芸術祭のご案内は、コチラからごらんください。