フランスの人間国宝

フランス人間国宝展

 

『フランス人間国宝展』(11月26日まで、東京国立博物館  表慶館)へ行く。

「15人の匠による美と技の嬌艶」というキャッチフレーズ。陶器がある。グラスがある。革、鼈甲、金銀、ガラス、真鍮、羽根の細工がある。おや、メガネがある。壁紙がある。布がある。傘がある。おや、扇がある。彫刻がある。それらの作品が、黒い部屋の中でライトに浮かび上って艶やかだ。
フランスの人間国宝は、日本の人間国宝にならって、フランスでも生まれた制度だという。伝統工芸の最高技能者に与えられる。認定を受けた人は、自分の技術を弟子に継承する任務を帯びる、と説明にある。

出口のところで、15人の作家のモノクロームの写真を眺めた。そして、突然、まったく関係なく、永六輔さんが『職人』(岩波新書)に書いた言葉を思い出した。〈上手は下手の見本なり、下手は上手の見本なり〉。