陶芸家

『小菅幸子 陶器の小さなブローチ』まもなく完成します

小菅幸子 陶器の小さなブローチ

 

チルチンびと 104号』(2020年夏号)でもご登場いただいた陶芸家・小菅幸子さん。三重県津市のアトリエで、主に陶器のブローチを制作しています。モチーフは庭の草花や野菜、猫のレモンやウーパールーパーのザリちゃん、散歩道や旅の途中に出会った風景など、日々の暮らしのなかに在るもの。細やかで複雑な造形、可愛さのなかに野性味や憂いを秘めた優美な色づかい、二つとして同じものがない陶器ならではの風合いで、多くのファンを魅了しています。

そんな小菅さんのブローチを写真と文章で綴る初めての作品集が、7月20日、風土社より刊行されます。

ひとつひとつのブローチのなかに、つくり手の佇まいや空気感までもが感じられる表情豊かな写真は、「日本の美邸」でも撮影を担当してくださっている美術家の林智子さんによるもの。毎日の暮らしや制作風景を描いた書き下ろしエッセイの一編一編、そして巻末の作品リスト112点のそれぞれに添えられた言葉からも、小菅さん独特の瑞々しい感性が溢れています。(こちらの撮影は、小菅さんと交流の深い写真家の村上将城さんにお願いしました)撮影場所や衣装、モデルの皆さまにもたくさんのご協力をいただいて、小さいけれど贅沢な一冊となりました。

まもなく完成します! どうぞお楽しみに。

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『小菅幸子 陶器の小さなブローチ』
刊行年月日:2023/7/20 版型:B5変形 160頁 本体価格¥2,700+税


■7月22日(土)、23日(日)京都・北白川ちせさんで出版記念展が開催されます。


陶芸家 ダグラス・ブラックの作品世界

陶芸家 ダグラス・ブラック

 

陶芸家としてだけでなく、インスタレーションなどでも国内外で活躍するダグラス・ブラックさん。彼自身の作品のような、個性あふれるセルフビルドの自宅兼工房を訪ねた。
ダグラスさんの家は、焼き物の郷として全国的に知られる栃木県の笠間と益子。そのどちらからもアクセスのよい茂木町の、ゆるやかな那珂川の流れを望む高台にある。
ここでは、魅力的な作品、作品の舞台裏、そして彼の「住まい観」をたっぷりのぞかせてくれる。

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『チルチンびと』秋 109号は、「特集・この庭が楽しい」。風土社刊。好評発売中。お早めに書店へ!

 

『チルチンびと』秋109「特集・この庭が楽しい」


魯山人の醤油注ぎ

魯山人の醤油注ぎ

 

『北大路魯山人』展の案内をいただいた。(7月2日 –  8月25日まで、千葉市美術館で)。魯山人といえば、ついつい思い出すのは、山口瞳さんのエッセイである。たとえば、「魯山人の醤油注ぎ」(文藝別冊『山口瞳』 河出書房新社)。山口さん、子供のときから、魯山人があまり好きではなかった、といいながら、こんなふうに書くのだ。

〈  しかし、私は、だんだんに、実に三十年以上もかかって、この巨人、この大天才(  私はピカソよりも才能があると思っている)を理解するようになった。たとえば、この写真にある醤油注ぎである。日本の巨匠連中は、絶対に、こういうものを造らない( 造れない )。私には陶器はわからないが、醤油注ぎを造る魯山人の心を理解するようになった。愛するようになった。第一に、魯山人の陶器は使いやすいのである。  〉……

展覧会に、醤油注ぎがあるといいな。

 


陶芸家・工藤和彦さんの「ウラヤマクラシテル」

陶芸家・工藤和彦さんの「ウラヤマクラシテル」

 

秋立ちぬ。『チルチンびと』97号、間もなく発売。 〈特集・花と緑を愛でる家〉から、ステキなページをご紹介します。

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この写真の後ろ姿は、どなただろう。記事の書き出しは、こんなふうだ。

北海道旭川市の中心から、車で30分ほど離れた東山地区にある「ウラヤマクラシテル」。広大な景色の中を走り抜け、国道脇にある立て看板のサインを頼りに山道に入る。矢印に従って車を進めると、森の中に大きな建物が見えてきた。
「ウラヤマクラシテル」は、工藤和彦さんが昨年オープンしたギャラリー。もともとこの地にあった旧旭川温泉の施設を改装している。同じ建物内に工房があり、住まいも近くにある。文字通りの裏山暮らし。家族とともに、大自然に囲まれた環境の中で生活し、作陶に励んでいる。

陶芸家の花詩集を、どうぞ。
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『チルチンびと』97号は、9月11日発売。お楽しみに。

 


春の香りのする茶会

みたてさんで展示中の、全日根さんの器を使った茶会に伺いました。

 

全日根さんの作品は川口美術さんで拝見したのが始まりで、窯見学にもご一緒させていただいたり、その後も数回の回顧展に伺い、観るたびに新たな魅力を発見して惹きこまれていく作家さんです。今回のみたてさんでは花入れと人形を中心に、また全さんの未知なる魅力が引き出された素晴らしい展示をされています(~2月15日まで)。

会期中のイベントとして陶々舎の中山福太朗さんが選んだお抹茶椀で、川口美術の川口滋郎さんのお話を伺い、みたてさんが花入れにお花を活けるのを眺めるという趣向の一日限りのお茶会。全さんの器とお茶とお花を存分に楽しめて、ド素人の私でも冷や汗をかかずにすむような、気楽で遊び心たっぷりのお茶席をつくっていただきました。

 

待合では梅の枝にお湯を注いで、ふんわりと梅の爽やかな香りたつ白湯をいただきつつ春の山野草を眺めます。お茶席に入ると、まずお菓子が配られますが、その前に今回は、楊枝用になんと本物の黒文字の枝を自分で伐ります。枝を持って帰ってもいいということで少し大きめに。本日のお茶菓子はふきのとうの入ったお味噌を包んだもっちりとしたクレープのようで、フキの香りが漂う季節感あふれるもの。

お抹茶椀は、一人一人全然違うもので、骨董のようにも、モダンなものにも見え、どこかしら可愛らしくお茶目で、空にも海にも大陸の景色のようでもあり、アジアやアフリカの香りがしたり、描かれた生き物たちが踊り出しそうであったり。どれも亡くなられたとは未だ思えない躍動感が作品に宿っています。飯椀かお抹茶椀か、どちらだろう?と少し考えるような形のものもあり、その形式にこだわらない自由な解釈や豊かな表情に惹きつけられ、どれを持ってこようか迷った。とお話されていた福太朗さんも、普段の暮らしにもっとお茶を取り入れたいと、自由なお茶席を提案し続けている方。品が良いのに少しとぼけた味わいがあって、使うこちらを緊張させない全さんの器と、とても相性がいいのも納得です。

 

 

長年、全さんとお付き合いのある川口さんはもちろん、生前には面識のなかった福太朗さんとみたてさんからも、器を通して感じられる全さん像が様々に浮かび上がり、それを聞きながらいまだ星山窯にいらっしゃって作品が生まれ続けているような気がしました。誰かを偲ぶことにも様々な形があるけれど、こうしてその人を愛する人たちとともに魅力を語り継ぐことは、ほんとうに心慰められるものがありました。

ひと足早く、爽やかな春を感じるような朝の豊かな時間を、楽しませていただきました。

 


鳥いろいろ

『川上嘉彦 木工展 ~鳥の語らい〜』を観にMOTTAINAIクラフトあまたさんへ。以前「今月のプレゼント」でもご紹介させていただいた鳥の栞を作られた元インダストリアルデザイナーの川上さんの作品は、家具や建築材料の端材を使った「もったいない精神」溢れるもの。機能的でいて温かみがあり、美しく自然で、流れるようなラインは一度触るとしばらく撫で続けてしまう。さすが工業デザイナーさんの作品です。

川上さんは『原風景を歩く』という本も上梓されたそう。丁寧な文章とご自身で撮られた写真で日本各地の風景を綴った、とても美しい本です。川上さんの展示は6月末まで。常設作品もあります。あまたさんではいつも作家さんのことや京都のこと、いろいろ教えてもらって長居してしまいますが、京都たよりも同じく話題豊富で面白いのです。

 

今月は天神さんでも、鳥を見つけました。インド更紗の版木。いろいろな版木がある中から、なぜか鳥ばかりに目が惹かれましたが、いちばんいい(と思う)のを見つけました。

 

nowakiさんで昨日から始まった増田勉さんの個展にもいました。鳥。元美術教師をされていた増田さんは、古陶をお手本にしながら独学で陶芸を学び、10年前に退職されて独立し、神奈川県で作陶をされています。粉引、刷毛目、黒釉、灰釉などシンプルなものが並ぶ中、ところどころに愛らしい鳥柄に目がとまります。はじめは朝鮮の古い陶器に見られる野趣溢れる鳥を模写していたのが、だんだん可愛らしく変化してきてしまったのだそう。気は優しくて、力持ち。という形容詞がぴったりの増田さんのお人柄が、描く鳥に表れています。しっかりと焼きしめられた、丈夫で使い心地のよさそうな器がたくさん並んでいました。nowakiさんでの個展は7月6日(日)まで。

 


みたてる心

川口美術 さんに教わって昨年秋訪ねたみたてさんは、和花や山野草、花を生ける器を中心に扱われていて、四季折々の山野草の息吹を感じるお店。見たことはあっても名前を知らない枝や草花が、切り方、生け方、器、空間・・・などの“みたて”でぐっと存在感を増す面白さ。訪れるたびに新鮮な驚きと感動があります。

新春のしつらえも見事です

 

こちらで開催される展示や教室も、花にまつわる興味深いものばかり。 先月、「市川孝さんの花遊びの道具展」の期間中に、江戸期より代々日本古来の植物染めをされている染司よしおかの吉岡更紗さんを講師に迎えての「餅花つくり教室」に参加してきました。

市川孝さんの花器、とりどりの表情

 

お正月のこの季節デパートなどでつくりものの紅白の玉のついた枝はよく見かけるけれど、本来餅花は小正月に五穀豊穣を祈って飾るものだそう。食べられるほんとうの餅を使ったものは、今回初めて見た。というかいままで気づいたことがなかった。店主の西山隼人さんが用意してくださった紅葉、ねじき、山香ばし、木瓜(ボケ)などの中から好きな枝ぶりのものを選び、お餅を小さく丸めてつけていく。

この日は偶然にもチルチンびと広場にも登場いただいていた藤かご工房紡ぎさん、また京東都さんや万年青さんなど、ものづくりやお店をされている方ばかりが集まってみなさん手際がいい。わたしは一番シンプルな木瓜を選んだのに餅が乾いてくっつかなかったり、形がいびつだったり不ぞろいになったりと苦戦したけれど、途中お餅を食べたりしながらの作業は楽しかった。

仕上げに、紅白交互になるように餅に紅をひとつ置きに塗っていく。吉岡さんが持ってきてくださった本物の「紅」は、広大な紅花畑からわずかしかとれないとても貴重なもの。「染司よしおか」さんは、東大寺のお水取りで使われる椿の和紙を納められているそう。実物を見せていただいた。

「植物色図鑑」でも、植物の生む色がとても神秘的で、繊細で豊かであることを毎月教えていただいているけれど、じかに見るとまた一層深く心を捉える気高さがある。植物染料には漢方の役割もあって、たとえば紅は血行をよくしたり婦人病の予防にもなり、昔の上流階級の女性がよく貝殻に入った口紅を薬を塗るように薬指でとって塗るので別名「紅差し指」とも言われるそう・・・吉岡さんの植物と色にまつわるお話にはまだまだ引き出しがあるように思えて、またゆっくりお話を聞いてみたい。映画「紫」も気になる。

花のない季節に、餅を花にみたてて豊かな一年への祈りをこめる「餅花」。またひとつ日本のたいせつな習慣を教わりました。みたてさん、よしおかさん、ありがとうございました。

木瓜の枝には、先ごろ花が咲きました。

 

 

 


全日根さんの窯へ

一昨年のお盆帰省中、vigoが舟あそびさんで作品に一目惚れしたのが全日根さんを知るきっかけだった。そのときご本人ともすこしお話ができたそうで、同じ年の暮れの突然の訃報にとても驚いていた。先日、川口美術さんでの名残展に伺って、私もその作品の魅力をじかに知ることができた。川口さんは全さんとはもう長いお付き合いで、ご家族とも親しくされている。ご興味があれば一緒に窯に行ってみませんか? と誘っていただいたのが今回の旅のはじまり。川口さんの弟・とおるさんが運転をしてくださり、川口さん、スタッフの居山さん、vigoと私の5人でワゴンに乗り込む。雨だったせいか若干外気が涼しくて救われた。片道約2時間半の道中、いろんな話をして過ごす。全さんに限らず川口さんの作家さん達への敬意と愛情は並ならぬものがあり、その創意工夫に満ちた暮らしや作品作りのお話など伺うのが楽しい。窯を訪ねてみたくなる。

 

「星山窯」は三重県津市の山中にある。筆で太く力強く書かれた看板がかっている。全さんご本人が一人で基礎から建てられたという家、窯、工房の大きさ、そして作品の多さにも圧倒された。茶碗、皿、片口、花瓶、蓋物、人形、水滴に硯・・・それぞれのテーマで1企画できそうなくらい、どれも個性豊か。繰り返し見ても、時間をおいてまた見ても新しいものが出てくる気がする。深い探究心と想像力と実行力を建物にも作品にも感じる。

工房にそのまま残された土を削る道具、絵付けの筆や釉薬、まだ焼かれていない器などを見ていると、私は直接生前にお会いしたことはないけれど、全さんの存在が感じられた。心底作るのが楽しくて大好きで勢いがとまらない、窯の中にはまだそんな気配がある。

奥様が、お昼を用意してくださった。韓国風素麺、トマトのマリネ、ピーマンの肉詰め、茄子のナムル・・・もちろん全さんの器に盛ってある。贅沢な昼食! 美味し過ぎて遠慮を忘れてモリモリ食べてしまう。韓国の素麺は、冷たくしただし汁に入っていて、そこにキュウリの酢の物、発酵のすすんだ酸味の強いキムチ、それにネギを胡麻油と醤油と一味唐辛子に漬け込んだ薬味を入れ、青唐辛子をお好みで入れて食べる。これは癖になる! 新しい素麺の食べ方を教わった。

お昼を食べながらお話を伺う。この家を建てたのは、まだ幼い子二人とお腹に末のお子さんがいらした時だという。住み始めたときは1月。まだ壁も完成していなくて、ブルーシートで養生して過ごしたんですよ。今となっては笑い話のようにからりと話される奥様につられて私たちも笑ってしまったが、極寒の山中をそんな風に乗り越えて、その後の苦労にも計り知れないものがある。この土地を買って自分で全さんが家を建て始めたときから、自分の中に覚悟が決まったとおっしゃっていた。その気持ちは子供たちにも伝わる。こんなに可愛らしく力強くてのびのびとした家になったのは家族共通の思いがあったからだろう。

厳しい環境の中で作られたとは思えないほど、全さんの作品にはなんともいえない品の良さ、ユーモアがあって温かい。なんでなんだろう? と口にすると「大変な苦労をしたからこそ、それを突き抜けた先にある境地なんでしょう」と川口さんが答えてくださる。苦労を土に激しくぶつけるのではなく、一旦体に沁みこませて浄化してから育てるような愛おしむようにして生まれた作品の優しさ。それは家族を支え、支えられた本物の強さの表れなのかもしれない。

帰り道、琵琶湖畔に野性の蓮が密生している場所に案内してもらう。遠くまで蓮で埋め尽くされて湖の表面は完全に見えない。蓮そのものが大きいのでド迫力。これは、教えてもらわなければ一生知り得ない絶景だった。

オーナー川口慈郎さんとスタッフの居山優子さん

 

滋賀から京都へは、車通りの多いクネクネ山道を越えるので相当なドライビングテクニックが必要だが、あっという間。夜ごはんは川口さん行きつけの「猫町」さんで美味しい創作料理をたらふくいただいて話も尽きず、楽しい夕餉だった。外に出るとすっかり雨も止み、蒸し暑い京都らしい夜。

忘れられない夏の一日になった。

 


全日根氏 名残展へ

鴨川の三角州の中、下鴨神社近くにある川口美術さんにお邪魔する。天気も良く、大勢の人が川岸で遊んでいて、道すがらの風景だけでも感無量になってくるほど長閑な日だった。

全さんの作品にはどれも素朴なあたたかさと品の良さがあり、可愛らしさもあり、優しい中に力強さも感じる。ずっと観ていても飽きない。オーナーの川口慈郎さんにご挨拶すると、全さんの作品づくりのことなど教えてくださった。話を伺うとますます手元に置きたくなる。香合も可愛らしい、器も使いやすそうだったが、書を始めようと思っていたので水滴を選んだ。壁にかかっていた朝鮮民画、今回は台として使われていた李朝家具なども存在感があって目を惹く。

 

街並に溶け込む外観

 

 

 

連れて帰りました

 

 

この日は全日根さんを偲んで若き茶人、中山福太朗さんのお茶席が催されていた。全さんの茶碗の中からどれでも好きなものを選び、お茶をいただくことができる。

流れるような所作で茶を点てる中山福太朗氏

 

カジュアルなお茶席とはいえ、恥ずかしながらの作法知らずで、お茶菓子とお懐紙とお茶碗のとり扱いにいちいち戸惑い、内心冷や汗・・・固まっていたのを見透かされたのか、さりげなく指南をしてくれながら「美味しく召し上がっていただければそれが一番です」という優しい言葉をかけていただき、すこし落ち着きを取り戻す。この、客人の緊張をほどく思いやり、そして茶を点てるときの静かで淀みなく美しい身のこなし。一回り以上年下とは思えない貫禄でした。

 

全さんの器に、宝石のように納められた「霜月」の和菓子「琥珀」

新緑が美しい庭の庵で美味しいお抹茶をいただいていると、ゆるゆると気分がほどけ、萌え出る緑や、一輪の花、そよぐ風をちゃんと感じることができて、これ以上の贅沢はないような気がしてくる。「こういう時間が非日常で、殺伐としているほうがあたりまえになってしまうことが、なんだかおかしい。だから私はできるだけ茶の湯を生活に取り入れて、日常に近づけていきたいんです」と話す中山さん。伝統を継承しながら新しい歴史を作っていく人なのだなあと感じた。完璧なお作法を身に着けた人にだけ許された世界、という茶の湯のイメージが少し変わる、楽しく寛いだ時間だった。

 


この星に住む

経堂のウレシカさんで開催されている石原多見子さんの陶展。石原さんがいらっしゃると聞き、ちょっとご挨拶に。

 

この星に住む

 

まるで化石のようなオブジェたち。こちらの作品は、海を想像して創られたんですか?と聞くと、

-見る人によっては、そう見えるみたいですね。このDMをみて子供に蛍の幼虫の写真?と聞かれて。どうもこの長細いカタチのが蛍の幼虫に見えたらしく、貝なんかを食べるみたいなんですが、その光景にそっくりらしいんです。最初にそういうものを意識しているわけではないのですが、繰り返しという行為を意識して創っていくと、最終的には不思議と自然のものの形になっていくんですよね。そういうのもあって、今回のタイトルを「この星に住む」にしてみました。-

 

ウレシカ 展示の様子

 

今回はこのシリーズのほかにパステル調の色合いのお皿やオブジェも展示されています。箱の中に葉っぱのようなものが何枚も入っている作品はおとしぶみという葉をくるくる巻く虫からインスピレーションを受けたとか。独特の感性の石原さん。石原さんの創りだす小宇宙に触れて、ふと空を見たくなった。満月に近い月だった。

 

月

 

こちらの展示はウレシカさんで3月11日(月)まで開催しています。