陶芸家

北鎌倉の夏

 

舟あそびさんの紹介で「デンマーク工芸10人と中野和馬展」を観に、北鎌倉古民家ミュージアムを訪ねた。北鎌倉の駅を降りてすぐ、古都の風情を感じる円覚寺門前を通り過ぎると、この周辺の落ち着いた景色にしっくりとなじむ古民家があらわれる。鉄のシャンデリアや、格調高い家具などが品よく配置され、展示されたタペストリーや陶磁器もとても美しく映え、展示されている作品もさることながら、その空間がどれだけ重要か教えてくれる美術館だった。

 

作品はどれも素晴らしく個性的で、美しくて、面白いものばかり。アーティスティックなデンマーク工芸の中で、今回唯一の日本人、中野和馬さんの絵画のような躍動感に満ちた陶芸作品も異彩を放っていて惹きつけられた。そして、ひときわ可愛い!!これ全部欲しい!!!と気持ちが泡立って落ち着かなくなるほど素敵なキースティン・スロッツ (Kirsten Sloth) さんという陶芸家の作品に出会ったのは、今回の大きな収穫。どれもこれも、可愛らしく端正で、繊細で、素朴さや重厚さもあり、眺めても眺めても楽しく、嬉しくなっていく・・・

 

今回の主催者、工藝サロン梓の田中政子さんが、デンマークの陶芸事情について訳してくださった資料のこんな一文に目がとまった。

 

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少数の若い作家たちは、すでに自分の工房で優れた功績を残し、広く一般社会にも活力を与える存在になっています。彼らは特定の形式に縛られることを嫌う傾向があり、世界中の伝統工芸から示唆を得ながら、彼らが表現したい理念に沿って素材と技法を選んで自由な制作活動を行っているのです。

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社会に閉塞感があるのは、日本だけではない、デンマークもそう。でも、どうもデンマークのほうがずっと元気がある気がします、と田中さんはおっしゃっていた。個人の自由な感性を大切にする土壌があるから?自分の表現に強い誇りを持って突き進む力があり、かつ縛られることを嫌う、周囲もそれを許す寛大さがあるのだろう。作品を観る側の問題なような気もする。受け止めるほうのアンテナが鈍っていると、どんなにいい作品を作ろうとしても作り手だって元気はなくなる。本当にいいものをいい!と感じ取れる力を、鈍らせたくないと思う。

 

※「デンマーク工芸10人と中野和馬展」は、明日9月5日(水)まで。今後「デンマーク工芸10人展」のみ、以下で巡回展の予定です。

2012年9月21日(金)〜10月2日(火) 「ガレリア表参道(長野市)」長野市東後町21 グランドハイツ表参道弐番館 TEL 026-217-7660

2013年4月13日(土)〜21(日) しいのき迎賓館ギャラリーA,B (石川県金沢市) 問い合わせ先:ギャラリー舟あそび 076-882-3960

 

 


つちもの、キレもの五人衆展

 

事務所からの至近距離にある「花田」さん。

現在の展示「つちもの、キレもの五人衆-次代を創る実力派、競演-」(8月25日(土)まで)は、チルチンびと広場にもご登場いただいている 八木橋昇さんや工藤和彦さんが出展されているということで、vigo、kuroとともに出かけてみた。

外側ブルーが中が薄い黄色いの釉薬がかかった器、乗せるものがあれこれ浮かんでしまって、これ、いいなーと思っていたらいつのまにかvigoが購入していた。シンプルな白泥の大皿もいいし、面取りしたポットも格好良い。

ひととき、器と向き合う時間は心和む・・・はずが、物欲がむくむく湧いてきて心騒ぐのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

展示も美しいのです。

店を出ると、もう薄暗い時間帯だったけれど、外はまだまだ蒸し暑い。

こんな暑さの中、焼物、鋳物、吹きガラスなどの作家さんはもう、どんだけ、どんだけ、暑いことだろう。チルチンびと広場の作家様方々、くれぐれも熱中症には、気を付けてくださいね!

 

 


ひと味違う、夏の「女子力」

取材のためにこの町に足繁く通っていたのは、春になりかけの、まだ肌寒いころだった。季節は変わり、むしむしもわもわと暑い。たった数か月なのに、西荻窪の駅を降りると、幾年も飛び越えてきたような気持ちになった。

まずはお決まりのコース、駅近でありながら喧騒とは無縁の居心地の良いカフェに入る。ほどよい甘さの冷たいカフェオレで暑さを癒し、向かった先は「魯山」。現在展示されているオーガニックコットンのパンツを、春から話に聞いて楽しみにしていたのだ。取材のときに、たまたま布のサンプルを見せてもらって、その質感と色づかいにやられた。器の店に下着を展示。その意外性と驚くほどの調和にも(写真だけで!)やられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実物を見てみると、やはり、いい!涼しげで、肌触りも色も優しい。毎日身に着けたい質がよくて素朴な可愛いパンツ。これはありそうでなかなかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一緒に展示されていた焼き物の二人の作品も、大胆で、かつ繊細で、素朴であり美しくもあり・・・とくに辰砂の何とも言えないピンクというか紫、赤、酸化した部分の薄緑が紫陽花みたいで、心をつかまれた。

 

大胆、素朴な七尾うた子さんの器、野性と優美を併せ持つ内田好美さんの器、中田絢子さんの優しいアンダーウエア。巷で女性誌の表紙を飾る「女子力」とは一味違う、女子三人の底力、ぜひ色々な方に観ていただきたいです。

「魯山」にて、7月30日(月)まで。

 

 

自分への夏土産

 

 


サインの意味

Palshus

器を見るときにちょっと気になるのはサイン。

「チルチンびと」71号でも塩山奈央さんが、窯を訪ねている市川孝さん。
ぶらりと立ち寄った「魯山」で市川孝さんのサインの話に。

大嶌さんが言うには「なんでさー、こんなサインだと思う。たかしのたの字を”十”と”二”にくずしてるって言うのと、僕が知ってるのは彼が十二月十二日生まれってこと。」らしい。

 

市川孝さんのサイン

市川孝さんのサイン

 

今週末から「魯山」では「今野安健 田鶴濱守人」の二人展が開催されます。
6月23日(土)~7月1日(日)11:00~19:00 ※6/22(金),26(火)休み
さて、お二人のサインはいかに。

今野安健 田鶴濱守人

 

 


ベルント・フリーベリ

ギャラリー北欧器 初夏の間借り展

現在、表参道 ELEPHANTで開催中の「初夏の間借り展」。 「チルチンびと広場」にも掲載させて頂いている「ギャラリー北欧器」さんのイベント。 通常はアポイントメント制のところ、今回はギャラリーでの展示即売をされております。 ベルント・フリーベリ、アクセル・サルト、ルーシー・リーなど。 思わず手に入れてしまいたくなる品の数々。6月6日(水)までです。ただし、買いすぎにご注意を!

ベルント・フリーベリ

「ベルント・フリーベリ」こうやって棚に陳列されていると全部が欲しくなる。並べて飾りたい。 

ベルント・フリーベリ

「ベルント・フリーベリ」約3cm~5cm程度のミニチュアサイズの陶器。この精密さ、実際に観てさわれるなんて。

 

<ベルント・フリーベリ>

スウェーデン生まれ。Stig Lindbergと共にGustavaberg社の黄金時代を作り上げた陶芸作家。生涯、数千におよぶ器を自ら轆轤で制作、東洋的な釉薬を追求した。器、釉薬とも女性的な美しさを感じさせる繊細で優美なものが多い。とくに、指先にのるほどの小さな陶器は器の宝石と例えられる。スウェーデン国王をはじめ世界中にコレクターが多く存在。ニューヨークメトロポリタン美術館ほか各国の美術館にパーマネントコレクションされている。ミラノトリエンナーレにて金賞を3回受賞。1981年没。

※説明文は「ギャラリー北欧器」さんHPより引用。作品などの詳しい詳細はHPでご覧下さい。


大自然に囲まれた場所にて

イチトニブンノイチの櫻岡さんにご紹介頂いたダグラス・ブラックさんを訪ねて栃木県茂木町に。美しい那須川と大自然に囲まれた場所。

あいにく、この間の低気圧の影響で、新幹線に3時間の足どめをくらい予定より大幅に遅れて到着した我々をあたたかく迎えてくれました。もうすぐ完成するギャラリーのこと、セルフビルドの家のこと、作陶のこと、これからのことなどいろいろお話させて頂きました。詳しくは栃木県connectにて(近日公開)。

ダグラスさんの丸が2つ重なりあったマークをみて、栃木県サポーターの金山さんが「あー、これ私持ってる!」。なんと、3年ほど前に益子市でダグラスさんの器を購入していた事が判明。なんだかんだと繋がっているものです。

そして、ダグラスさんの個展が益子町「ギャラリー緑陶里」にて”3人展:それぞれが辿った道”開催中です。お知らせが遅くなってすみませんが、実は本日が最終日です。お近くの方はぜひ足をお運び下さい。

THREE ROADS TO MASHIKO

昨年の東日本大震災により三人の進む方向は少し変わりましたが、陶芸に寄せる熱い思いは、変わらず持ち続けています。あの日のことを胸に、この一年どんな思いで作陶し、乗り越えたのか、この会場で彼らの作品から溢れるPowerを感じて、そして、これからの彼らを見守って欲しいと思います。


能登に帰る

能登に帰って必ず行きたい場所は珠洲市にある「gallery 舟あそび」。

今回開催されていたのは、「全 日根 陶展」。

「全 日根 陶展」

硯と水差しセットが欲しい。しかしながら、持ち合わせが足りずお香入れでがまん。がまんと言っても気にいってる。

特に、合わせたところに薄く朱色の線が見えて、それが乳白色の面に良い具合にあっているところ。といのも、わざわざなのか釉薬のまわりに朱色を引いている感じなのです。

せっかく、全日根さんご自身がいたのに聞き忘れてしまいましたが。

次回の企画展は「正倉院の夢展 ~つくり手との古の旅~」9月 2日(金)~ 9月11日(日)。

正倉院をテーマに4人の作家さんの作品が展示されるようです。郡司慶子さんのボタンが楽しみです。

お香入れ

全日根さんに触発され、家に帰り蔵探索。

古九谷茶碗を発見。あまり上手な作品とは言えませんが、手書きのなんとも言えない風合いがあります。

左の茶碗の裏には角福印があるところをみる江戸時代後期のもののよう。九谷というともっと派手な色合いをイメージしていましたが、こういう普段使いの藍九谷と呼ばれるものもあるみたいです。

印もなければ、蓋をあけた内側の絵なんかはなんとも適当なのですが、どちらかと言うと右側の茶碗の方が好き。

古九谷 茶碗

そんなことで、陶器を抱きかかえて帰ってきました。

そして、チルチンびと広場は来月、北陸[富山、石川、福井]にお店探しに行ってきます。

 


杉本寿樹さんに会ってきました

ゆったりとした暮らし

 

杉本寿樹この間から、気になっていた陶芸作家の杉本寿樹さん。
ついに滋賀県訪問の際にお会いしてきました。
なんともゆったりとした空気の中で暮らしていました。
等身大できどりのないとてもおだやかな雰囲気の方です。
話をしてみると、なんとチルチンびとの9号,10号にも住宅紹介で掲載されているとのこと。なんとも不思議なご縁です。
takekoと同行して頂いた安土建築工房の山下さんもついついお皿を購入。おまけまでして頂きました。

今回取材に行ってきました、京都・滋賀・奈良の情報は近日中にアップ予定です。お楽しみに! また、取材にご協力頂きました京都の彩工房さん、滋賀の安土建築工房さん、奈良のアーキネットさんどうもありがとうございました。