
『金沢ばあばのまほう手帖』(小社刊)の売れ行きが、好調だという。著者・マスダさんの人生レシピの独特さもさることながら、そこに添えられた武藤良子さんの雪国の春のような、暖かい雰囲気の絵に負うところも大きいように思われる。その武藤さんについて、どういう経歴の方がと聞かれることが多い。
うまい具合に、好評連載『私のセツ物語』の最近版が武藤さんの担当である。それは、こういう書き出しだ。
〈18歳。高校3年の進路相談で「お前はどうしたいんだ」と担任に聞かれ「探検家になりたいんです」と答えたが却下された。
中学高校6年間の女子校の授業の中で、一番好きなのは美術の時間だった。音楽、書道、美術の3教科から選べる中、6年間ずっと美術を専攻していた。大きな窓と高い天井の美術室が好きだったし、男先生と女先生のふたり、どちらも好きだった。……〉
………
武藤さんの『私のセツ物語』は、思いが募り一回ではおさまりきれず、さらに、先日 この続編が掲載された。どうかお楽しみください。
2021/01/31 morimori, 書籍
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『秋山亮二 津軽・聊爾先生行状記』展(フジフイルム スクエア 3月31日まで)に行こうとして、地下鉄のホームに降りたら、その広告があった。
広告の写真をみてください。
先生がナントカいう勲章をもらい、ほかに女性の方も受賞。おふたりの祝賀会の場面。正装した先生がカメラを構える。その腰つき。笑顔。その後ろ、女性のお尻と衝突。撮った人、撮られた人。画面から漂うあたたかさ。ユーモア。
写真に添えられたコピーに〈ここに 人間味あふれる 写真家がいます。〉とあるが、いやいや、この一枚の写真が、十分に語っていますよ。
2021/01/27 morimori, イベント, ギャラリー
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太宰治の「三鷹の此の小さい家」に行く。
それは、三鷹駅南口駅前の三鷹市美術ギャラリーの中にある。太宰治は、昭和14年9月から昭和23年6月まで、三鷹で過ごしたということである。このギャラリーのパンフレットに、短い文章を読むことができる。
〈三鷹の此の小さい家は、私の仕事場である。ここに暫くとじこもって一つの仕事が出来あがると私は、そそくさと三鷹を引き上げる。逃げ出すのである。旅に出る。けれども、旅に出たって、私の家はどこにも無い。あちこちうろついて、そうしていつも三鷹の事ばかり考えている。三鷹に帰ると、またすぐ旅の空をあこがれる。(『誰』昭和16年)
「此の小さい家」という展示のタイトルはここからきたのである。小さな机の仕事場もあった。
2021/01/23 morimori, ギャラリー
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自粛していたら、どんどん会期ギリギリになってしまった。展覧会に行くのは、不要不急なのか。
『ベルナール・ビュフェ回顧展 - 私が生きた時代』(Bunkamura ザ・ミュージアム、1月24日まで)に行く。
〈 ビュフェがデビューした時代、人々が心に大きな空洞を抱え未来を探しあぐねていた空気は、今の時代、私たちが感じているものにも通ずるのではないでしょうか。…… 〉と、会場のパンフレットにある。
〈私は大海原を航海する一隻の小舟のようなもの。…… 波にもまれながら進んでいるのです。〉というビュフェの言葉も紹介されている。
2021/01/20 morimori, イベント, ギャラリー
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ラジオ J-WAVE の夕方、『GOOD NEIGHBORS』というワイド番組がある。「ご近所さん」とでも訳す、気楽な番組である。そのなかにTABLESIDE STORY というコーナーがある。もうじき夕飯、美味しい料理によりそうショートストーリーを、クリス智子さんの朗読で、という趣向だ。
そこに、『金沢ばあばのまほう手帖』(マスダさん著、小社刊、発売中)が
1月18日~21日 16時10分~16時15分
登場することになった。
ここまでお読みになって、えっと思われた方、そうなんです。昨年、『料理旅から、ただいま』(minokamo 著、小社刊、発売中)が、流れたその時刻に、ふたたび。
どうか、みなさん、ダイヤルを合わせてお聴きください。
2021/01/15 morimori, 書籍
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『透明な力たち』展(東京都現代美術館、2月14日まで)に行く。
入り口付近で待ち構えたように、手の消毒をさせられ、体温を測ります、と言われる。オデコを出すと、そうではなく、手首で体温を測る方式であった。
さて、これは、〈現代の表現の一側面を切り取り、問いかけや議論の始まりを引き出すグループ展…… ) …ということである。
2021/01/11 morimori, イベント, ギャラリー
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昨年暮れのこと。NHK『チコちゃんに叱られる』のスタッフの方から電話がありましたよ、と言われた。 ??? なんでも、「広場」に載った新宿伊勢丹の門松の写真を、番組で使いたいそうです。 ???
正月に、新宿伊勢丹の門松を見に行くのが恒例となった。キッカケは、こうだ。この「広場」のコラムに「あの竹、この竹」という竹工家・初田 徹さんの連載がある。竹にまつわるさまざまな話題をチクコウカの目で描いて、愉しかった。連載の29回「冬の青、春の青」は、各地の門松を見て回つた話。そこで、ナンバーワンは、新宿伊勢丹の門松だったという結論。
それを読んで以来、正月になると、伊勢丹に出かけて、門松の写真を撮り、プログに載せている。チコちゃんから頼まれたのは、そういうイキサツの写真。今年も行きましたよ。今年は門松よりも、入り口はコロナ予防の仕掛けの目立ったのが残念だった。さて、その写真、どんなふうに登場するのかは??? おっと、放送日を書かないと、チコちゃんに叱られる。
………
放送予定
1月9日(土)08:15~


さて、その後日談。
初め知らされた放送日には、8 日夜もあったが、その日は、コロナの番組に変更され、9日朝。『チコちゃんに叱られる!』の「門松の竹に歴史秘話」のコーナー。なぜ、門松の竹は斜めにカットされているか? それは、徳川家康の八つ当たりにあり、という話。門松の竹はもともと、ずんどうであった。いまでも、銀行や百貨店では、ずんどうの門松が見受けられる。というところで、伊勢丹の門松の写真が、登場! ほんの一瞬であったが、たしかに登場。
このブログのあの写真に、目をとめてくれたチコちゃん !ありがとう!
2021/01/06 morimori, その他
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12月5日付の『朝日新聞』読書欄の「売れてる本」のコーナーに『ベニシアと正、人生の秋に』(小社刊)がとりあけられたことは、 このブログにも書いた。ベ二シアさんと夫・梶山正さんの京都大原の暮らしが、飾り気なく描かれていることが、好評の原因だろう。
それにつづき、また「売れてる本」つまり、ベストセラーの1位に『金沢ばあばのまほう手帖』が、顔を出した。ブック宮丸 めいてつ・エルザ店調べ、である。地元でしょう、などというなかれ。堂々、中野信子、高樹のぶ子、和久峻三、北方謙三、池井戸潤……という作家たちの作品を抑えての快挙である。
いっぺんに、春が来たような気がする。その春について、この本の中でマスダさんは、書いている。〈来るか来るかと待ち遠しい 大寒過ぎて、節分来れば、芽吹いて来るのはふきのとう。……〉

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『金沢ばあばのまほう手帖』(マスダさん著)は、小社刊。好評発売中。
2021/01/04 morimori, staff, 書籍
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『EIKO 石岡瑛子』展(東京都現代美術館、来年2月14日まで)に行く。たくさんのポスター、映像、衣装……。
パンフレットに曰く 〈サバイブ(生き残る)」を口癖としながら、自らと外の世界との化学反応に賭けつつ彼女が生涯をかけて磨いていった「石岡瑛子の方法」の意義について、本展を通して広く問いかけることができたら幸いです。〉
その上に置かれたタイトルは「血が、汗が、涙がデザインできるか」である。
2020/12/29 morimori, ギャラリー
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『日本の美邸』の 「Art & Culture」欄に「現代デザインのパイオニア 松葉孝夫」という連載がある。1980 ~ 2000年代を切り拓いた、松葉孝夫の仕事を振り返るという趣向。松葉さんは、クルマ、化粧品など幅広い分野で仕事を手がけている。今号のページをひらいていて、先日聞いたニュースを突然、思い出した。
それは コロナという荒波にあらわれた今年。売れた商品、売れなかった商品はなにか、という小売店調査。もっとも落ち込んだのは、口紅で、前年同期56%減、頬紅34%減。化粧品でも、マスカラ、アイライン、アイシャドウは、落ち込みは小さいという。これすべてマスクのおかげ。売れたのはマスク、といえば、ナットクの話。そして、『日本の美邸』を飾っているのは、懐かしいように鮮やかに紅い、唇。コンセプトはインパクト「キッス・オブ・ファイアー」とある。
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『日本の美邸』7号は、特集「水と庭」。風土社刊。好評発売中です。
2020/12/25 morimori, 書籍
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