4月4日が、「あんぱんの日」なんて、ご存じでしたか。NHKのニュースでも、取り上げていた。あんぱんは、1872年に、木村安兵衛さんがつくり、大好評。ついには、明治天皇に献上。その献上の日が、4月4日だった、というのである。『パンの百科』(締木信太郎著・中公文庫)には、こう書かれていた。
〈当時は「茶の子」といって大福餅や粟餅、酒まんじゅうなどが軽い食事として好まれていた。いずれも中に餡を包んだものである。安兵衛はこうした餅かわと饅頭のかわとをパンのかわにかえてアンパンをつくることを考えた。〉
〈笑凹(えくぼ)をあらわすためにまんなかを小さくくぼませて焼いたのを人々はへそのくぼみに似ているとばかり、「へそパン」の愛称をさえ与えた。のちにはそこに八重桜の花の塩漬を加えて食味を一新した。〉
店であんぱんを買い、今日はよく売れたでしょう、と言うと店員は、笑っていた。あ、いつもですよね、と慌てて、付け加えたのである。