2016年3月7 の記事一覧

机は語る

編集部 某氏の机

 

長田弘さんが、「机」について書いた文章が好きだ。(『感受性の領分』岩波書店)それは、こんなふうである。


……
机というのは、どんな家具とも、道具ともちがう。机はその机にむかう一人の日々のありようを黙って語っていて、ただ雑多としか見えないような机であれ、およそ整然としている机であれ、机上にあるすべてには、その机とともに暮らす一人の痕跡がのこっている。

そして、その最後は、こんなふうに終わっている。

机は、とどのつまり板子一枚だ。その板子一枚のうえには、一個の人生という、ごくありふれたものが載っている。
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『チルチンびと』87号 の 〈特集・この家具と、暮らす〉の校正刷りを読んでいて、この文章を思い出した。写真は、編集部 某氏の机。校了の「痕跡」がのこっている。