2014年8月10 の記事一覧

九州へ行ってきました その1 別府街歩き編

昨年参加した「ヤブクグリ」の会は、この1年半でまた進化しているようで、今回は別府と日田の二会場で「石田千さん書き下ろし小説朗読会+柳家小春さん演奏会」という豪華二本立てイベントが行われるという。「絶対面白いよ。関西からだったら、バーナードリーチが小鹿田を訪ねたのと同じルートで、船で行けるよ。移動と宿泊を兼ねていて新幹線より安いし」という仕掛け人牧野画伯の旅心をくすぐる殺し文句で船にて別府へ向かった。大阪港から「さんふらわあ」に乗って、別府港への約半日の船旅はとても快適。お風呂に入って甲板でビール飲んだりご飯をたべたり、穏やかな瀬戸内海を渡るルートで揺れもなく、雑魚寝のレディースルームでもぐっすり眠れた。

朝7時ごろ到着。梅雨明け前だったけれど、太陽がジリジリと照りつけて、空に浮かぶ入道雲は完全に夏の到来を宣言していた。まずは荷物を預けに「山田別荘」さんへ。蝉の鳴き声がよく似合う風情のあるお屋敷だった。まだ観光案内所も開いていないので志高湖キャンプ場の豊島桐子さんからの情報を元に、別府駅からバスで30分ぐらい山の方へ上がったところにある明礬温泉へ行ってみた。「地獄蒸しプリン」という看板などが気になるが当然まだ開いていない。

バス停からさらにすこし山を登って日帰り湯のできる宿に立ち寄ると、開店まで1時間以上もあったのに入れてくれた。強い硫黄の匂いが立ち込める白濁した湯は、足先を浸けただけで「ぎゃ!!」と叫ぶぐらい、想像をはるかにこえて熱い。10数えるくらいまで入っては出て涼み、を何度かやってフラフラになりながらバスで山を下り、鉄輪温泉に向かった。源泉温度100度の蒸気を生かして調理をする「地獄蒸し工房」の施設の横に足湯と足蒸し場があった。蒸気の上がる穴に足を膝まで突っ込んで蓋をせよ、と書いてあるけれどこれがまた死ぬほど熱くて膝まで突っ込む勇気はなかった・・・

すぐそばの「上人湯」という温泉に入る。向かいの「まさ食堂」で100円の入浴札を買って入るシステム。先客が一人。地元の方で「ここに札かけたらいいよ」「扇風機つけたらいいよ」「最近物騒だから女の一人旅は気を付けて」と話しかけてくれた。バスが来るまでぶらぶらしていると発見したのがこんな装置。眺めていたら再び汗が噴き出してまたひとっ風呂浴びたくなった。

 

「湯雨竹(ゆめたけ)」という竹製の温泉冷却装置。これで湯を約45度に冷やす。さすが竹の産地

 

街へ戻り、ネットで見つけて気になっていたhibinoさんに行った。人が続々とやってきて、洒落た竹かごに盛られた、見るからに美味しそうなパンが次々になくなる。この竹かごもご店主作と聞いて驚いた。別府は市をあげて竹細工を守り育てる活動をしており、専門の訓練校もあるし、市民に無料で教えてくれるところもたくさんあるのだそう。子供や若者も竹細工に触れる機会が多い。話していると、なにか雰囲気のある、賑やかな二人連れがやってきた。聞けば自宅でお菓子作りやマルシェをされている方たちだった。

 

和気藹々の元気な三人を、パチリ

 

 

次に向かったのはPUNTO PRECOGという期間限定で店主が変わるフリースペース。この日はÖkodorf(エコドルフ)というマクロビカフェをやっていた。ご店主の高橋実紅さんは立命館アジア太平洋大学の学生さん。留学生が日本一多いのだそう。アジア太平洋地域の環境と経済開発、行政や観光などを国際的な視野で学んでいる。学びながら実践する行動力が素晴らしいなと思う。ここで教わった、近くの築100年の古民家を改築したshop&ギャラリー「SelectBeppu」を訪ねた。こちらはBEPPU PROJECTというアートNPOの運営で、別府の作家さんの作品を中心に扱っており、スタッフの福嶋さくらさんも「清島アパート」に所属するアーティストだった。

 

豊泉堂さんの土人形、和みます

 

2軒隣にある別館で、ちょうどこの日から「けはれ竹工房」の林まさみつさんの展示が始まり、運よく作家さんもいらっしゃるというので寄ってみた。赤く染まった竹は、茜染め。化学染料を用いず竹の材を草木染めしてつくる、大変な試行錯誤を重ねて生まれた深みのある赤が印象的だった。チルチンびと広場のカードをお渡しすると、以前、日田の杉板を購入された際に『チルチンびと』を読んで参考にしていただいたのだそうで、とても喜んでくださった。

ぶらぶらと宿へ戻る途中に寄ったコバコさんで、北高架商店街を教えてもらった。真っ昼間からすごい音量でおじさんが歌っているオープンカラオケ喫茶があり、向かいにカフェ、パン屋、服屋、美容院、ギャラリーみたいなレコード屋・・・雑多な感じで面白い場所だった。

昔ながらの建物や風景を残しつつ、若い世代や他県からの移住者が新しい風を吹き込んでいる別府。のんびりしつつも活気のある街でした。旅の途中に出会ったみなさま、ありがとうございました!

 

ヤブクグリイベント編へつづく