2012年4月14 の記事一覧

西荻窪散歩 ほろ苦篇

西荻窪 喫茶店

 『チルチンびと』夏号の取材に同行して、西荻窪界隈を歩いている。
 ひと休み。喫茶店へということになり、「どんぐり舎」(写真)へ。壁に貼られた黄ばんだメニュ、コーヒーほろ苦、酸味–から、ほろ苦 480円を注文。
 生まれては消えるコーヒー屋さんも多いなか、この一軒家のような佇まいに魅かれるファンは絶えないようだ。消えた店のひとつに、Gというアメリカ人がはじめたカフェがある。ビールは瓶だけがポンと卓に置かれ、コーヒーには゛お冷や゛などついてこない。万事、殺風景で、それが゛アメリカ風゛なのか、なかなかよかった。馴染みになった。勘定を済ませて帰り、「ハヴ ア ナイスデイ」と、彼は、いつもいった。あるとき、「日本語の゛じゃあ、また゛というのは、英語でなんというのか」と尋ねると「ハヴ ア ナイスデイ」と答えた。
 店は、二年ほどで閉店した。彼は、いま、どこでなにをしているのだろう。この店の思い出は、ほろ苦い。そういえば、私の思い出は、コーヒー同様、ほろ苦か酸味のどちらかだ。