2012年3月6 の記事一覧

九州出張 3日目 熊本編

3日目。レンタカー乗り換えのため福岡空港へ向かう。前日の雪が嘘のような晴天。九州北部への高速道路はほぼ通行止めだったが我々にはさほど影響なく、すいすいと熊本方面へ進む。大牟田市を周る途中、三池炭鉱跡に行ってみた。飄々とそびえたつ赤レンガの煙突からは、高度成長期を支えたという堂々たる存在感を感じると同時に、救急車、負傷車…と書かれた人車を見ていると犠牲になった多数の死者や中毒患者、閉山後も何十年にもわたり後遺症に苦しんだり寄る辺を失った人々の怨念のようなものも感じて、昨今の原発事故とも相まって複雑な気持ちだった。人間は権力に抗えない生き物、そして同じ過ちを何度でも何度でも繰り返す生き物なのだと突きつけられているようだ。知ろうとする気持ちと忘れないという意志を持ち続けていないと、簡単に自分本来の思いとは違う所へ連れて行かれてしまう。人も物事もいい面だけでも悪い面だけでもなくて、置かれた立場でも善悪変わったりもするけれど、黙っていたら偏って知らされることばかりが多い世の中で、自分は無知だと知る前に何かを選択するのはとても危険だ。実際に足を運んだり体験談をきいたり、本を読んだり映画を見たりと、同じ出来事をいろんな角度から見て初めて、知らなかったことに気づくこともある。

 

お昼は山鹿市のいつものごはんji-uさんで頂いた。塩麹をつかった蓮根ハンバーグや呉汁、キンカンと生姜シロップのデザートなど地元の材料を存分に使った優しい味に癒される。山鹿も素晴らしく風情のある街で、少し散策してみると造り酒屋さんや麹屋さんが軒を連ねている。こうじ専門店木屋本店さんの前を通ると、勝手に見学してもいいというので入らせていただいた。米粒の中にある汚れを箸で取り除く作業をしている人がいたり、麹を入れた箱が積み重なっていたり、昔のテレビや人形がならんだりと博物館のようだ。ここで念願の塩麹を買ったり美味しい甘酒をいただいたりしてとまたまた道草を食ってしまったので、急いで熊本市内へ向かう。

 

観光ばかりしているようで恐縮なのだが、熊本城の石垣は熊本出身のモザイク職人荒木さんにお薦めされたマストポイント。噂の石垣は、それはそれは見事で、確かに忍者ぐらいしか登れないだろう。カラスも停まろうとして滑り落ちていた。延々と連なる石垣を眺めていると、モザイクの道に進んだ荒木さんの原風景を見た気がした。島田美術館さんやミドリネコ舎さんなど市内数軒のお店を巡った後、金子典生工房の金子さんに会いにいく。

 

金子さんとは前からお会いしたいと思っていた。その温かい人柄は常々みじかいメールの文章や電話口の一言で伺われていて、一度お会いしてみたかったのだ。想像通りの方で、いきなり私は「タケチャンマン」という懐かしくも恥ずかしい小学生以来のあだ名で呼ばれた。新鮮なヒラメ、タイ、オコゼ、タコ・・・とびきり新鮮ないけす料理や馬刺し、辛子蓮根など食べたかった郷土料理が全部ここに・・・そして美味しいお酒とお茶目な金子節で笑いに笑って楽しい夜を堪能しました。忙しい時間の合間に、心づくしのおもてなし、本当にありがとうございました!!

 

あまりに楽しすぎてノリで帰り道に熊本ラーメンを食べてしまった。きくらげとねぎがたっぷり、コクがあるのに後味すっきりでペロリと入った。酔って満腹中枢がおかしくなっていたせいではないと思う。過酷なドライバー業務に疲労困憊気味だったタイルびともすっかり回復して「なんていいとこなんだ!熊本大好き!俺は熊本に住む!」と言い出す始末でした。

 

(最終日 鹿児島編に続く)